「退院と言われたけれど、家でやっていけるのだろうか」「吸引や経管栄養を、親だけでできる自信がない」「夜、何かあったらどうすればいいのか」
NICU・GCUからの退院は、うれしさと不安が同時に来る時期です。病院という24時間看護師がいる環境から、家庭へ——その落差に戸惑うのは当然です。
この記事では、退院前に準備しておきたいことを整理します。
※2026年8月時点の情報です。制度の内容・要件はお住まいの市によって異なるため、詳細は病院の地域連携室・自治体窓口にご確認ください。
退院までのおおまかな流れ
- 退院の方針が出る(主治医・病棟から)
- 退院支援の面談:病院の地域連携室・退院支援看護師・MSW(医療ソーシャルワーカー)が中心
- 在宅で必要なケアの確認:どの医療的ケアが必要か
- ご家族への手技指導:吸引、経管栄養、機器の扱いなどを病棟で練習
- 在宅サービスの調整:訪問看護、必要な医療機器・衛生材料の手配
- 外泊訓練:実際に自宅で過ごしてみる
- 退院前カンファレンス:病院・在宅側の関係者が集まって方針を確認
- 退院
訪問看護は、退院前の段階から関わることができます。 退院してから探すのではなく、退院前カンファレンスに参加させていただくのが理想的です。
退院前に確認しておきたいこと
医療的ケアの内容
- どのケアが、1日何回必要か
- 使用する機器(人工呼吸器、吸引器、酸素濃縮器、経管栄養ポンプ等)
- 消耗品(吸引カテーテル、栄養チューブ等)の入手方法と費用
- 機器の故障時・停電時の連絡先
停電・災害への備えは、関連記事「医療的ケア児の災害・停電への備え」で詳しく解説しています。
緊急時の対応
- 急変時にどこに連絡するか(時間帯別に)
- 救急要請の目安
- かかりつけ医と病院の役割分担
この確認が曖昧なまま退院すると、最初の夜が非常に不安になります。 遠慮なく、具体的に聞いてください。
家の環境
- ベッドや機器を置く場所、電源の確保(コンセントの数と位置)
- 掃除しやすさ(感染予防)
- 冬・夏の室温管理
- 訪問者が入れる動線
使える可能性のある制度
お子さんの状態や世帯の状況によって、次のような制度が使える場合があります(名称は国・千葉県・船橋市の公表情報に基づく2026年8月時点のものです)。
- 未熟児養育医療:入院中の養育医療にかかる費用の給付。申請は入院中に行う制度のため、該当しそうな場合は早めに病院・市の窓口へ(船橋市の案内)
- 小児慢性特定疾病医療費助成:対象疾病に該当する場合、訪問看護を含む医療費の自己負担が軽減される制度(船橋市/千葉県。申請窓口はお住まいの市により異なります)
- 子ども医療費助成:通院・入院の自己負担を軽減する各市の制度(船橋市の例。内容は市によって異なります)
- 特別児童扶養手当・障害児福祉手当:障害のあるお子さんを育てる家庭への国の手当(厚生労働省の案内。所得制限等の要件があります)
- 身体障害者手帳(該当する場合):各種支援・助成の入口になります
- 日常生活用具の給付(吸引器等):市の障害福祉窓口が担当
- 訪問看護・訪問診療:医療保険で利用します
- 医療型短期入所(レスパイト):ご家族の休息のための宿泊サービス
なお船橋市では、2026年7月から医療的ケア児在宅レスパイト事業(訪問看護師がご家族に代わって見守る費用を市が助成する制度)も始まっています。
手続きは種類が多く、窓口も分かれています。市ごとの詳細はお住まいの市の窓口へ。全体の整理は病院のMSW、または相談支援専門員に手伝ってもらうのが確実です。
手技指導を受けるときのコツ
病棟で練習する期間は、遠慮せずできるまで何度でも教わってください。
- わからないことをメモに書き出しておく
- 実際に自分の手でやってみる(見ているだけでは身につきにくいものです)
- 「うまくいかなかったとき、どうするか」も聞いておく
- 動画を撮らせてもらえるか確認する(家で見返せます)
「できるようになってから退院」ではなく、「退院してからも支えてもらえる」と考えていただいて大丈夫です。訪問看護がその役割を担います。
最初の1か月をどう乗り切るか
退院直後は、ご家族がもっとも消耗しやすい時期です。
- 訪問看護の頻度を最初は多めに設定できる場合があります。主治医・訪問看護ステーションにご相談ください
- 「完璧にやろう」としない。困ったときにすぐ相談できる先を持っておくことのほうが大切です
- 睡眠を確保する工夫を、最初から考えておく。夜間対応が続くと疲れがたまりやすくなります
- 頼れる家族・親族がいれば、具体的な役割をお願いしておく
訪問看護の関わり方
- 退院前カンファレンスへの参加:病院と直接、方針とケア内容を確認します
- 退院直後の訪問:ご自宅での実際の場面を一緒に確認します
- 手技の定着支援:病棟で習ったことを、家の環境でやってみて調整します
- 24時間の連絡体制:夜間に不安なことがあれば電話でご相談いただけます
- 主治医・病院との連携:状態の変化を報告し、必要時は受診につなげます
当ステーションは、人工呼吸器管理・経管栄養(経鼻含む)・気管切開部のケアなどに対応しています。小児訪問看護でできることの全体像は、関連記事「医療的ケア児の在宅支援|小児訪問看護でできること・相談先」をご覧ください。
「退院はまだ先だけれど、相談だけしておきたい」という段階からのご連絡を歓迎しています。 早いほど、準備に余裕が生まれます。
あおい訪問看護ステーション
船橋市丸山3-1-2-202|TEL 050-5536-3136
対応エリア:船橋市・鎌ケ谷市・市川市・白井市
24時間365日の連絡体制/土日祝も通常営業
お問い合わせはこちら/小児訪問看護チームのご紹介
病院の地域連携室・退院支援担当の皆さまからのご連絡もお待ちしています。

