利用者が肺炎の悪化や褥瘡の重症化などで急に状態が悪化し、「一時的に訪問看護の回数を増やしたい」と感じる場面、ありませんか。このようなときに使われるのが「特別訪問看護指示書」です。
通常の訪問看護指示書とは別に交付されるもので、期間・算定できる保険・頻回訪問の組み方にいくつかの決まりがあります。この記事では、①交付できる場合と有効期間、②医療保険への切り替わり、③頻回訪問(週4日以上・1日複数回)の組み方を、ケアマネジャー・看護職の実務目線で整理します。
※本記事は2026年8月時点の制度情報をもとにしています。診療報酬は改定されるため(次回は令和8年度以降の見直しの可能性があります)、最新の算定条件は主治医・訪問看護ステーションにご確認ください。
特別訪問看護指示書とは:交付できる場合と有効期間
特別訪問看護指示書は、急性増悪等により、主治医が「一時的に頻回の訪問看護が必要」と判断した場合に交付されます。通常の訪問看護指示書とは別に発行される、期間限定の指示書です。
主なポイントは次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交付の条件 | 急性増悪等により、一時的に週4日以上の頻回な訪問看護が必要と主治医が判断した場合 |
| 有効期間 | 交付の日から14日以内。この期間内に行った訪問看護について、14日を限度として算定できる |
| 交付の回数 | 原則として月1回。恒常的・機械的な交付は望ましくないとされている |
「恒常的・機械的な交付は望ましくない」という位置づけからも分かるように、特別訪問看護指示書は、状態が安定している中で定期的に使うものではなく、状態の変化に応じて一時的に手厚い訪問看護を組むための仕組みだと理解しておくと、ケアプラン上の位置づけも整理しやすくなります。
特別指示期間中は医療保険に切り替わる
特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を行う場合は、介護保険優先原則の例外として、医療保険(訪問看護療養費)から給付されます。要介護者・要支援者であっても、特別指示期間中は医療保険に切り替わる点は、給付管理を考えるうえで覚えておくと役立ちます。
医療保険に切り替わっている間の訪問看護は、介護保険の区分支給限度基準額(1か月に使える介護保険サービスの上限枠)の対象外になります。つまり、特別指示期間中は、他の介護保険サービス(訪問介護・福祉用具貸与等)の限度額の枠を圧迫せずに、頻回の訪問看護を組み合わせられるということです。医療保険と介護保険の給付管理の関係については「医療保険の訪問看護とケアプラン」の記事で詳しく解説しています。
また、特別訪問看護指示書が交付された利用者は、既に他の1つの訪問看護ステーションから訪問看護を受けている場合でも、週4日以上の訪問看護が計画されているものであれば、重複して算定できる例外規定があります。急性増悪時に複数のステーションが連携して対応するケースを想定した仕組みです。
月2回まで交付できる例外があることも知っておく
特別訪問看護指示書は原則月1回の交付ですが、一定の状態にある利用者については月2回まで交付を受けられる例外があるとされています。この例外の対象として、気管カニューレを使用している状態や、真皮を越える褥瘡の状態などが挙げられることが多いですが、具体的な対象疾患・状態の詳細な条文までは本記事執筆時点で確認できておらず、記事では「例外がある」というご紹介に留めます。ご自身の利用者が対象となるかどうかは、主治医または訪問看護ステーションにご確認ください。
頻回訪問(週4日以上・1日複数回)の組み方
特別訪問看護指示書の交付日から14日以内は、週3日を超える(週4日以上の)訪問看護が算定できます。さらに、必要に応じて1日に2回または3回以上の訪問看護を実施する加算の仕組みもあり、難病等の利用者や特別訪問看護指示書が交付された利用者が対象になります。
頻回訪問を組む際、ケアマネジャー・看護職として押さえておきたい実務ポイントは次の通りです。
- 交付日を含む週、および14日目を含む週については、特例的な取扱いがあるため、訪問看護ステーションと訪問日程を細かく調整する
- 頻回訪問が必要な理由は訪問看護記録書に記録される必要があるため、状態変化の経過を主治医・ステーションと共有しておく
- 特別指示書が連続して交付される場合は、その旨が訪問看護療養費明細書に記載されるため、なぜ頻回訪問が継続して必要なのかを関係者間で明確にしておく
- 頻回訪問期間中は、訪問介護など他サービスの訪問時間との調整も必要になる場合があるため、サービス担当者会議や日々の連携で情報を共有する
急変時の対応や訪問看護の24時間対応体制については「24時間365日対応の訪問看護とは?」の記事も参考にしてください。ターミナル期など、頻回訪問が必要になりやすい場面でのケアプランの組み方は「ターミナル期のケアプランの組み方」の記事で解説予定です。
よくある質問
Q. 特別訪問看護指示書は、どのタイミングで訪問看護ステーションに相談すればよいですか?
A. 利用者の状態が急に悪化した、退院直後で医療的な観察が集中的に必要、といった変化に気づいた時点で、早めに訪問看護ステーションや主治医に相談するのがよいでしょう。交付から算定できる期間は14日間と限られているため、状態変化を察知した段階での早めの連携が有効です。
Q. 特別指示期間中は、ケアプランはどう扱えばよいですか?
A. 特別指示期間中の訪問看護は医療保険からの給付となり、介護保険の給付管理・限度額の対象外になります。期間終了後は原則の保険(多くは介護保険)に戻るため、期間の始期・終期を訪問看護ステーションと共有しておくとケアプランの整合性を保ちやすくなります。
Q. 特別訪問看護指示書は誰でも交付を受けられますか?
A. 主治医が診療に基づき「一時的に頻回の訪問看護が必要」と判断した場合に交付されるものです。恒常的・機械的な交付は望ましくないとされているため、日頃から状態が安定している方に定期的に交付されるものではありません。
まとめ
- 特別訪問看護指示書は、急性増悪等で一時的に頻回訪問が必要なときに主治医が交付する
- 有効期間は交付日から14日以内、交付は原則月1回。一定の状態では月2回までの例外があるとされる
- 特別指示期間中は医療保険に切り替わり、介護保険の区分支給限度基準額の対象外になる
- 頻回訪問を組む際は、交付日・14日目を含む週の特例や、他サービスとの調整に注意が必要
あおい訪問看護ステーションも、急性増悪時の頻回訪問や、退院直後の集中的な訪問看護に対応しています。特別訪問看護指示書の活用を考えるときの相談先のひとつとして、気軽に使ってください。
ケアマネジャー様・連携室様:空き状況・受け入れ可否はお電話1本でご回答します。あおい訪問看護ステーション 050-5536-3136
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