特指示(特別訪問看護指示書)の条件は?急変からの14日・月2回の例外・相談の言い方

特別訪問看護指示書の条件は?急変からの14日|あおい訪問看護ステーション(船橋市)のブログ記事のアイキャッチ画像

利用者さんの状態が急に変わり、「今の訪問回数では足りない」と感じたとき、現場でよく話題になるのが特別訪問看護指示書(いわゆる特指示・特別指示書)です。名前は知っていても、「いつ頼む?」「何日使える?」「介護の限度額はどうなる?」が曖昧だと、相談のタイミングを逃しがちです。

この記事では、急変からの14日・よくある誤解・相談の言い方・判定の流れを一本につなげて整理します。ケアマネジャー・看護職・ご家族が、同じ言葉で主治医・訪問看護ステーションと話せることを目指しています。

目次

特指示の条件・14日・月2回・医療保険|先に答え

  • 条件:急性増悪・終末期・退院直後等で、主治医が「一時的に週4日以上の頻回な訪問看護が必要」と判断したとき
  • 期間:交付日から14日以内
  • 回数:原則月1回。気管カニューレを使用中の方、真皮を越える褥瘡のある方は月2回まで
  • 保険:期間中の訪問看護は医療保険(介護保険の限度額の対象外)
特指示の14日の流れを4段階で示した図。変化に気づく、主治医が交付、交付日から14日以内に頻回訪問、14日目のあとは原則の保険へ戻る。下段に条件・期間・回数・保険の早見。

特指示の使い方|急変から14日をどう組むか(5ステップ)

たとえば、肺炎の悪化、褥瘡の重症化、退院直後で観察と処置が立て込むといった場面で、「一時的に訪問看護を増やしたい」という感覚が出てきます。特指示は、通常の訪問看護指示書とは別に交付される、期間限定の指示書です。急変から14日が終わるまでの流れを、順に見ていきます。

  1. 変化に気づく
    発熱・呼吸・皮膚・服薬・食事量など「いつもと違う」が見えた時点で、主治医・訪問看護ステーションへ早めに共有します。算定できるのは交付日から14日以内と限られるため、気づきの遅れはそのまま使える日数のロスになります。
  2. 主治医が判断する
    交付の条件は、急性増悪・終末期・退院直後等により、主治医が「一時的に週4日以上の頻回な訪問看護が必要」と判断した場合です。回数を増やしたい気持ちは相談のきっかけになりますが、交付そのものは主治医の診療に基づく判断です。厚生労働省の通知では、対象は「恒常的に頻回の訪問看護が必要な場合」ではなく「状態の変化等で、日常行っている訪問看護の回数では対応できない場合」とされています。恒常的な交付については注意喚起の事務連絡も出ています。状態が安定している中で定期的に使うものではありません。
  3. 14日以内で頻回訪問を組む
    有効期間は交付の日から14日以内です(交付日を1日目として数えます)。この期間内に行った訪問看護について、14日を限度として算定できます。週4日以上の訪問が組めるほか、必要に応じて1日に2回または3回以上の訪問看護を行う加算の仕組みもあります(難病等複数回訪問加算。厚生労働大臣が定める疾病等の利用者や、特指示が交付された利用者が対象になる場合があります)。
  4. 週の境目に注意する
    交付日を含む週と、14日目を含む週には特例があります。その週のうち特指示の期間中に算定した日を除いた残りの日は、通常どおり週3日までが上限です(週は日曜〜土曜で数えます)。算定の考え方は近畿厚生局のよくある質問(PDF)にもまとまっています。「14日あるから適当に週4」ではなく、カレンダー上で交付日から終了日までを共有するのが実務のコツです。
  5. 終了後の保険の戻しを確認する
    特指示期間中の訪問看護は医療保険(訪問看護療養費)から給付され、介護保険の区分支給限度基準額の対象外です。終了後は原則の保険(多くは介護保険)に戻るため、始期・終期をケアマネジャー・ステーションで揃えておくと、ケアプランの整合が取りやすくなります。

「急変→相談→交付→14日の集中→戻し」までを一連で見ると、特指示は特別な紙ではなく、一時的に手厚い観察と処置を組む、タイマー付きの仕組みです。

特指示のよくある誤解6つ|14日・月2回・医療保険

2026年9月時点で、現場の会話やSNSでよく見かけるのは「特指示で医療保険になる」「限度額オーバー」「診察なしでは出せない」といった言葉です。そこからズレやすい6つを、先に整理します。

特指示のよくある誤解と答えを5行で並べた図。ずっと週4日以上できる、月2回は誰でも出せる、介護保険の限度額の中で増やす、今のステーションだけが増やせる、記録や理由は後回しでよい、のそれぞれに答えを添えている。

誤解1「ずっと週4日以上できる」→ 有効期間は交付日から14日以内

いいえ。有効期間は交付日から14日以内です。原則として交付は月1回。状態が続くからといって、毎月決まって出す位置づけではありません(通知では「恒常的な頻回の必要」は対象外とされています)。

誤解2「月2回は誰でも出せる」→ 気管カニューレ・真皮を越える褥瘡のみ

原則は月1回です。気管カニューレを使用している状態にある方と、真皮を越える褥瘡の状態にある方については、月2回まで交付できます(診療報酬点数表 C007 訪問看護指示料「特別訪問看護指示加算」の規定。2026年6月の改定後も変更ありません)。2回続けて交付されれば、最長28日間の集中的な訪問看護を組めるイメージです。対象になるかは、主治医または訪問看護ステーションに確認してください。褥瘡のケアで訪問看護ができることは「床ずれが治らないとき|褥瘡ケアと訪問看護の5つの役割」で解説しています。

誤解3「介護保険の限度額の中で増やす」→ 期間中は医療保険

特指示に基づく訪問看護を行う場合は、介護保険優先原則の例外として医療保険に切り替わります。要介護・要支援であっても、特別指示期間中は医療保険です。その間の訪問看護は介護保険の訪問看護費として算定されないため、区分支給限度基準額の計算には入りません。他の介護サービス(訪問介護・福祉用具など)の枠を守りながら、頻回の訪問看護を組み合わせやすくなります。ただし、限度額の枠を空けること自体を目的に使う仕組みではありません。医療保険と介護保険の給付管理の関係は「医療保険の訪問看護とケアプラン」の記事で詳しく解説しています。

誤解4「今のステーションだけ」→ 複数ステーションの例外がある

既に他の1つの訪問看護ステーションから訪問看護を受けている場合でも、週4日以上の訪問看護が計画されているものであれば、2か所目のステーションも算定できる例外規定があります(ただし、同じ日に2か所のステーションが算定することはできません)。急性増悪時に複数のステーションが連携して対応するケースを想定した仕組みです。連携の可否は早めに確認しましょう。

誤解5「記録や理由は後回し」→ 記録書と明細書がセット

主治医は特別訪問看護指示書に理由を記載し、ステーション側は一時的に頻回の訪問看護が必要な理由を訪問看護記録書に記録する必要があります。訪問看護療養費明細書には特別指示期間(前月から続く場合は前月分の期間も)が記載されるため、連続交付は請求上も見えます。「なぜ頻回が続くのか」を関係者間で明確にしておきましょう。特指示は交付と、状態変化の共有・記録がセットです。

誤解6「訪問看護やケアマネジャーが出せる」→ 交付は主治医の診療に基づく判断

特指示を交付するのは主治医で、その診療に基づく判断が前提です。ケアマネジャーや訪問看護師ができるのは、状態の変化を具体的に伝えて相談することまでです。「特指示ありき」で依頼するのではなく、いつから何が変わったかを共有し、主治医の判断を仰ぐ形にします。

特指示の相談の言い方|ケアマネ・家族・看護職の例文

事実の確認と判断は主治医・ステーションが行います。ここでは相談の入り口をそろえるための短い例文を用意しました。医療機関ごとの書式・ルールがある場合は、そちらに従ってください。

訪問看護師が診察室で主治医にタブレットを見せながら利用者の状態変化を報告しているイラスト。

ケアマネジャー → 訪問看護ステーション

「○○さんの状態が△△で悪化しています。一時的に週4日以上の訪問が必要になりそうで、特別訪問看護指示書の可否を主治医に確認したいです。交付日から14日の組み方と、期間中の医療保険への切り替わりも一緒に整理してもらえますか。」

ご家族 → 主治医・かかりつけ医

「家での様子が急に変わっていて、今の訪問回数では不安です。特別訪問看護指示書で、一時的に訪問看護を増やせるか診ていただけますか。気管カニューレや褥瘡の状態で月2回までの例外があるかも教えてください。」

看護職 → 主治医(報告の骨子)

「直近の変化は〜です。観察・処置のため一時的に週4日以上の訪問が必要と考えます。特指示の交付可否と、交付日を起点にした14日間の訪問予定案を共有します。記録上の理由と、連続交付の要否もご指示ください。」

ケアマネジャー → 他サービスとの調整

「特指示期間中は訪問看護が医療保険になり、介護の限度額の対象外です。訪問時間の重なりが出やすいので、○月○日〜○日の日程を先に合わせたいです。」

ポイントは、「急性増悪等」「週4日以上」「14日」「医療保険」「月1回/例外で月2回」を同じ順番で出すことです。相手が医師・ステーション・ご家族でも、話が分岐しにくくなります。主治医に相談しても指示書が出ないときの進め方は「訪問看護指示書を書いてくれないとき」の記事にまとめています。

主治医側に渡す情報は、①いつから何が変わったか(客観所見・家族の訴え)②いまの訪問回数と足りないと感じる場面③褥瘡の深さ・気管カニューレの有無(月2回の例外の判断材料)④他サービスの状況(訪問介護の頻度など)の4点をそろえると、判断が早くなります。

特指示の判定フロー|条件に当てはまるか6ステップ

現場で迷ったときは、次の順に確認します。「回数を増やしたい気持ち」と「交付の条件」は分けて考えるのがコツです。特指示以外で回数を増やす選択肢は「訪問看護は週何回まで?回数を増やす5つの選択肢」で整理しています。

特指示を使うかを判定するフロー図。状態の変化があるか、主治医が一時的に週4日以上と判断しうるか、交付(原則月1回・例外月2回)、14日以内の日程確定、期間中は医療保険、終了後は原則の保険へ、の6段階。右側にステーションが支える実務の一覧。
  1. 状態の変化はあるか?(急性増悪等・退院直後の集中観察など)
    ない → 通常の指示・計画の見直し(特指示を前提にしない)
  2. 主治医は「一時的に週4日以上の頻回訪問が必要」と判断しうるか?
    否 → 受診・入院の検討、既存の指示の範囲での調整
  3. 特指示の交付(原則月1回)
    気管カニューレ使用中/真皮を越える褥瘡 → 月2回までの例外を確認。それ以外 → 原則月1回の前提で14日を設計
  4. 交付日から14日以内の訪問日程をステーションと確定(交付日を含む週・14日目を含む週は、特指示期間中の日を除いて週3日までという特例に注意)
  5. 期間中は医療保険(介護の限度額の対象外)を関係者で共有
  6. 終了後は原則の保険へ戻る前提で、ケアプランと日程を再調整

前者(増やしたい気持ち)は相談のきっかけ、後者(交付条件)は主治医の判断です。ステーションは日程・記録・他サービス調整・複数ステーション連携の例外など、組む側の実務で支えます。頻回訪問の期間中は訪問介護など他サービスの訪問時間との調整も必要になる場合があるため、サービス担当者会議や日々の連絡で、状態と日程の両方を共有しましょう。急変時の対応や訪問看護の24時間対応体制については「24時間365日対応の訪問看護とは?」の記事も参考にしてください。ターミナル期など、頻回訪問が必要になりやすい場面でのケアプランの組み方は「ターミナル期のケアプランの組み方」の記事で解説しています。

特指示のよくある質問(条件・14日・月2回・医療保険)

Q1. 特指示は、どのタイミングで相談すればよいですか?

状態が急に悪化した、退院直後で医療的な観察が集中的に必要、といった変化に気づいた時点で、早めに訪問看護ステーションや主治医に相談するのがよいでしょう。交付から算定できる期間は14日間と限られているため、察知した段階での連携が有効です。

Q2. 特指示期間中、ケアプランはどう扱えばよいですか?

期間中の訪問看護は医療保険からの給付となり、介護保険の給付管理・限度額の対象外になります。終了後は原則の保険(多くは介護保険)に戻るため、始期・終期を訪問看護ステーションと共有しておくと整合性を保ちやすくなります。医療保険と介護保険のどちらになるかの基本は「訪問看護は医療保険と介護保険どっち?」で整理しています。

Q3. 特指示の条件は?誰でも交付を受けられますか?

主治医が診療に基づき「一時的に頻回の訪問看護が必要」と判断した場合に交付されるものです。通知では「恒常的な頻回の必要」ではなく「状態の変化等で日常の訪問回数では対応できない場合」が対象とされており、安定している方に定期的に交付されるものではありません。

Q4. 特指示の「14日」と「月2回」はどう違いますか?

1回の交付で使えるのは交付日から14日以内です。交付は原則月1回。気管カニューレ使用中の方、真皮を越える褥瘡のある方は月2回まで交付でき、続けて出せば最長28日の集中期間を組めるイメージです。条件に当てはまるかは主治医・ステーションに確認してください。

Q5. すでに別のステーションが入っていても増やせますか?

既に他の1つの訪問看護ステーションから訪問看護を受けている場合でも、週4日以上の訪問看護が計画されているものであれば、2か所目のステーションも算定できる例外規定があります(同じ日に2か所が算定することはできません)。急性増悪時の連携を想定した仕組みなので、可否は早めに確認しましょう。

Q6. 1日に複数回の訪問もできますか?

必要に応じて1日に2回または3回以上の訪問看護を行う加算の仕組みがあり、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者や、特別訪問看護指示書が交付された利用者が対象になります。実際の組み方は状態と指示内容に応じて、ステーションと調整してください。難病等(別表7・別表8)に当たるかは「別表7・別表8 早見表」で確認できます。

まとめ|特指示の条件・14日・月2回・医療保険

  • 特指示は、急性増悪等で主治医が「一時的に週4日以上の頻回訪問が必要」と判断したときに交付される、期間限定の指示書
  • 有効期間は交付日から14日以内。原則月1回、気管カニューレ/真皮を越える褥瘡は月2回まで
  • 期間中の訪問看護は医療保険で、介護保険の区分支給限度基準額の対象外
  • 交付週・14日目の週の特例、記録、他サービスとの時間調整、複数ステーション連携の例外を押さえて組む
  • 相談は「変化に気づいた時点」が最短。キーワードをそろえて主治医・ステーションへ
ケアマネジャーと訪問看護師が事業所の机で壁掛けカレンダーを指さしながら訪問日程を合わせているイラスト。

特指示の相談先|あおい訪問看護ステーション(船橋・市川・鎌ケ谷・白井)

あおい訪問看護ステーションも、急性増悪時の頻回訪問や、退院直後の集中的な訪問看護に対応しています。特別訪問看護指示書の活用を考えるときの相談先のひとつとして、お気軽にご連絡ください。

ケアマネジャー様・連携室様:空き状況・受け入れ可否はお電話1本でご回答します(当日中に可否をお伝えできるよう対応しています)。

  • 電話050-5536-3136
  • 対応エリア:船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市を中心

各市の介護保険の窓口(公式ページ)

参考リンク(公式ページ)

※すべて2026年9月16日に内容を確認しました。

挿絵(イラスト):Created with Grok(xAI の画像生成で作成し、当社で内容を確認しています)。図解は当社作成です。

※2026年9月時点の情報です(2026年6月1日施行の令和8年度診療報酬改定を反映。この改定では、特別訪問看護指示書の交付要件・14日の有効期間・交付回数の扱いに変更はありません)。最新の算定条件は主治医・訪問看護ステーションにご確認ください。

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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