きょうだい児の支援|「いい子」でいる子どもへの関わり方と相談先

「上の子には、ずっと我慢をさせてしまっている」「下の子が『わたしも病気になりたい』と言った」「手のかからない子だから、つい後回しになる」

医療的ケアや障害のあるお子さんのごきょうだいは、きょうだい児と呼ばれます。

支援の話題は、どうしても当事者のお子さんが中心になります。けれど、その隣にいるきょうだいもまた、特別な状況の中で育っていることに変わりはありません。

この記事では、きょうだい児が抱えやすい思いと、家庭でできることを整理します。

目次

きょうだい児が抱えやすいこと

「いい子」でいようとする

親が大変なことを、子どもはよく見ています。だから困らせないようにする。わがままを言わない。手伝いを申し出る。

「手のかからない子」は、手がかからないのではなく、かけさせないようにしていることがあります。

我慢が当たり前になる

  • 行事に親が来られない
  • 家族での外出が難しい
  • 静かにしていなければならない場面が多い

一つひとつは小さくても、積み重なります。

複雑な感情を抱える

きょうだいを大切に思う気持ちと、うらやましさ・怒り・恥ずかしさが同時に存在します

そしてその後に、そう感じた自分への罪悪感が来ます。この矛盾を、子どもは一人で抱えがちです。

相談できる相手がいない

親には言えない(負担をかけたくない)。友達には分かってもらえない。学校の先生も家庭の事情までは知らない。

行き場のない話になりやすいのが、きょうだい児の特徴です。

将来への不安

「自分が面倒をみることになるのだろうか」——年齢が上がるにつれ、この不安が具体的になってきます。

家庭でできること

完璧を目指す必要はありません。すでに手一杯の中で、できる範囲でという前提でお読みください。

1対1の時間を、短くても意図的につくる

15分でも構いません。その子だけに向き合う時間を、意図してつくることに意味があります。

「一緒に買い物に行く」「寝る前に少し話す」——特別なことでなくて大丈夫です。

「ありがとう」と「ごめんね」の使い分け

手伝ってくれたときは「ありがとう、助かった」。

「ごめんね」を繰り返すと、子どもは「自分の存在が親を苦しめている」と受け取ることがあります。感謝のほうを多めに。

説明する

年齢に応じて、きょうだいの状態を説明します。分からないまま置かれることが、いちばん不安です。

「なぜ入院しているのか」「どういう病気なのか」を知ることで、気持ちの整理がしやすくなるお子さんは多くいます。

気持ちを否定しない

「お姉ちゃんなんだから」「そんなこと思っちゃだめ」——つい言ってしまいがちですが、これは気持ちの行き場を塞ぎます。

「そう思うこともあるよね」と、いったん受け止めることから始まります。

親以外の大人とのつながりをつくる

祖父母、親戚、学校の先生、支援者。親に言えないことを言える相手が一人でもいると、お子さんにとって大きな支えになることがあります。

「きょうだい会」を知っておく

同じ立場の子どもが集まる「きょうだい会」「シブリングサポート」といった活動が各地にあります。同じ経験をした子と出会えることには、大人が想像する以上の意味があります。

たとえば、病気のお子さんのきょうだいを支援する団体としてNPO法人しぶたね(2003年活動開始)があり、きょうだいの子どもたちが集まるワークショップや、家族向けの情報発信を行っています。また、おとなになったきょうだいの全国組織として全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(全国きょうだいの会)(1963年発足)があります。開催地域や参加方法は各団体の公式サイトでご確認ください。

千葉県内で参加できるきょうだい児の会・家族会については、千葉県医療的ケア児等支援センター「ぽらりす」や、担当の相談支援専門員に尋ねてみるのが近道です。

学校に伝えておく

きょうだい児の事情を、担任やスクールカウンセラーに共有しておくことをおすすめします。

  • 家庭の状況(きょうだいに医療的ケアがあること)
  • 行事に親が参加しにくい場合があること
  • 本人が話したがらない可能性があること

「知っている大人が学校にいる」状態をつくっておくと、いざというときに動きやすくなります。

訪問看護でできること

私たちが訪問するのは、当事者のお子さんの支援のためです。けれど、家に伺うということは、家族全体に会うということでもあります。

  • 保護者がきょうだい児と過ごす時間をつくる:訪問看護師がケアを行っている時間を、上の子・下の子と過ごす時間にあてていただけます
  • きょうだい児の様子も気にかける:訪問時にお会いする中で、気になる様子があればお伝えします
  • 保護者の相談相手:「上の子にどう説明すればいいか」といったご相談も承ります
  • レスパイトの選択肢を一緒に考える:短期入所などを組み合わせ、家族の時間を確保する方法を整理します

きょうだい児への直接的なカウンセリングは行いませんが、家族全体を見る視点を大切にしています。医療的ケア児の在宅支援の全体像は、関連記事「医療的ケア児の在宅支援|小児訪問看護でできること・相談先」で解説しています。

最後に

きょうだい児のことで悩む保護者の方は、たいていすでに十分やっています。その上で「足りていないのでは」と感じておられる。

完璧な配分は誰にもできません。気にかけている、という事実そのものが、少しずつ子どもに伝わっていきます。

一人で抱え込まず、周りの手を借りてください。

あおい訪問看護ステーション
船橋市丸山3-1-2-202|TEL 050-5536-3136
対応エリア:船橋市・鎌ケ谷市・市川市・白井市
24時間365日の連絡体制/土日祝も通常営業
お問い合わせはこちら小児訪問看護チームのご紹介

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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