介護保険2026年夏の動き|在宅で使う方に関係するのは2つ

介護保険2026年夏の動き。在宅で使う方に関係するのは2つ、食費の基準額は1日あたり100円増。

2026年の夏、介護保険で実際に動いたのは2つです。8月1日に施設とショートステイの食費の基準額が1日1,445円から1,545円に上がり、船橋市では介護保険料に税情報が反映されない方がいました。2割負担の対象拡大やケアプランの全面有料化は、まだ決まっていません。

ニュースやSNSでは「負担が増える」「ケアプランが有料になる」といった言葉も流れています。ただ、在宅で訪問看護やヘルパーを使っている方の暮らしに、この夏そのまま影響したのは、上の2つだけです。残りは事業者側の手続きの話か、2027年度以降に向けた「これから決める」話です。

ここでは、すでに決まって実際に動いたことと、まだ決まっていないことを分けて整理します。数字はすべて厚生労働省と市の公式ページで確認し、出典を記事の最後にまとめています。

目次

この夏、在宅の方に関係したのは2つ

2026年の夏に決まったことと、これから決めることを2列に並べた図。決まったのは8月1日の食費の基準額引き上げと船橋市の介護保険料の訂正。まだ決まっていないのは利用者負担2割の対象拡大、ケアプランの全面有料化、2027年度の介護報酬改定。
  1. 2026年8月1日、施設とショートステイの食費の基準額が上がった(1日あたり100円)
  2. 船橋市で、令和8年度の介護保険料に税情報が反映されない方がいた(65歳以上155,822人のうち5,233人)

ご自宅で訪問看護・訪問介護だけを使っている場合、1は「ショートステイを使う月」だけ関係します。毎月の訪問の自己負担が、この夏に上がったわけではありません。

①8月1日から、食費の基準額が1日100円上がった

介護保険の施設(特別養護老人ホームなど)とショートステイでは、食費の目安として「基準費用額」が決められています。これが2026年8月から変わりました。

介護保険施設とショートステイの食費の基準費用額が、2026年7月までの1日1,445円から、8月以降は1,545円へ100円上がったことを示す図。
2026年7月まで2026年8月から
食費の基準費用額(1日)1,445円1,545円

1日あたり100円、30日分ならおよそ3,000円の差です。ショートステイを定期的に使っている方は、8月分以降の請求書で金額が変わっている可能性があります。

所得が低い方は「負担限度額認定」を受けると食費の自己負担に上限が設けられますが、この上限額も段階に応じて見直されました。第1段階(1日300円)は据え置きです。ご自身がどの段階で、いくらになるかは、お住まいの市から届く負担限度額認定証と市の案内でご確認ください。

この見直しは、2026年6月1日に行われた介護報酬改定の一部です。厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」では、改定率+2.03%の内訳として「処遇改善分+1.95%、基準費用額(食費)の引上げ分+0.09%」と説明されています。

②船橋市の介護保険料で、一部の方の税情報が反映されなかった

船橋市は2026年6月12日、令和8年度の介護保険料の計算で、一部の方の税情報を取り込めなかったことを公式ページで公表しました。

船橋市の介護保険料の訂正について、納付書払い・口座振替・年金からの天引きの3つの支払い方法ごとの対応を並べた図。年金天引きの方は8月の天引きがなく、8月分は10月・12月・2月に分けて徴収される。
  • 対象:65歳以上の被保険者 155,822人のうち5,233人
  • 年間にお支払いいただく本来の介護保険料の総額は変わりません

支払い方法によって対応が違います。

支払い方法市が案内している対応
納付書払い6月30日が納期限の第1期分だけ支払い、2期分以降は破棄。7月上旬に正しい通知書が届く
口座振替7月上旬に正しい通知書が届き、7月からは変更後の金額で引き落とし
年金から天引き8月の天引きは行われない。本来8月に天引き予定だった分は、10月・12月・2月に分けて徴収

年金天引きの方は「8月だけ引かれていない」「10月から増えた」と感じるかもしれませんが、これはこの訂正によるものです。

あわせてご注意ください。船橋市は「本件に関して、『還付金がある』と市からお電話をすることはございません」として、市職員を騙った還付金詐欺への注意を呼びかけています。市役所を名乗る電話でATMへ誘導されたら、いったん切って市の代表電話にかけ直してください。

③6月1日、介護報酬と診療報酬が同時に改定された

2026年6月1日、介護報酬と診療報酬が同じ日に改定されました。介護報酬は次の改定(2027年度)を待たずに行われた「期中改定」で、改定率は+2.03%です(厚生労働省 令和8年度介護報酬改定について)。

これは主に事業所に支払われる報酬の話で、利用者の自己負担割合(1〜3割)が変わったわけではありません。ただ、訪問看護を使っている方に関係するところが1つあります。

訪問看護に、介護保険の「介護職員等処遇改善加算」が初めて新設されました(加算率1.8%)。これまで訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援はこの加算の対象外でした。事業所が算定すると、その分は介護給付費の総額に乗るため、自己負担額にもわずかに反映されます

サービス新設された加算率
訪問看護1.8%
訪問リハビリテーション1.5%
居宅介護支援・介護予防支援2.1%

医療保険の訪問看護を使っている方についても、同じ6月1日に見直しがありました。訪問看護ステーション側では、記録に実際の訪問開始・終了時刻を書くこと、経済上の利益による誘引を禁止することなどが新たに定められています。利用者側の手続きが増えるものではありません。

医療保険と介護保険のどちらで訪問看護を使うかについては、訪問看護は医療保険と介護保険どっち?で説明しています。

④6月25日、法律が公布された(施行はこれから)

2026年6月25日、社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)が公布されました(厚生労働省の公布通知・PDF)。介護保険に関係する主な内容は次のとおりです。

  • ケアマネジャーの資格更新制の廃止(介護支援専門員証の有効期間そのものを廃止)
  • 中山間・人口減少地域向けの「特定地域サービス」の新設
  • 中重度者向け有料老人ホームの都道府県登録制と、「登録施設介護支援」の新設
  • 特定福祉用具販売の費用額に基準を設ける

大半の施行は2027年4月1日で、ケアマネの更新制廃止は公布から1年6か月以内の政令で定める日です。この夏の時点で、利用者の手続きが変わったわけではありません。

ここからは「まだ決まっていないこと」

ここから先は、すべて検討中で、決まっていません。

利用者負担2割の対象拡大

決まっていません。これを議論する社会保障審議会・介護保険部会は、2026年6月から8月までに1回(6月29日)しか開かれておらず、給付と負担の議論は9月18日の第136回から再開します。「この夏に2割負担が決まった」という事実はありません。

ケアプランの有料化

居宅介護支援(ケアプラン作成)を全面的に有料にすることは、決まっていません。

一方で、6月25日に公布された法律で、中重度者向け有料老人ホームの入居者に対する「登録施設介護支援」については利用者負担を求めることが定められました(施行は2027年4月1日)。これは登録制の対象となる施設に入居している方に限った話で、在宅でケアマネジャーに計画を立ててもらっている方の負担が決まったわけではありません。

SNSでは「ケアプラン有料化が確定した」という投稿も見られますが、この2つは別のものです。

2027年度の介護報酬改定

2027年度の改定に向けた議論が、夏のあいだ続いていました。訪問看護は6月29日の介護給付費分科会で議論されています。議論の段階で、報酬額は決まっていません。

まとめ

  • この夏、在宅で使う方に直接関係したのは、8月1日の食費の見直しと、船橋市の保険料の訂正の2つ
  • 6月1日の報酬改定は主に事業所側の話。ただし訪問看護に処遇改善加算1.8%が新設された
  • 6月25日公布の法律は、施行が2027年4月以降
  • 2割負担の対象拡大もケアプランの全面有料化も、決まっていません

ご自身の負担がいくらになるかは、訪問看護の料金はいくら?でも整理しています。わからないことがあれば、担当のケアマネジャーか、当ステーションにご相談ください。

参考リンク(公式ページ)

※すべて2026年9月16日に内容を確認しました。

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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