抗がん剤治療を続けないという選択をしたあと、「もう何もできることはない」と言われたように感じる方がいます。そんなことはありません。
この記事では、がんの在宅療養で訪問看護ができること、痛みの管理の考え方、急に具合が悪くなったときの動き方を整理します。※2026年9月時点の情報です。
末期のがんは、医療保険の訪問看護になります
制度の話を先にします。訪問看護は原則として、要介護認定を受けている方は介護保険を使います。ただし末期の悪性腫瘍は、厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に含まれるため、医療保険の訪問看護になります。
これには実務上の意味があります。

- 週3日という回数の上限がなくなり、必要なら毎日の訪問ができます
- 介護保険の区分支給限度基準額の枠を使いません。他のサービスを圧迫しません
- 1日に複数回の訪問も、状態に応じて可能になります
「介護保険の枠がいっぱいで訪問看護を増やせない」と言われている場合、この切り替えができないか確認してみてください。判定は「別表7・別表8 早見表|訪問看護の医療保険・週4日以上の判定」に一覧にしています。
痛みの管理|医療用麻薬への誤解
痛みの相談でいちばん多いのが、医療用麻薬(オピオイド)への不安です。
「使うと中毒になる」「最後の手段だから、まだ我慢すべき」「使い始めたら余命が短くなる」。いずれも、痛みの治療として正しく使う場合には当てはまりません。むしろ痛みを我慢し続けるほうが、食欲・睡眠・気力を落とします。

訪問看護がするのは、痛みの状態を主治医に正確に伝えることです。
- いつ、どこが、どのくらい痛むのか(動いたときか、じっとしていてもか)
- いま処方されている薬が効いているか、効き始めるまでの時間はどうか
- 眠気、便秘、吐き気などの副作用が出ていないか
- レスキュー(頓用)の薬を1日に何回使っているか
これが伝われば、主治医が薬を調整できます。痛みは我慢するものではなく、調整するものだとお考えください。
食べられなくなったとき
ご家族がいちばんつらくなるのが、食事が入らなくなる時期です。「食べないと弱ってしまう」と、なんとか食べさせようとされます。
病状が進んだ段階では、食べられないから弱るのではなく、体が必要としなくなっていることがあります。無理に入れると、かえって苦しくなることもあります。
点滴を増やすかどうかも含めて、その時期に何をするのがご本人にとって楽なのかは、主治医と相談しながら決めていきます。ご家族だけで抱え込まないでください。
急に具合が悪くなったとき
24時間対応の体制がある訪問看護ステーションなら、夜間や休日でも電話で相談できます。ただし「電話で相談できること」と「必ず訪問すること」は別です。

- まず電話で状況をうかがい、様子を見てよいか、訪問が必要かを判断します
- 訪問が必要と判断すれば伺います。到着までの時間は距離や状況によります
- 救急対応が必要と判断すれば、主治医に連絡し、救急要請の判断をします
大事なのは、あらかじめ「こうなったらどうするか」を決めておくことです。救急車を呼ぶのか、まず訪問看護に電話するのか、主治医に連絡するのか。決まっていないと、いざというとき動けません。
24時間対応の仕組みは「24時間365日対応の訪問看護とは?緊急時の仕組みと安心の理由」に書いています。
最期をどこで迎えるか
自宅と決めていても、途中で気持ちが変わることがあります。それは自然なことです。
「家がいい」と言っていた方が「家族に悪いから病院で」とおっしゃることも、その逆もあります。一度決めたことを守らせるのではなく、変わったことを拾って共有するのが私たちの役割だと考えています。
在宅での看取りの流れは「自宅での看取りはできる?在宅看取りの流れと訪問看護の役割」に、話し合いの進め方は「「人生会議(ACP)」を家族で始めるには|訪問看護ができること」にまとめました。ケアプランの組み方は「ターミナル期のケアプランの組み方|訪看・福祉用具・訪介の連携と急変対応」をご覧ください。
まとめ
- 末期のがんは医療保険の訪問看護になり、回数の上限がなくなる。介護保険の枠も使わない
- 痛みは我慢するものではなく調整するもの。訪問看護は痛みの状態を主治医に伝える
- 食べられなくなる時期は、無理に入れないという判断もある
- 急変時にどう動くかを、あらかじめ決めておく
- 最期の場所は、変わってよい
これからどうなるのか、何を準備すればよいのか。分からないことを分からないままご相談ください。
あおい訪問看護ステーション(千葉県船橋市丸山3-1-2-202)
対応エリア:船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市を中心に対応しています
お電話(050-5536-3136)またはお問い合わせフォームからご相談ください。

