「訪問看護を勧められたけれど、医療保険と介護保険のどっちが使えるの?」「結局、自己負担はいくらくらい?」——訪問看護の費用まわりは、検討中の方が最初につまずくポイントです。
実は、訪問看護でどちらの保険が適用されるかは自分で選ぶものではなく、年齢・要介護認定の有無・病名や状態によって自動的に決まります。ルールさえ分かれば、「うちはどっちか」はほぼ判断できます。
この記事では、適用の基本ルール、医療保険になる主なケース、自己負担の目安、負担を軽くする制度、迷ったときの相談先を順に解説します。
※2026年7月時点の情報です。診療報酬・介護報酬は改定されるため、最新の制度は厚生労働省等の公式情報をご確認ください。
適用の基本ルール:まず「要介護認定」があるかどうか
大きな流れは次の通りです。
- 要介護・要支援認定を受けている → 原則として介護保険
- ただし認定を受けていても、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当する、精神科訪問看護指示書による訪問看護を受ける、特別訪問看護指示書が交付された——これらの場合は医療保険
- 要介護認定を受けていない(40歳未満の方、認定対象外の方など) → 医療保険
かんたんな判定イメージを表にすると:
| 状況 | 適用される保険 |
|---|---|
| 要介護・要支援認定あり(下の例外に該当しない) | 介護保険 |
| 認定ありだが「別表7」の疾病に該当 | 医療保険 |
| 認定ありだが精神科訪問看護指示書による訪問(認知症を除く) | 医療保険 |
| 急性増悪などで特別訪問看護指示書が出た期間 | 医療保険(一時的) |
| 要介護認定なし(小児・40歳未満・自立判定など) | 医療保険 |
介護保険が使える場合は介護保険が「優先」される、と覚えておくと整理しやすいです。
医療保険になる主なケース
① 厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当する場合
「別表7」とは、国が定めた疾病等のリストです。該当すると、要介護認定があっても医療保険での訪問看護となり、週4日以上の訪問など手厚い対応が可能になります。主な疾病は次の通りです。
- 末期の悪性腫瘍(がん末期)
- 多発性硬化症、重症筋無力症、スモン
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症
- ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病〔ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度が2度または3度〕)
- 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)
- プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群(AIDS)、頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
※正式な名称・範囲は「特掲診療料の施設基準等 別表第7」に定められています。ご自身が該当するかは主治医または訪問看護ステーションにご確認ください。
② 精神科訪問看護を受ける場合
精神科を担当する医師の「精神科訪問看護指示書」による訪問看護は、要介護認定があっても医療保険が適用されます(主傷病が認知症の場合は対象外で、介護保険での対応になります)。詳しくは記事「精神科訪問看護とは」をご覧ください。
③ 特別訪問看護指示書が交付された場合
肺炎の悪化や退院直後など、急性増悪等で集中的な訪問が必要と主治医が判断した場合、「特別訪問看護指示書」により一時的に医療保険での訪問看護(頻回訪問)が可能になります。
自己負担の目安
介護保険の場合:1〜3割
介護保険の自己負担は、所得に応じて費用の1割・2割・3割のいずれかです(毎年届く「介護保険負担割合証」で確認できます)。要介護度ごとの支給限度額の範囲内で、他のサービスと組み合わせてケアプランに位置づけます。
医療保険の場合:1〜3割
医療保険の自己負担は、病院にかかるときと同じ割合です。
- 義務教育就学前:2割
- 就学後〜69歳:3割
- 70〜74歳:2割(現役並み所得の方は3割)
- 75歳以上(後期高齢者):1割(一定以上所得の方は2割、現役並み所得の方は3割)
このほか、訪問看護の内容や体制に応じた「加算」(24時間対応体制加算など)にも同じ割合の自己負担がかかります。
※実際の月額は訪問回数・時間・加算の有無で変わるため、円単位の金額は見積もりでご確認いただくのが確実です。
負担を軽くする制度
自己負担が高額になる場合も、次のような軽減制度があります。
- 高額療養費制度(医療保険):1か月の医療費の自己負担が、年齢・所得に応じた上限額を超えた分は払い戻されます。ご加入の医療保険(健康保険組合・協会けんぽ・国保・後期高齢者医療)にご確認ください。
- 高額介護サービス費(介護保険):1か月の介護サービス自己負担の合計が所得に応じた上限額を超えた分が支給されます。申請先はお住まいの市町村です。
- 自立支援医療(精神通院医療):精神科訪問看護では、自己負担が原則1割に軽減され、所得に応じた月額上限が設けられます(記事A-4で詳述)。
- 公費負担医療・小児医療費助成など:難病医療費助成、お子さんの医療費助成等が使える場合があります。
「どれが使えるか分からない」という場合も、ケアマネジャーや訪問看護ステーションが一緒に整理しますのでご安心ください。
迷ったら誰に聞く?
- ケアマネジャーがいる方 → まずケアマネジャーへ
- 入院中の方 → 病院の地域連携室・退院支援看護師へ
- かかりつけ医がいる方 → 主治医または外来の看護師へ
- どこに聞けばいいか分からない方 → お住まいの地域包括支援センター、または訪問看護ステーションへ直接
保険の判定は個別性が高く、「別表7に該当するか」「認定を取るべきか」はケースバイケースです。自己判断で諦めず、専門職に確認するのが近道です。
よくある質問
Q. 医療保険と介護保険、自分で好きな方を選べますか?
A. 選べません。年齢・要介護認定の有無・病名や状態によって、適用される保険は制度上決まっています。ただし「要介護認定を申請するかどうか」で結果的に変わるケースはあるため、迷う場合はケアマネジャーや訪問看護ステーションにご相談ください。
Q. 介護保険の限度額がいっぱいで、訪問看護が入れられません。どうすれば?
A. 別表7の疾病に該当する場合や特別訪問看護指示書が出た場合は、訪問看護が医療保険に切り替わり、介護保険の限度額の枠外になります。該当しない場合も、ケアプランの調整で組み込める場合がありますので、ケアマネジャーと訪問看護ステーションにご相談ください。
Q. 訪問看護は月にいくらくらいかかりますか?
A. 保険の種類・負担割合・訪問回数・加算によって大きく変わるため、一概には言えません。当ステーションでは、状況をお伺いしたうえで費用の目安を無料でお出ししています。負担軽減制度が使えるかどうかも併せてご案内します。
まとめ
- 要介護・要支援認定があれば原則介護保険、認定がなければ医療保険
- 認定があっても、別表7の疾病・精神科訪問看護・特別訪問看護指示書の場合は医療保険
- 自己負担はどちらの保険でも原則1〜3割。高額療養費・高額介護サービス費・自立支援医療などの軽減制度もある
- 判定は個別性が高いので、迷ったら専門職に相談を
あおい訪問看護ステーションでは、費用の見積もり相談を無料で承っています。「どっちの保険になるのか」「月いくらかかるのか」を、ご本人の状況に沿って具体的にご案内します。
対応エリア:船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市を中心 お電話(050-5536-3136)またはお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

