ケアプランを組んでいて限度額がいっぱいになったとき、最初に削られるのが訪問看護であることが少なくありません。「医療的なことは何かあってからでいい」と思われがちだからです。
ただ、削る前に確かめておくと結果が変わることがあります。この記事では、区分支給限度基準額の仕組みと、訪問看護を減らす前に確認したいことを整理します。※2026年9月時点の情報です。
区分支給限度基準額とは
介護保険では、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限が単位数で決められています。これが区分支給限度基準額です。この範囲内なら自己負担は1〜3割ですが、超えた分は全額が自己負担になります。
ここで押さえておきたい点が2つあります。

- 限度額は「自己負担の上限」ではありません。使えるサービス量の上限であって、支払い額の上限ではありません
- 限度額を超えて全額自己負担になった分は、高額介護サービス費の対象になりません。払い戻しの制度があるから大丈夫、とはいきません
だからこそ、限度額の中でどう組むかが実務になります。
削る前に確認したい3つ

1. 医療保険に切り替えられないか
訪問看護は、状態や病名によって介護保険ではなく医療保険で利用できることがあります。医療保険になれば、その分は区分支給限度基準額の枠を使いません。
該当するのは、末期の悪性腫瘍、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に当てはまる場合、特別訪問看護指示書が交付されている期間などです。判定は「別表7・別表8 早見表|訪問看護の医療保険・週4日以上の判定」に一覧にしています。
「難病だから医療保険」と思い込むと取り違えます。別表7と別表8は名前が似ていますが中身が別ですので、迷ったら確認してください。
2. 限度額の枠を使わないサービスがないか
介護保険のサービスの中には、区分支給限度基準額の対象外になるものがあります。居宅療養管理指導(医師や薬剤師などが訪問して指導を行うもの)が代表例です。
いま組んでいるサービスの中に枠外にできるものがないか、ケアマネジャーに確認してみてください。
3. 福祉用具や住宅改修で代替できないか
訪問の回数を減らす代わりに、手すりの設置や段差の解消で安全を確保できることがあります。福祉用具貸与は限度額の枠を使いますが、住宅改修は別枠です。
訪問看護を減らすと、何が起きるか
正直にお伝えします。訪問看護を減らすと、状態の変化に気づく機会が減ります。
週2回来ていた看護師が週1回になると、間の1週間に何が起きたかは、ご本人とご家族の記憶に頼ることになります。むくみが増えていた、食事量が落ちていた、傷が広がっていた。こうした変化は、見ている人が少ないほど気づくのが遅れます。
結果として入院につながれば、費用も負担も、減らしたつもりの分を超えることがあります。減らすなという話ではなく、そのリスクを分かったうえで決めていただきたいということです。
それでも減らすときの決め方

- 何を優先するかを決める:入浴を続けたいのか、外出の機会を残したいのか、医療的な安全を優先するのか
- 減らす期間を区切る:「まず1か月」と決めて、状態を見てから続けるか戻すかを判断する
- 減らしたあとの見守りをどうするか決める:訪問介護のヘルパーに、気になる変化があれば連絡してもらう約束をしておく
- 戻す条件を決めておく:この症状が出たら週2回に戻す、という線を先に引いておく
私たちも「今は週1回で足ります」とお伝えすることがあります。減らすこと自体が悪いのではなく、決め方と、戻し方が決まっていないことが問題なのだと考えています。
費用の負担そのものを軽くする方法もあります
限度額の中に収まっている分については、高額介護サービス費で払い戻しを受けられる場合があります。医療保険と介護保険の両方を使っている方には、合算の制度もあります。詳しくは「訪問看護の自己負担が高いと感じたら|使える軽減制度の一覧」をご覧ください。
まとめ
- 区分支給限度基準額は、使えるサービス量の上限。超えた分は全額自己負担で、高額介護サービス費の対象にもならない
- 削る前に、医療保険に切り替えられないか/枠外のサービスがないか/用具で代替できないかを確認する
- 訪問看護を減らすと、状態の変化に気づく機会が減る
- 減らすなら、優先順位・期間・見守りの代わり・戻す条件を決めてから
限度額のやりくりは、ケアマネジャーが一人で抱えがちなところです。訪問看護の側から見て減らせる/減らせない理由をお伝えできますので、担当者会議の前でも遠慮なくご相談ください。
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