こんにちは、あおい訪問看護ステーション(千葉県船橋市)です。
先日、スタッフが腹膜透析(PD:ピーディー)の勉強会に参加しました。講師はヴァンティブ(Vantive)のご担当者様。実際の装置や資材を目の前に並べ、バッグ交換や機器のセットまで一つひとつ実演していただける「実機デモ形式」の勉強会で、テキストだけでは分からない発見の連続でした。
この記事では、勉強会で学んだことと、それを訪問看護の現場にどう活かしていきたいかをレポートします。
なぜ訪問看護師が腹膜透析(PD)を学ぶのか

腹膜透析は、自分自身の腹膜を使って、自宅で行える透析治療です。週数回の通院が基本となる血液透析と違い、治療の場が「病院」ではなく「生活の場」になります。だからこそ、ご自宅での療養を支える訪問看護師が正しい知識を持っていることが大切だと考え、今回の勉強会に参加しました。
勉強会で伺った話では、全国の腹膜透析の患者さんは約10,500名。決して多い治療法ではないぶん、地域で支える側の理解がまだまだ追いついていない領域でもあります。あおいでも、PDの利用者さんへの対応に向けて学びを深めているところです。
勉強会の様子:実機デモだから分かったこと
接続装置「つなぐ」——蓋を閉めるだけで自動接続
まず驚いたのが、カテーテルと薬剤バッグをつなぐための接続装置「つなぐ」です。患者さん側と薬剤側のチューブをセットして蓋を閉めるだけで、装置が紫外線で殺菌しながら自動で接続してくれます。
実演を目の前で見たスタッフからは「おおー、すごい、自動だ」「マジックみたい」と思わず声が上がりました。蓋が少ししか開かない構造になっているのも、空気中の菌の混入(腹膜炎のリスク)を防ぐための設計とのこと。接続のたびに使うキャップは毎回新しいものに交換し、使い捨てを徹底することも教わりました。
透析液のバッグにも種類があり、使う直前に2つの部屋の隔壁を手で破って混ぜ合わせるタイプもあることを、実物を触りながら教えていただきました。排液はお腹より低い位置にバッグを置き、高低差を利用して行うことも、実演で初めて実感できたポイントです。

夜間の自動腹膜透析(APD)装置「かぐや」
もう一つの主役が、就寝中に自動で透析液を出し入れしてくれるAPD装置「かぐや」です。画面のイラストと音声案内に従って進めればセットできるよう工夫されていて、回路は一方向にしかはまらない誤接続防止の構造。注入・排液の量は装置が自動で計測してくれるため、はかりで計る手間もありません。
透析液を人肌程度に温めてから使うことの大切さや、温度センサーが2か所の温度差を監視して「安全なときだけ液を送る」仕組みになっていることなど、機器に込められた安全設計に、スタッフ一同感心しきりでした。

患者さんの「生活」が見えてきた
実機デモならではの学びは、機器の操作だけではありません。
- お腹の外に出ているカテーテルは約80cm。ご自身で安全に接続操作をするために必要な長さで、腹巻きで固定したり巾着袋に入れたりと、皆さん工夫して日常生活を送られているそうです。
- 透析液の保管には1〜2畳分のスペースが必要。1日1箱ほどのペースで使うため、ご自宅の環境づくりも療養の一部だと実感しました。
- 排液バッグがあえて二股に分かれているのは、力の弱い患者さんが重いバッグを持ち上げなくて済むようにという配慮からとのこと。機器の設計に「患者さんへの優しさ」が随所に込められていました。
印象に残った話:腹膜透析は「災害に強い」
特に印象的だったのが、災害時の話です。「かぐや」は外付けの充電電池で駆動でき、停電時には手動で接続する仕組みも備えているそうです。講師の方からは、過去の大きな震災でも患者さんの安否確認が速やかに行われ、災害で亡くなった腹膜透析の患者さんは一人もいない、というお話を伺いました。
また、血液透析がつらくなった方が、住み慣れたご自宅で穏やかに過ごすための選択肢として腹膜透析を活用する「PDラスト」という考え方も教えていただきました。在宅での看取りにも力を入れている私たちにとって、とても示唆の多いお話でした。

訪問看護の現場にどう活かすか
今回の学びの中で、訪問看護師として特に心に留めておきたいのは次の点です。
- 清潔操作の環境づくり:手洗い・マスクだけでなく、接続操作の際にエアコンや扇風機の風が直接当たらない環境を整えることの大切さ
- 透析液の温度管理:透析液は人肌程度に温めて使うこと。冷たいまま使うことのリスクも教わりました
- 排液の変化を焦らず見る視点:1回ごとの結果に一喜一憂せず、数日単位のスパンで体重や排液量を評価すること。異常が続くときは速やかに主治医へ連絡すること
- 生活環境への目配り:資材の保管場所、装置を置く高さ、夜間の音への配慮など、暮らしの中の小さな困りごとに気づくこと
※これらは勉強会で私たちが学んだ内容のご紹介です。実際の治療や手技については、必ず主治医・かかりつけの医療機関の指示に従ってください。
勉強会の内容は動画や資料でステーション全体に共有し、スタッフ全員で学びを深めていきます。看護師だけでなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も在籍するあおいだからこそ、「治療のある暮らし」を多職種の目で支えていきたいと考えています。
まとめ:学び続けるステーションでありたい
- ヴァンティブのご担当者様を講師に迎え、腹膜透析(PD)の実機デモ勉強会に参加しました
- 接続装置「つなぐ」、APD装置「かぐや」の実演から、機器の安全設計と患者さんの生活の実際を学びました
- あおいは、腹膜透析の利用者さんへの対応に向けて学びを深めています
あおい訪問看護ステーションは、船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市を中心に、24時間365日対応の訪問看護を行っています。腹膜透析をはじめ、医療的なケアが必要な方のご自宅での療養について、「こんな状態でも相談できる?」という段階からで構いません。まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせはお電話(050-5536-3136)またはお問い合わせページからどうぞ。


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