医療的ケア児の災害・停電への備え|人工呼吸器を使う家庭の準備

人工呼吸器や吸引器、酸素濃縮器を使っているご家庭にとって、停電は「不便」ではなく「命に関わること」です。

台風、地震、大雪、あるいは近隣の工事による突発的な停電——備えは、起きてからでは間に合いません。

この記事では、いま確認しておきたいことを、備えの一例として整理します。

※2026年8月時点の情報です。機器ごとの仕様は必ず取扱説明書とメーカー・供給業者の説明をご確認ください。本記事は一般的な考え方の整理です。

目次

まず確認する3つのこと

1. 使っている機器は、電源が切れたらどうなるか

機器によって、内蔵バッテリーの有無と稼働時間が違います。

  • 内蔵バッテリーはあるか。何時間もつか
  • 外部バッテリーは接続できるか
  • 手動の代替手段はあるか(例:足踏み式・手動式の吸引器、バッグバルブマスク)

この3点を、機器ごとに紙に書いて機器のそばに貼っておくことをおすすめします。慌てているときに説明書を探すのは現実的ではありません。

2. 停電時の連絡先

  • 機器の供給業者(レンタル元)の緊急連絡先
  • 主治医・病院
  • 訪問看護ステーション
  • 電力会社(停電の復旧見込みを確認するため)

これも紙で、電話のそばに。スマホの中だけに保存しないのがポイントです(充電が切れたら見られません)。

3. 電力会社への事前連絡・登録

関東エリアの送配電を担う東京電力パワーグリッドは、在宅で医療機器を使用している方を対象に、広域停電に備えた事前登録を案内しています。登録すると、停電の際に復旧見通しなどの連絡を受けられるとされています(東京電力パワーグリッドの案内(PDF))。

登録方法や受けられる支援の内容は変わることがあります。まずは契約している電力会社に「在宅で医療機器を使っている」ことを伝え、停電時の連絡・支援について確認しておきましょう

備えておくもの

電源関係

  • 外部バッテリー(機器に対応したもの)
  • ポータブル電源:容量と、機器が求める出力に対応しているかを購入前に確認
  • シガーソケットから使える電源:車を電源として使える形にしておく
  • 発電機(使用時は必ず屋外。屋内で使うと一酸化炭素中毒の危険があります)
  • 充電式のライト、モバイルバッテリー

買ったら必ず一度、実際につないで動くか試してください。 いざというときに規格が合わないことがあります。

医療材料

  • 吸引カテーテル、経管栄養のセット、栄養剤、注射器
  • 消毒用品、手袋、ガーゼ
  • 普段の使用量に余裕をもたせて、多めに確保。必要量はお子さんの状態によって異なるため、目安は主治医・供給業者と相談して決めてください

水・食料

  • 飲料水(経管栄養の白湯にも使います
  • 手洗い・清拭用の水
  • ご家族分の食料

情報

  • お薬手帳のコピー
  • 診療情報提供書、指示書の写し
  • 主治医・病院・訪問看護の連絡先一覧
  • 機器の型番・設定値をメモしたもの

これらを1つの袋にまとめて、持ち出せる場所に置いておきます。

避難をどう考えるか

医療的ケアが必要なお子さんの場合、「避難所に行く」が最適とは限りません

  • 電源が確保できるか
  • 感染のリスク
  • 音や環境の刺激(お子さんが過ごせる環境か)

選択肢として、次を事前に検討しておきます。

  1. 在宅で持ちこたえる(電源の備えがある場合)
  2. 福祉避難所:一般の避難所での生活が難しい方のために、災害対策基本法令に基づいて市町村が指定する避難所です。指定状況・利用の流れは市によって異なるため、お住まいの市の防災・福祉窓口で確認しておきましょう
  3. 病院への一時受け入れ:可能かどうかを主治医と事前に相談しておく
  4. 親族宅など

自治体への事前登録

災害対策基本法により、市町村には避難行動要支援者名簿(災害時に自力での避難が難しい方の名簿)の作成が義務付けられています。登録しておくと、災害時の安否確認や避難支援の対象になる場合があります。

船橋市の案内は市の公式ページ「避難行動要支援者の避難支援にご協力をお願いします」にあります。市川市・鎌ケ谷市・白井市を含め、名簿の登録方法や福祉避難所の指定状況は市ごとに異なるため、お住まいの市の防災・福祉窓口にご確認ください。

一度、家族で練習してみる

備えは、使えてはじめて備えです。

  • 停電したと仮定して、実際にバッテリーに切り替えてみる
  • 手動の吸引器を使ってみる
  • 持ち出し袋を持って、玄関まで出てみる

年に1回でも構いません。やってみると、足りないものに気づけることが多いものです。

訪問看護でできること

  • お宅の状況に合わせた備えの確認:機器・電源・動線を実際に見て一緒に点検します
  • 緊急時の連絡フローづくり:誰にどの順で連絡するかを紙にまとめます
  • 主治医・供給業者との調整:必要な備えについて情報を共有します

日頃の訪問の中で、災害時の備えについて一緒に確認しています。ご不安な点はスタッフにご相談ください。

「何を準備すればいいか分からない」という段階でのご相談も歓迎です。 一緒にリストを作るところから始めましょう。医療的ケア児の在宅支援の全体像は、関連記事「医療的ケア児の在宅支援|小児訪問看護でできること・相談先」で解説しています。

あおい訪問看護ステーション
船橋市丸山3-1-2-202|TEL 050-5536-3136
対応エリア:船橋市・鎌ケ谷市・市川市・白井市
24時間365日の連絡体制/土日祝も通常営業
お問い合わせはこちら小児訪問看護チームのご紹介

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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