「白いごはんと決まったパンしか食べない」「野菜が一切口に入らない」「給食が食べられず、園に行きたがらない」——偏食は、発達障害のあるお子さんのご家庭でとても多い悩みです。そして「甘やかしているのでは」と周囲から言われやすく、保護者が責められがちなテーマでもあります。
先にお伝えしたいのは、多くの場合これはわがままではないということです。
※本記事は一般的な情報のご紹介です。栄養や食事に関する個々のお子さんへの対応は、必ず主治医にご相談ください。
なぜ食べられないのか
背景には、いくつかの要因が重なっています。
感覚の問題
- 食感:ざらざら、ぬるぬる、繊維が残る——特定の食感が耐えられない
- におい:食べる前の段階でつらい
- 見た目:混ざっている、形が違うだけで別のものに見える
- 温度:熱い・冷たいが苦手
感覚過敏については、関連記事「子どもの感覚過敏どう対応する?」で詳しく扱っています。
「変化」への不安
同じものを食べ続けるのは、予測できるから安心という面があります。初めての食べ物は、口に入れるまで何が起きるかわからない——これは強い不安になり得ます。
過去の経験
無理に食べさせられた、吐いてしまった、という経験が結びついていることもあります。
口の機能
噛む・飲み込む力の発達がゆっくりで、物理的に食べにくい場合もあります。食べているときにむせやすいなど気になる様子があれば、主治医に相談してみてください。
家庭でできる工夫
まず「食べられるもの」を確保する
いちばん大事な出発点です。食べられるものが限られていても、その子が安心して食べられるものがあることをまず守ってください。
そこを崩してまで新しいものを試すと、食べられるものまで減ることがあります。
無理強いはしない
「一口だけ」も、お子さんによっては強い圧力になります。食卓が緊張の場になると、事態は悪化します。
食卓を安全な場所に保つことを優先してください。
少しずつ、段階を踏む
新しい食べ物は、いきなり食べさせようとしません。
- 同じテーブルにある(食べなくてよい)
- お皿に乗っている
- 触ってみる
- においをかぐ
- 舌にのせる(飲み込まなくてよい)
- 食べる
「今日は触れた」で十分な前進です。何か月もかかることがあります。
形を変えてみる
同じ食材でも、切り方・調理法・温度を変えると食べられることがあります。「にんじんが食べられない」のではなく「やわらかいにんじんが苦手」なだけかもしれません。
調理に参加してもらう
自分で作ったものは食べやすくなることがあります。混ぜる、盛りつけるだけでも構いません。
栄養が心配なときの目安
次のような場合は、主治医への相談をおすすめします。
- 体重が減っている/増えない(成長曲線から外れてきた)
- 極端に食べられるものが少なく、特定の栄養素が長期間とれていない
- 水分がとれない
- 食べる量が急に減った
栄養面をどう補うかは、お子さんの状態を診たうえで主治医が判断します。自己判断で何かを始める前に、まず受診の際に相談してみてください。
体重が保たれていて元気なら、多少の偏りは長い目で見て構わないことが多いです。まずは医師に確認してください。
園・学校の給食について
給食が大きな壁になることがあります。園や学校に対しては、次のように伝えるのが有効です。
- 食べられないものの具体名と理由(食感/におい等)
- 無理に食べさせないでほしいこと
- 代わりにできること(減らす、別皿にする、持参の可否)
「食べられないこと」よりも、食事の時間が苦痛になって園・学校が嫌いになることのほうが、長期的には大きな損失です。
訪問看護でできること
- 食事の場面を実際に見せていただき、何がつらいのかを一緒に整理します
- 作業療法士による感覚面からの整理:食感・におい・見た目など、どこがハードルになっているかを一緒に考えます
- 体重・成長の経過を記録し、主治医に報告します
- 食べ方で気になる様子(むせやすい など)があれば、主治医への相談につなげます
- 園・学校に渡す資料づくりのお手伝い
- 保護者の気持ちの受け止め:毎食のことなので、消耗が大きいテーマです
「ちゃんと食べさせられていない」と自分を責める必要はありません。食べられない理由があるという前提から、一緒に考えていきましょう。小児の訪問体制は「小児訪問看護のご案内」で紹介しています。ご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。
あおい訪問看護ステーション
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