ターミナル期のケアプランの組み方|訪看・福祉用具・訪介の連携と急変対応

ターミナル期のケアプランの組み方|訪看・福祉用具・訪介の連携と急変対応(あおい訪問看護ステーション)

末期がん等で状態が急速に変化する利用者のケアプランは、通常のケアマネジメントよりも、状態の変化に合わせた早めの準備が大切になります。要介護認定の結果を待っている間に状態が悪化する、軽度の認定のままでは必要な福祉用具が使えない、夜間に急変したときの連絡先が整理されていない——こうした点にあらかじめ目を向けておくことが、利用者・ご家族の安心につながります。

この記事では、①要介護認定の迅速化の仕組み、②軽度者でも福祉用具貸与が例外的に認められる場合、③医療保険(別表7)への切替、④訪看・福祉用具・訪問介護の連携、⑤夜間急変時の連絡体制の設計、を整理します。

※本記事は2026年8月時点の制度情報をもとにしています。介護報酬・診療報酬は改定されるため、最新の取扱いは厚生労働省・各保険者の公式情報をご確認ください。単位数・点数については本記事では言及していません(改定により変動するため、最新の告示・通知でご確認ください)。

目次

ターミナル期のケアプランで起こりやすい3つの課題

  • 認定待ちの時間差:要介護認定の申請から結果が出るまでには一定の日数がかかりますが、末期がん等の方はその間に状態が大きく変わることがあります。
  • 軽度者の福祉用具:要支援・要介護1のままでは、特殊寝台や車いすなどの福祉用具貸与が原則対象外になります。
  • 急変時の連絡体制:夜間・休日に状態が悪化したとき、家族や訪問介護スタッフが「まず誰に連絡すればよいか」を決めておくと、いざというときに落ち着いて動きやすくなります。

要介護認定の迅速化について

厚生労働省老健局老人保健課の事務連絡「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項」(平成22年4月30日)では、保険者(市町村)の判断により、要介護認定の結果が出る前の段階でも、暫定ケアプラン(認定結果が確定する前に、見込みの要介護度をもとに仮に作成するケアプランのこと)を作成して介護サービスの提供を開始できることが示されています。

この事務連絡では、一部の保険者において、末期がん等で迅速な対応が必要と判断された方について、申請と同日中に認定調査を実施し、ケアマネジャーが暫定ケアプランを作成してサービス提供を開始している例があることが紹介されています。ただし、これは「一部の保険者の取組」として紹介されているものであり、全国一律で行われている運用ではありません。船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市における実際の運用については、本記事執筆時点で個別に確認できていないため、対応可能かどうかは各市の介護保険担当窓口・地域包括支援センターに確認していただけると安心です。

その他、この事務連絡で示されている実務上のポイントは次のとおりです。

  • 主治医意見書の診断名欄に「末期がん」であることを明示することが、迅速な審査につながるとされている(ただし、ご本人への告知の状況への配慮も併せて求められています)
  • 直近の認定審査会で二次判定を行うなど、迅速な要介護認定の実施が保険者に依頼されている
  • 状態が急激に悪化した場合には、区分変更申請(要介護度の見直しを申請する手続き)を行うことも周知されている

つまり、「認定結果を待たずに動く方法」と「認定を早めてもらう方法」の両方が制度上用意されているということです。担当ケースで状態の急速な悪化が見込まれる場合は、早めに保険者に相談し、暫定ケアプランの可否や区分変更のタイミングを確認しておくと、その後の動きが取りやすくなります。

軽度者でも福祉用具貸与が例外的に認められる場合

要支援1・2、要介護1の方(いわゆる軽度者)は、原則として特殊寝台・車いす・床ずれ防止用具などの福祉用具貸与費を算定できません。しかし、厚生労働省の事務連絡「末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について」(平成22年10月25日)では、「疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに」日常的な起き上がり・寝返りが困難となることが確実に見込まれる方については、市町村の判断で例外的に福祉用具貸与を算定できることが示されています。がん末期による急速な状態悪化は、この例外の対象例として明記されています。

ここで注意したいのは、この例外給付は自動的に使えるわけではないという点です。判断は次の要素に基づいて行われます。

  • 医師の医学的所見(主治医意見書・診断書等)
  • サービス担当者会議等での適切なケアマネジメントの判断
  • それらをもとにした市町村の確認

そのため、軽度の認定を受けている末期がんの利用者に特殊寝台等が必要と判断した場合は、主治医の所見を早めに確認し、サービス担当者会議での検討を経て、保険者に確認を取るという手順を踏んでおくと安心です。「がん末期だから自動的に使える」という説明は正確ではないため、利用者・ご家族への説明でも「保険者の判断により、例外的に認められる場合がある」という伝え方が安全です。

医療保険への切替(別表7)

末期の悪性腫瘍の利用者については、要介護認定を受けていても、訪問看護は介護保険ではなく医療保険(訪問看護療養費)の適用に切り替わるという整理があります。これは、医療保険の「厚生労働大臣が定める疾病等」(別表第7。医療保険の訪問看護を優先的に使える対象疾病のリストのこと)に末期の悪性腫瘍が含まれているためで、この場合、訪問看護は週4日以上の利用が可能になります。

ケアプランを組む際は、「介護保険でできることと、医療保険でできることが変わる」という程度の理解で十分です。訪問看護が医療保険に切り替わった場合、その分は介護保険の給付管理・区分支給限度基準額の対象外になります。詳しい制度の位置づけは、関連記事「訪問看護は医療保険と介護保険どっち?」でも解説していますのでご参照ください。単位数や点数の詳細はここでは触れませんので、必要な場合は主治医・訪問看護ステーションにご確認ください。

訪看・福祉用具・訪問介護の連携でケアプランを組むポイント

ターミナル期は状態の変化が速いため、通常より短いサイクルでケアプランを見直す前提で組んでおくと現実的です。

  • サービス担当者会議のタイミングを前倒しする:状態悪化が見込まれる時点で、通常よりも早めに関係者を集めておくと、実際に状態が変わったときの対応が早くなります。
  • 訪問看護からの状態報告を起点に見直す:訪問看護師が身体状況の変化に最初に気づくことが多いため、報告を受けたらケアプランの見直しサイクルに乗せる流れを作っておきます。
  • 医療的ケアと生活援助の役割分担を明確にする:医療的な観察・処置が必要な部分は訪問看護、食事・清潔・排泄などの生活面の支援は訪問介護、というように役割を事前にすり合わせておくと、急な状態変化があっても混乱しにくくなります。

夜間・急変時の連絡体制の設計

ターミナル期のケアプランで大切になるのが、夜間・休日の急変時に「誰が」「どこに」連絡するかを事前に決めておくことです。

  • 24時間対応の訪問看護ステーションと連携し、緊急連絡先を一本化しておく
  • 家族・訪問介護スタッフに「まず誰に連絡するか」を事前に共有し、迷わず動けるようにしておく
  • 主治医・訪問看護・ケアマネジャーの間で、急変時の対応方針(救急要請の判断基準など)についてあらかじめ話し合っておく

あおい訪問看護ステーションは24時間365日の連絡体制を整えており、ターミナル期の利用者・家族からの夜間の相談にも対応しています。看取りが近い段階での在宅生活の組み方については、関連記事「自宅での看取りはできる?在宅看取りの流れと訪問看護の役割」もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 暫定ケアプランは、どの利用者でも使えますか?

A. 保険者(市町村)の判断が前提になります。末期がん等で状態が急速に変化する見込みがある場合に検討される仕組みであり、まずは担当の保険者にご相談ください。

Q. 福祉用具の例外給付は、診断書があれば必ず使えますか?

A. 診断書(医師の医学的所見)だけで自動的に決まるわけではありません。サービス担当者会議での検討を経て、最終的には市町村が確認するプロセスになります。

Q. 訪問看護が医療保険に切り替わったら、ケアプラン自体はどう変わりますか?

A. 医療保険から給付される訪問看護は介護保険の給付管理の対象外になりますが、他の介護保険サービス(訪問介護・福祉用具貸与等)は通常どおりケアプランで管理します。全体像を把握するため、居宅サービス計画書には医療保険サービスの利用状況も記載しておくのが一般的な実務です。

まとめ|状態の変化に合わせてケアプランを組む

  • 要介護認定の結果を待たずに動ける仕組み(暫定ケアプラン・区分変更)が制度上用意されているが、運用は保険者の判断に依るため、対応エリアでの実際の運用は事前確認が必要
  • 軽度者でも福祉用具貸与が例外的に認められる場合があるが、主治医の所見とサービス担当者会議での検討が前提
  • 末期の悪性腫瘍は訪問看護が医療保険に切り替わり、週4日以上の利用が可能になる整理がある
  • 夜間急変時の連絡体制を事前に一本化しておくことが、利用者・家族の安心につながる

あおい訪問看護ステーションでは、ターミナル期のケアプラン作成にあたって、訪問看護からの状態報告・急変時の連絡体制づくりについてケアマネジャー様からのご相談に随時対応しています。

ケアマネジャー様・連携室様:空き状況・受け入れ可否はお電話1本でご回答します。あおい訪問看護ステーション 050-5536-3136(最短当日〜翌日の初回訪問もご相談ください) 対応エリア:船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市を中心

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