不登校・朝起きられないお子さんへ|子どもの精神科訪問看護という支援

「朝、何度起こしても起き上がれない」「学校に行く時間が近づくと、頭痛やお腹の痛みを訴える」「行きたい気持ちはあるようなのに、体がついていかない」——お子さんが学校に行けない(不登校・行きしぶりの)状態が続くと、保護者の方は心配と焦り、そして「私の関わり方が悪かったのだろうか」という自責の気持ちの間で揺れ動いてしまうものです。

最初にお伝えしたいのは、学校に行けない背景はさまざまで、単純にお子さんの怠けやわがまま、ご家庭のせいと決めつけられるものではないということです。そして、原因を突き止めて誰かを責めることよりも大切なのは、いま目の前のお子さんとご家族が少しでも楽になれる支えを見つけることだと、私たちは考えています。

この記事では、外に出るのがつらいお子さんのもとへ看護師などが伺う「子どもの精神科訪問看護」について、対象となる場合、訪問で行うこと、利用の流れを、船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市・習志野市で精神科訪問看護・小児訪問看護を行うあおい訪問看護ステーションが解説します。

※2026年7月時点の情報です。最新の制度は公式情報をご確認ください。

目次

学校に行けないのは「怠け」ではありません

文部科学省の調査では、令和6年度に不登校の状態にあった小中学生は全国で約35万人と報告されています。どの学校にも、どの学年にも、学校に行けない・行かないお子さんがいるのが今の社会であり、決してめずらしいことでも、特別なご家庭の問題でもありません。

背景もお子さんによってさまざまです。人間関係の疲れ、集団生活への緊張、不安や気分の落ち込み、そして後ほど紹介する起立性調節障害のように、体の仕組みが関わっていて本人の意思ではどうにもならないケースもあります。

「なぜ行けないの?」とお子さんに尋ねても、本人にも言葉にできないことが多いものです。理由探しはいったん脇に置いて、「今のつらさを少しでも軽くすること」「生活の土台を整えること」から始める——そのための選択肢のひとつが、医療の枠組みでご自宅に伺う訪問看護です。

外に出られないお子さんにこそ「訪問」という支援が届きます

不登校のお子さんへの支援には、適応指導教室(教育支援センター)やフリースクール、外来のカウンセリングなどがありますが、その多くは「そこへ通う」ことが前提です。外に出ること自体がつらい時期のお子さんにとっては、支援を受けに行くこと自体が高いハードルになってしまいます。

訪問看護は、支援を受けに行くのではなく、支援のほうから自宅に来てくれるサービスです。

  • 慣れたご自宅で会えるので、外出や人混み、待合室の負担がない
  • 保護者の送迎や付き添いの負担もない
  • 通えない期間も支援を続けやすく、お子さんの様子を定期的に見てもらえる

「どこにもつながれないまま、家庭の中だけで時間が過ぎていく」——そうした孤立を防ぐ助けになることが、訪問という形の強みです。

子どもも精神科訪問看護を利用できます

精神科訪問看護は大人のためのサービスと思われがちですが、制度上、年齢だけで対象から外れることはありません。児童精神科など精神科の主治医が交付する「精神科訪問看護指示書」に基づいて、看護師などがご自宅に伺う医療保険のサービスです。ただし、不登校であること自体が利用の条件になるわけではありません。背景にある心身の不調について、精神科・心療内科(児童精神科を含む)の主治医が訪問看護の必要性を認めて指示書を交付することが前提で、実際に対応できるかどうかはお子さんの状態や事業所の体制によります。

対象になるのはどんな場合?

大切なのは診断名そのものよりも、主治医が「訪問による支援が必要」と認めるかどうかです。たとえば次のような状態のお子さんが、主治医の判断により対象になり得ます。

  • 不安が強い、気分の落ち込みが続いている
  • 起立性調節障害などに伴い、心身の不調で生活リズムが大きく崩れている
  • 発達障害の特性を背景に、自信をなくしたり不安が強まったりする二次的な不調がある
  • 昼夜逆転や食事の乱れなど、生活の立て直しに支援が必要

なお、発達障害のお子さんへの訪問支援(作業療法士による発達支援など)は、別記事「発達障害の子どもに小児訪問看護・OTという選択|船橋・市川・鎌ケ谷・白井・習志野」で詳しく解説しています。

朝起きられない「起立性調節障害」という病気を知っていますか

「夜ふかしのせいでは」「気合いが足りないのでは」と誤解されやすいのですが、思春期のお子さんが朝起きられない背景には、起立性調節障害(OD)という病気が隠れていることがあります。

起立性調節障害は、血圧や心拍など循環をつかさどる自律神経の調節がうまく働かなくなる病気で、朝起きられない、立ちくらみ、倦怠感、頭痛などの症状が出ます。午前中に症状が強く、午後になると回復してくることが多いため、周囲から「怠けている」と誤解されやすいのが特徴です。日本小児心身医学会によると、軽症例を含めると中学生の約10%にみられると報告されており、思春期にはめずらしくない病気です。

「夕方は元気なのに朝だけ起きられない」のは本人のせいではなく、体の仕組みによるものかもしれません。気になる場合は、まず小児科などの医療機関に相談してみてください。

保険の枠組みについて

精神科訪問看護は原則として医療保険で利用します。お子さんの場合、自己負担分についてはお住まいの市の子ども医療費助成制度の対象となる場合があります(内容は自治体・年齢等により異なります)。指示書の仕組みや自立支援医療による負担軽減(精神疾患で継続的な通院医療が必要な場合に、申請して認定を受けると自己負担が軽減される制度です。適用には条件があります)など、精神科訪問看護の制度全般は、別記事「精神科訪問看護とは?対象・内容・利用の流れ」で詳しく解説しています。

訪問で行うこと|登校させるためのサービスではありません

はじめにはっきりお伝えします。訪問看護は、お子さんを登校させるためのサービスではありません。「学校に戻ること」を目標として押し付けることはせず、お子さん自身の安心と生活の土台づくりを支えます。訪問では、主に次のようなことを行います。

  • 生活リズムを一緒に整える:睡眠・食事・日中の過ごし方を、本人が無理なくできる範囲で少しずつ。「毎朝○時に起きる」といった目標を課すのではなく、今の体調に合ったリズムを一緒に探します
  • 本人のペースを尊重した関わり:初回から深い話をする必要はありません。好きなゲームや趣味の話、短い雑談から始めて、「この人なら話してもいいかな」と思える関係をゆっくりつくります
  • 体調の確認とつらさへの寄り添い:頭痛・腹痛・めまい・眠れないなどの症状を確認し、つらさを本人の言葉で聞き取ります
  • 主治医との橋渡し:家庭での様子を主治医に伝え、診察だけでは見えにくい変化を治療に生かします
  • 保護者の相談相手:「どう声をかけたらいいか」「ゲームの時間はどうすれば」など、日々の迷いをその都度相談できます

家庭という安心できる場所で、責められずに過ごせる時間と、信頼できる人とのつながりを守ること。その積み重ねの先に、お子さん自身のタイミングで次の一歩が見えてくることを、私たちは大切にしています。

ご家族への支援|家族だけで抱え込まないでください

不登校のお子さんを支えるご家族は、想像以上に消耗します。毎朝の攻防に疲れ、周囲の目や「学校はどうしたの」という何気ない一言に傷つき、ご自身を責めてしまう保護者の方は少なくありません。

訪問看護は、お子さん本人だけでなくご家族の支援も大切な役割と考えています。

  • 接し方や声のかけ方を、お子さんの状態に合わせて一緒に考える
  • 保護者の方自身の不安やしんどさを話せる場になる
  • 定期的に第三者が家庭に入ることで、親子だけの閉じた関係に風を通す

「親なんだから自分が何とかしなければ」と一人で背負う必要はありません。専門職を「チームの一員」として頼っていただくことが、結果的にお子さんにとっても良い環境につながります。

利用の流れ|まずは主治医への相談から

  1. 医療機関への受診・主治医への相談:児童精神科・思春期外来・小児科などの主治医に「訪問看護を使えないか」と相談します。精神科訪問看護指示書は児童精神科など精神科を担当する医師が交付します(小児科に通院中の場合など、どの枠組みでの利用になるかは主治医の判断や状況によりますので、個別にご案内します)
  2. 指示書の依頼:主治医の了解が得られたら、指示書の交付を依頼します。手続きの調整は当ステーションが行います
  3. 初回面談・契約:お子さんの様子やご家族のご希望を伺い、訪問の頻度・曜日を相談して決めます
  4. 訪問開始:短時間の顔合わせから、無理のないペースで始めます

まだ受診していない・受診を迷っている段階でも大丈夫です。学校のスクールカウンセラーや、お住まいの市の教育相談窓口・保健センターなどに相談する方法もありますし、当ステーションでも「そもそもどこに相談すればいいのか」という段階からのご相談を受け付けています。

よくある質問

Q. 本人が「誰にも会いたくない」と言っています。それでも利用できますか?

A. ご本人の気持ちを無視して無理に会うことはありません。最初は保護者の方だけの相談から始め、お子さんには「玄関先であいさつだけ」「同じ部屋にいるだけ」など、少しずつ接点をつくっていく進め方ができます。時間をかけて関係を育てることも、訪問看護の大切な仕事です。

Q. 学校復帰を目指すサービスですか?

A. いいえ。登校を目標として押し付けることはありません。目指すのは、お子さんが安心して過ごせること、生活の土台が整うこと、そしてご家族が孤立しないことです。その先の進路(復学・転校・フリースクールなど)は、お子さんとご家族が自分たちのペースで選んでいけるよう、必要に応じて主治医や関係機関と連携しながら支えます。

Q. 何科を受診すればいいですか?

A. 朝起きられない・頭痛・腹痛など体の症状が目立つ場合は、まずかかりつけの小児科に相談するのが入り口になりやすいです。不安や気分の落ち込みなどこころの不調が目立つ場合は、児童精神科や思春期外来という選択肢もあります。迷う場合はかかりつけ医に相談するか、当ステーションにお問い合わせいただければ、状況に応じた相談先を一緒に考えます。

まとめ:お子さんのペースを、ご自宅で一緒に守っていきます

  • 学校に行けないのは怠けではない。起立性調節障害など、体の仕組みが関わっていることもある
  • 外に出るのがつらいお子さんには、支援のほうから自宅に来る「訪問看護」という選択肢がある
  • 子どもも精神科訪問看護の対象。主治医が必要と認めた場合に、指示書に基づく医療保険のサービスとして利用できる
  • 訪問看護は登校させるためのサービスではない。生活リズムづくり・本人のペースを尊重した関わり・ご家族の相談を軸に支える
  • 受診を迷っている段階の「どこに相談すれば?」というご相談も歓迎

お子さんが学校に行けないことを、ご家族だけで抱え込まないでください。「うちの子も対象になる?」という段階のご質問からで大丈夫です。

対応エリア:船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市・習志野市を中心
お電話(09058020417)またはお問い合わせフォームから、お気軽にご連絡ください。

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