訪問看護師の給与相場と求人票の読み方

「求人票の月給を見ても、実際にいくらもらえるのか、なんとなくピンとこない」——転職を考え始めた看護師さんから、よくそんな声を聞きます。訪問看護師の給与は、基本給に加えてオンコール手当や訪問件数に応じた手当など、事業所ごとに組み方が違います。同じ「月給30万円」でも、内訳次第で実質的な条件はけっこう変わってくるものです。

この記事では、訪問看護師の給与を構成する要素と、公的な調査から見えてくる給与水準の目安、そして求人票を見るときに知っておくと安心なポイントをまとめました。「訪問看護師の働き方とは?病棟との違い・1日の流れ」であわせて紹介した働き方の違いも読んでいただくと、転職後のイメージがもう少し具体的になると思います。

目次

訪問看護師の給与を構成する主な要素

訪問看護師の給与は、大きく次の4つの要素で組み立てられているケースが多く見られます。事業所によって名称や算定方法は異なるので、求人票では「何が含まれ、何が含まれないか」を見ておくと、あとで「思っていたのと違う」が減ります。

基本給

看護師としての経験年数・保有資格・役職などに応じて設定される、給与のベースとなる部分です。訪問看護は事業所の規模が病院より小さいことが多く、賃金表(給与テーブル)を整備している事業所とそうでない事業所があります。

オンコール手当(待機手当)

夜間・休日の緊急対応に備えて電話を持って待機することへの手当です。「待機していること」自体への手当(待機料)と、実際に呼び出されて対応・出動した分の手当が分かれている事業所が多くあります。オンコールの実際の仕組みについては、別記事「訪問看護のオンコールは大変?あおいの体制と負担軽減の工夫」でも詳しく紹介しています。

訪問手当

1件訪問するごとに加算される手当です。訪問件数が給与に反映される仕組みのため、担当エリアの利用者数や移動効率によって金額の実感は変わります。

インセンティブ・資格手当等

専門性の高い分野(精神科訪問看護、小児、緩和ケアなど)への対応や、認定看護師・専門看護師などの資格保有に対して手当が付く事業所もあります。すべての事業所にある制度ではないので、求人票や面談で聞いてみるとよいでしょう。

公的な調査から見る訪問看護師の給与水準

給与の目安を知りたいときは、転職サイトが独自に出している「平均年収」よりも、公的性格の強い調査を見るほうが安心です。

公益社団法人日本看護協会が実施した「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」(2025年1月支給分を対象)によると、訪問看護ステーションに正規雇用・フルタイムで勤務する看護職員の給与は、目安として基本給月額が平均28万円ほど、税込給与総額(月額)は平均38万円ほど、年間の税込給与総額は平均550万円ほどとなっています(詳細な数値は基本給月額28万46円、税込給与総額(月額)38万3,262円、年間税込給与総額549万8,716円)。同調査で示されている病院勤務者の数値(基本給月額28万3,304円、税込給与総額(月額)40万9,436円)と比べると、訪問看護は病院と大きくは変わらない、あるいはやや低めの水準というくらいのイメージで捉えていただくとよいと思います。

ただ、この数値はあくまで全国平均です。地域や事業所規模、経験年数、オンコールの担当有無によって幅がありますし、船橋市・市川市など地域ごとの相場そのものを示す数字ではありません。また、同調査では訪問看護ステーションの57.2%が「賃金表がある」と回答しており、事業所規模が大きいほどその割合が高い傾向も報告されています。転職先を考えるときは、賃金表の有無や昇給の考え方も面談で聞いておくと、入職後の見通しが立てやすくなります。

求人票を読むときのチェックポイント

求人票の「月給」表記だけを見て比べると、実質的な条件を見誤ってしまうことがあります。次のポイントを見ておくと、あとで「思っていたのと違う」が減ります。

  • 月給の内訳:基本給のみか、固定手当(住宅手当・資格手当等)やオンコール手当を含んだ額か
  • オンコール手当の算定方法:待機している時間への手当か、出動した分のみへの手当か。「オンコールで最大◯万円まで」という上限つきの見込み額が月給に含まれている場合、実際の出動回数によって上下することもあります
  • 固定残業(みなし残業)制の有無:月給に固定残業時間分が含まれている場合、その時間数と、超えた分がどう扱われるか
  • 訪問手当・インセンティブの算定基準:件数に応じた手当か、エリアや対応内容によって変わるか
  • 昇給・賃金表の有無:経験年数に応じてどのように基本給が上がっていく仕組みか

内訳の記載が薄い求人票は、応募前や面談のときに気軽に聞いてみるのがおすすめです。誠実な事業所であれば、内訳について具体的に教えてくれると思います。

額面比較の落とし穴

複数の求人票を比べるときに、よくある勘違いも紹介します。

1件あたりの月給の数字だけを比べると、「オンコール込みの月給」と「オンコール抜きの月給」を同じ条件のように並べてしまうことがあります。オンコール手当の有無・上限の考え方が違うと、実質的な条件差はけっこう大きくなるものです。また、年収換算をするときにボーナス(賞与)を含めているかどうかでも印象が変わります。求人票にある年収例が「賞与込みの想定」なのか「月給×12ヶ月の単純計算」なのかも、見ておくと安心です。

さらに、雇用形態(正社員・パート・時短勤務等)によっても条件は大きく変わります。子育て中の働き方については、別記事「子育て中の看護師と訪問看護|時短・扶養内・オンコール配慮の実際」でも取り上げていますので、よかったら読んでみてください。

よくある質問

Q1. 訪問看護師の給与は病棟より高いのでしょうか?

公的調査の全国平均では、訪問看護ステーション勤務者と病院勤務者の給与水準に大きな差はなく、訪問看護がやや低めの傾向にあるというデータもあります。ただ事業所ごとの差が大きいので、「訪問看護だから高い/低い」と一概には言えないのが実際のところです。求人票の内訳を一つずつ見てみるのがよいと思います。

Q2. オンコール手当はどのくらいが目安ですか?

事業所により算定方法(待機のみ/出動込み/上限つき等)が違うので、一律の目安を示すのは難しい分野です。求人票や面談で、待機時と出動時それぞれの手当の考え方を聞いてみるのがおすすめです。

Q3. 訪問看護未経験でも給与は上がっていきますか?

賃金表を整備している事業所であれば、経験年数や習得したスキルに応じた昇給の仕組みがあります。面談のときに、昇給の考え方や評価の基準について聞いてみるとよいでしょう。

まとめ:求人票は「内訳」まで見て比較する

  • 訪問看護師の給与は、基本給・オンコール手当・訪問手当・インセンティブ等の複数要素で構成される
  • 公的調査(日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」)では、訪問看護ステーション勤務者(正規フルタイム)の年間税込給与総額は平均549万8,716円(2025年1月支給分)
  • 求人票を比較するときは、月給の内訳・オンコール手当の算定方法・固定残業の有無・昇給の仕組みを見ておく
  • 単純な月給・年収の数字だけで比べると、実質的な条件差を見誤りやすい

あおい訪問看護ステーション(船橋市)では、一緒に働く看護師を募集しています。給与・オンコール体制の詳細な内訳は、募集要項またはカジュアル面談でご説明します。見学だけでも、質問だけでも歓迎です。お申し込みは採用情報ページまたはお電話(050-5536-3136)からどうぞ。

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