2026年度の船橋市の高齢者向け定期接種は、インフルエンザが自己負担1,000円(2026年10月1日〜12月31日)、新型コロナウイルス感染症が自己負担5,000円(2026年10月1日〜2027年3月31日)です。通院が難しい方も、訪問診療の主治医が自宅で接種する形で受けられます(接種できるかどうかは主治医の判断です)。この記事では、対象・期間・費用の一覧、自宅で受ける流れ、インフルエンザと新型コロナを同時に打てるかの考え方、接種後にご家族が見ること、打つかどうか迷ったときの材料を、船橋市のあおい訪問看護ステーションがまとめました。「寝たきりの親にワクチンは打てるのか」「いくらかかるのか」と検索されたご家族に、判断の材料をお渡しする記事です。
この記事に出てくるご家族とのやりとりは、複数の事例を組み合わせて再構成したものです。個人が特定される情報は含んでいません。接種を受けるかどうか、受けられる体調かどうかは、主治医の判断が前提になります。
2026年度の高齢者向け定期接種|船橋市の対象・期間・自己負担
船橋市は2026年9月10日に、2026年度(令和8年度)の高齢者向けインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の定期接種の内容を公表しました。まず、対象・期間・自己負担を1つの表にまとめます。
対象・期間・自己負担の一覧(2026年9月時点)

| 項目 | インフルエンザ | 新型コロナウイルス感染症 |
|---|---|---|
| 対象 | 接種日に船橋市に住民登録がある65歳以上の方。または60〜64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能、あるいはHIVによる免疫機能の障害について身体障害者手帳1級をお持ちの方 | 同左 |
| 接種期間 | 2026年10月1日〜12月31日 | 2026年10月1日〜2027年3月31日 |
| 自己負担 | 1,000円 | 5,000円 |
| 生活保護世帯 | 無料 | 無料 |
| 出典 | 船橋市「令和8年度高齢者インフルエンザ定期予防接種について」(2026年9月10日更新) | 船橋市「令和8年度新型コロナウイルス感染症定期予防接種について」(2026年9月10日更新) |
自己負担の額と期間は、市ごとに決められています。鎌ケ谷市・市川市・白井市にお住まいの方は、お住まいの市の公式ページでご確認ください。
「定期接種」でも、受けるかどうかは本人が決めます
「定期接種」と聞くと、受けなければならないものと感じるかもしれません。高齢者のインフルエンザと新型コロナは、予防接種法で「B類疾病」(=主に個人の発症や重症化を防ぐ目的で行う予防接種)に分けられています。B類の定期接種には、接種を受けるよう努める義務(努力義務)はありません。受けない場合に罰則のようなものもありません(予防接種法第9条は、接種を受けるよう努める義務をA類疾病の定期接種に限っています)。
つまり、本人が希望して受けるものであり、受けない選択もできます。市の助成は「受ける場合に、費用の一部を市が負担する」という仕組みです。
対象と期間で、つまずきやすい3点
表を読むときに、迷いやすい点が3つあります。
- 年齢は接種日で見ます。 誕生日が近い方は、対象になる日を主治医か市の担当課にご確認ください
- 終わりの日が違います。 インフルエンザは12月31日まで、新型コロナは2027年3月31日までです。訪問診療の予定に合わせて、早めに主治医へ希望を伝えると組みやすくなります
- 60〜64歳の方は、身体障害者手帳1級が要件です。 要介護度や寝たきりの状態だけでは対象になりません
通院が難しい方は、自宅で受けられます
「寝たきりで病院に連れて行けないので、今年もあきらめるしかないでしょうか」。毎年秋に、このご相談をいただきます。訪問診療を受けている方は、主治医が自宅で接種する形で受けられます。ここでは、その流れと準備をご説明します。
自宅で受けるときの流れ
訪問診療(=医師が定期的に自宅を訪れて診療すること)を受けている方の場合、接種も同じ主治医が行うのが一般的です。自治体の中には「訪問診療以外での接種が難しい方」を指定医療機関以外で受ける定期接種の対象として明記している例もあります。船橋市の助成を使えるかどうかは、そのクリニックの扱い(この章の「市外の医療機関や訪問診療で受ける場合」)で変わります。当ステーションの利用者さんの場合、流れはおおむね次のとおりです。

| 順 | 誰が | すること |
|---|---|---|
| 1 | ご家族 | 訪問診療のときに、主治医へ「今年も接種を希望する」と伝える |
| 2 | 主治医 | 体調・持病・薬を踏まえて、接種できるかを判断する |
| 3 | ご家族・訪問看護 | 予診票を準備する。接種の数日前から体温や食事量を記録しておく |
| 4 | 主治医 | 接種当日、体調を確認してから接種する。接種後しばらく様子を見る |
| 5 | ご家族・訪問看護 | 接種後の様子を観察し、気になることがあれば主治医に連絡する |
訪問診療を受けていない方は、まず、かかりつけ医またはケアマネジャーにご相談ください。通院が難しい状態であれば、訪問診療への切り替えも含めて相談できます。訪問診療と訪問看護の役割の違いは、訪問診療と訪問看護の違いでご説明しています。
予診票の準備
定期接種には、市の予診票(=体調や持病を記入して医師に渡す用紙)が必要です。船橋市では、対象の方に予診票が郵送されます(2026年度は9月14日と18日に対象別に発送。新型コロナは12月15日の発送分もあります)。届いていない、なくした、という場合は、市内の協力医療機関や市の窓口で受け取れます。
予診票には、当日の体温、持病、飲んでいる薬、過去の接種で具合が悪くなったことがあるか、といった項目があります。ご本人が記入しにくい場合は、ご家族が代わりに記入できます。お薬手帳を手元に置いて書くと、薬の欄で迷いにくくなります。
市外の医療機関や訪問診療で受ける場合の手続き
船橋市の助成を使って接種できるのは、原則として市内の協力医療機関です。市外の医療機関で受ける場合は、千葉県内の相互乗り入れに参加している医療機関なら市の予診票で受けられ、それ以外は接種の前に市へ「依頼書」を申請し、いったん全額を支払ってから上限の範囲で払い戻しを受ける仕組みです(依頼書はオンラインや電話で申請できます)。訪問診療のクリニックがこのどれに当たるかは、市の案内だけでは判断できないことがあります。
この手続きを知らずに接種すると、助成が受けられず、全額自己負担になることがあります。訪問診療のクリニックが市の実施医療機関かどうかは、接種の前に、クリニックか船橋市の担当課へご確認ください。
訪問看護の役割は「接種の前後」です
ここで、訪問看護にできることとできないことを、はっきりお伝えします。当ステーションの訪問看護師は、接種そのものは行いません。接種は主治医が行います。厚生労働省の整理では、接種前の予診は医師の診断行為で、注射は医師または医師の指示のもとで看護師などが行う診療の補助です。当ステーションでは、接種は主治医が行う運用にしています。
訪問看護が担うのは、接種の前後です。
- 接種前:体温、食事や水分の量、いつもと違う様子がないかを確認し、主治医に共有する
- 当日:その日の状態を主治医に伝える。接種を見送るかどうかの判断材料にしてもらう
- 接種後:発熱や接種した腕の様子を確認し、気になる変化があれば主治医に連絡する
ある利用者さんの接種前日の訪問で、いつもより食事量が少なく、微熱がありました。看護師がその場で主治医に連絡し、接種は1週間延期になりました。翌週、体調が戻ってから接種を受けています。「延期になった」ことは失敗ではありません。当日の体調で判断するために、前後の観察があります。
インフルエンザとコロナ、同時に打てる?
期間が重なるため、「一度に2本打てるのか」「どちらを先にすればよいのか」というご質問をよくいただきます。結論からお伝えすると、同時接種の可否と順番は、主治医が判断します。
同時接種の扱い
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンを同じ日に接種することについて、厚生労働省は、医師が必要と認めた場合には同時に接種できるとしています。同時に接種するか、日を分けるかは、医師がご本人の状態を見て決めます。
日を分ける場合も、新型コロナワクチンと他のワクチンの間にあける日数に制限はないとされています。ご家族が独自に間隔を決める必要はありません。主治医にお任せください。
どちらを先にするかは、期間と体調で考えます
前の章の表にあるとおり、船橋市のインフルエンザは12月31日まで、新型コロナは2027年3月31日までです。インフルエンザのほうが先に終わります。日を分けて接種する場合、この期間の違いを、主治医と相談するときの材料にできます。
ただし、体調によっては、主治医が「今年はどちらか一方だけ」「いまは見送る」と判断することもあります。その判断には理由があります。気になるときは、「なぜそう判断したのか」を主治医に聞いてみてください。
訪問診療の回数と合わせて組み立てます
訪問診療は、月に決まった回数の定期訪問が基本です。同時接種にするか、2回の訪問に分けるかは、訪問のペースとも関わります。10月に入ってすぐ希望を伝えておくと、12月末までの間に日を分けて2回接種する余裕を作りやすくなります。
接種後に家族が見ること
接種が終わったあと、ご家族が見るポイントは多くありません。「何を、いつまで見ればよいか」を決めておくと、落ち着いて過ごせます。
当日から3日ほどの観察
| 時期 | 見ること | 主治医に連絡する目安 |
|---|---|---|
| 接種直後〜当日 | 顔色、息苦しさ、じんましん、ぐったりしていないか | 息苦しさ、顔や唇の腫れ、全身のじんましんなど、いつもと明らかに違う様子があるとき(すぐに主治医へ。連絡がつかなければ救急要請) |
| 当日〜翌日 | 体温、接種した腕の赤み・腫れ・痛み、食事や水分の量 | 高い熱が続く、水分がとれない、腫れが広がる |
| 2〜3日目 | 熱が下がっているか、腕の腫れが引いてきているか | 3日たっても熱や腫れが続くとき |
接種直後の観察時間の目安は、インフルエンザは接種後30分ほど安静にして様子を見ること、新型コロナは通常少なくとも15分(重いアレルギーの経験がある方は30分)とされています(厚生労働省)。自宅で接種する場合は、主治医がその場でしばらく様子を見てから帰ることが多いのですが、クリニックごとに違います。当日、ご家族だけで見ることが不安な場合は、訪問看護の訪問日を接種日の翌日に合わせるといった調整ができます。
よくある反応と、受診の目安
接種後に、接種した腕が赤くなる・腫れる・痛む、熱が出る、だるさが出る、といった反応が起こることがあります。インフルエンザワクチンでは、接種した部位の赤み・腫れ・痛みが10〜20%、発熱・頭痛・寒気・だるさが5〜10%の方に起こり、通常2〜3日で治まるとされています(厚生労働省)。新型コロナワクチンも、接種部位の痛みや発熱・だるさが数日以内に出ることがあります。製剤ごとの頻度は、接種時に渡される説明書でご確認ください。
寝たきりの方の場合、「だるい」を言葉で伝えられないことがあります。食事量が減る、いつもより眠っている時間が長い、といった様子が手がかりになります。ご家族が「なんとなくいつもと違う」と感じたときは、その感覚を大切にしてください。主治医や訪問看護師への連絡は、早すぎて困ることはありません。
ある利用者さんのご家族から、接種の翌日に「腕が赤く腫れているけれど、こんなに腫れるものですか」とお電話をいただいたことがあります。訪問して腫れの範囲と熱を確認し、主治医に写真とあわせて報告しました。主治医の判断で経過観察となり、腫れは数日で引いています。「これは普通のことか」と迷ったときに、聞ける相手がいることが、在宅での接種を支えます。
副反応の相談先と、健康被害救済制度
副反応の相談先は、接種した医療機関(訪問診療の主治医)が基本です。千葉県が設けていた新型コロナワクチンの副反応専門相談窓口は2024年3月末で終了しており、県も接種した医療機関やかかりつけ医への相談を案内しています。当ステーションをご利用の方は、夜間や休日に迷ったとき、当ステーションの緊急連絡先にもご連絡いただけます。
また、定期接種で健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく健康被害救済制度があります。接種を受けたときに住民登録のあった市に申請し、審査を経て厚生労働大臣が因果関係を認めた場合に、市から給付されます。B類疾病の定期接種では、医療費・医療手当の対象が入院を要する程度の医療に限られるなど、A類疾病とは給付の内容が異なり、申請には期限があります。万一のときのために、制度があることだけ覚えておいてください。
迷ったときの考え方
「打ったほうがいいのは分かるけれど、体に負担にならないか」「本人がもういいと言っている」。迷うのは自然なことです。ここでは、打つ・打たないをご家族が考えるときの材料を4つ挙げます。どれを重く見るかは、ご家族ごとに違ってかまいません。
考える材料は4つ

| 材料 | 具体的に確認すること |
|---|---|
| ご本人の意思 | 本人はどう思っているか。言葉で伝えにくい場合、以前どう考えていたか |
| 主治医の判断 | いまの体調・持病・薬で接種できるか。主治医は勧めているか、慎重か |
| 同居するご家族の状況 | 外で働く家族、通学するお孫さんがいるか。家族自身の接種はどうするか |
| 施設・デイサービスの方針 | 通っているデイサービスやショートステイに、接種に関する方針や希望があるか |
この4つを紙に書き出してから主治医に相談すると、話が短く済みます。「家族としては打たせたいが、本人は嫌がっている」という状態も、そのまま伝えてかまいません。
本人が「もういい」と言うとき
ご本人が接種を望まないとき、ご家族が説得するべきかどうかは、難しい問題です。前の章でお伝えしたとおり、B類の定期接種は本人の希望で受けるものです(努力義務はA類疾病に限られています)。
当ステーションでは、ご本人が嫌がる理由を聞くところから始めます。「注射が痛い」「前に熱が出てつらかった」「もう長くないのだから」。理由によって、対応は変わります。痛みや前回の副反応が理由なら、主治医と対策を相談できます。人生観が理由なら、その考えを尊重するのも一つの選択です。ご家族が「打たせなかった」と自分を責める必要はありません。
打たない選択をしたときにできること
接種を見送った場合も、感染を防ぐ工夫は続けられます。同居するご家族が接種する、外から帰ったら手を洗う、体調の悪い家族はご本人と部屋を分ける、面会に来る親族に体調を確認してもらう。こうした対策は、接種の有無にかかわらず、冬の在宅介護の基本です。訪問看護では、冬の感染対策についても、ご家庭ごとにご相談を受けています。
あおい訪問看護ステーションでできること
ここまで読んで、「うちの親の場合はどうなるのか」と思われた方へ、当ステーションの関わり方をお伝えします。
接種の可否は、主治医が判断します
訪問看護は、接種できるかどうかを判断する立場にはありません。判断は主治医が行います。当ステーションは、その判断に必要な情報を集めて主治医に届けます。
当ステーションが担うこと
- 接種前:体温・食事量・水分量・いつもと違う様子の確認と、主治医への共有
- 接種当日:当日の状態の共有。ご希望があれば、接種日に合わせた訪問の調整
- 接種後:発熱や腕の腫れの確認と、主治医への報告。夜間の変化には24時間対応の連絡体制でお応えします
- 迷っているとき:ご家族のお話を伺い、主治医に相談するための整理をお手伝いします
ご相談先
まだ訪問看護を利用していない方も、ご相談いただけます。「まず何から始めればよいか」の段階からで大丈夫です。
あおい訪問看護ステーション(株式会社True Colors)
電話:050-5536-3136
お問い合わせフォーム:https://visitcare-aoi.com/consultation/
対応エリア:船橋市・鎌ケ谷市・市川市・白井市
よくある質問
Q1. 訪問看護師が家で打ってくれますか。
A. 当ステーションでは、訪問看護師が接種を行うことはしていません。接種は主治医(訪問診療医)が行います。看護師が注射をする場合も医師の指示のもとで行うものとされており、当ステーションでは接種は主治医が行う運用にしています。訪問看護は、接種前の体調確認、当日の状態の共有、接種後の観察を担います。
Q2. 予診票はどこで手に入りますか。
A. 船橋市の予診票は、対象の方に市から郵送されます。届かない・なくした場合は、市内の協力医療機関や市の窓口で受け取れます。訪問診療を受けている方は、主治医のクリニックに確認するのが早い方法です。ご本人が記入しにくい場合は、ご家族が代わりに記入できます。
Q3. 去年打ったから、今年は打たなくてもよいですか。
A. インフルエンザワクチンは、流行する型が年ごとに変わることや、効果が続く期間が限られることから、毎年接種する前提の仕組みになっています。新型コロナワクチンの定期接種も、秋から冬にかけての年1回です(船橋市の2026年度の案内でも1回)。前年に接種したかどうかにかかわらず、今年受けるかどうかは、主治医と相談して決めてください。
Q4. 介護している家族も打つべきですか。
A. ご家族の接種は、65歳以上などの対象に当てはまらない限り、市の助成のない任意接種(=費用が全額自己負担の接種)になります。同居するご家族への接種を国が一律に呼びかけているわけではありませんが、外から持ち込む感染を減らす目的で、家族が接種を選ぶことはあります。費用と体調を踏まえて、ご自身のかかりつけ医にご相談ください。
まとめ
船橋市の2026年度高齢者向け定期接種は、インフルエンザ1,000円(12月31日まで)、新型コロナ5,000円(2027年3月31日まで)で、生活保護世帯は無料です。 通院が難しい方は、訪問診療の主治医が自宅で接種する形で受けられます。市外や実施医療機関以外で受ける場合は、事前の手続きをご確認ください。 同時接種の可否と順番は主治医が判断します。ご家族は接種後3日ほど、体温と腕の様子を見てください。 受けるかどうかは本人の希望で決めるものです。迷ったら、4つの材料を書き出して主治医に相談してください。 訪問看護は接種の前後を担います。まずはお電話でご相談ください。
※この記事の内容は2026年9月時点のものです。制度の内容や助成額は年度ごとに変わります。最新の情報は船橋市の公式ページでご確認ください。

