千葉でインフル注意報、昨シーズンより1か月早い|在宅介護のご家庭でできる「持ち込まない」工夫

千葉県にインフルエンザ注意報。昨シーズンより1か月早い流行のなかで、在宅介護のご家庭がインフルエンザを家に持ち込まないための工夫をまとめた記事のアイキャッチ

千葉県は2026年9月25日にインフルエンザ注意報を発令しました。船橋市でも注意報が出ており、患者報告数が基準値を上回ったのは昨シーズンより1か月早いとされています。この記事では、在宅で療養されている方のお宅にインフルエンザを持ち込まないために、ご家族が帰宅時にできること、同居のご家族が発症したときに家の中をどう分けるか、訪問看護やヘルパーに連絡したあと何が起きるかを、厚生労働省と千葉県・船橋市が公表している内容にあたって整理しました。

この記事は2026年10月2日時点で公表されている内容にもとづいています。最新の流行状況や、受診・接種の取り扱いは、記事末の公式ページでご確認ください。体調やお薬のことは、かかりつけの医師にご相談ください。

目次

千葉県と船橋市に、インフルエンザ注意報が出ています

まず、数字を押さえておきます。インフルエンザの流行は「定点当たり患者報告数」という指標で見ます。国が定める注意報の基準値は「10」です。

注意報の根拠になった週定点当たり患者報告数公式の記述
千葉県2026年第38週(9月14日〜9月20日)14.36人9月25日に注意報を発令。前シーズンに比べて5週間ほど早い発令
船橋市2026年第37週(9月7日〜9月13日)11.57昨シーズンより1か月早く注意報基準値「10」を上回った

早いのは千葉県だけではありません。国立健康危機管理研究機構は、全国の定点当たり報告数が2026年第34週に1.11となり、「感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで二番目に早い流行入りとなった」としています(IDWR 2026年第35号 注目すべき感染症 インフルエンザ)。

ただし同じページには、2025年第15週から集計のしくみが変わり、報告する医療機関が全国約5,000カ所から約3,000カ所になったため、「過去シーズンとの比較に際しては、データの解釈に一定の注意を要する」とも書かれています。数字の大小だけで判断せず、いま注意報が出ている、という事実のほうを目安にしてください。

船橋市は2026年第34週(8月17日〜8月23日)の時点で、流行開始の目安とされる「1」を上回っていました。つまり、夏の終わりから少しずつ増えていたことになります。この記事に載せた数字は注意報が出た時点のものです。最新の週の数字は、千葉県のインフルエンザ流行状況と、船橋市のインフルエンザ注意報のお知らせで更新されています。

千葉県は、インフルエンザについて「突然の高熱、頭痛、関節痛など、普通の風邪に比べて全身症状が強く、気管支炎や肺炎などを合併し重症化することがあるため、体力のない高齢者や乳幼児などは、特に注意が必要です」としています(インフルエンザ注意報の発令について)。在宅で療養されている方は、ここに当てはまる場合が多いと思います。

家に持ち込まないために、帰宅時にすること

ご家族が外から持ち帰らないようにすることが、いちばん手前の対策になります。厚生労働省は、急性呼吸器感染症の主な感染経路を「飛沫感染、エアロゾル感染、接触感染等」としていて、「手洗い、うがい、マスク着用、換気等の対策が有効です」と書いています。

帰宅したら、この順番で

  1. 玄関で手を洗う(または手指消毒)。療養されている方の部屋に入る前に済ませます
  2. 上着を部屋の外に掛ける。寝室やベッドのそばに持ち込まないようにします
  3. 石けんと流水で手を洗う。厚生労働省は「流水・石鹸による手洗いは手指など体についた病原体を物理的に除去するために有効」としています
  4. アルコールを使う場合はエタノール濃度80%前後のもの。厚生労働省が示している濃度です
  5. ケアに入る直前にもう一度手を洗う。おむつ交換・食事介助・吸引など、手が顔や口に近づく前です

部屋の空気と湿度

厚生労働省は、乾燥しやすい室内では「加湿器などを使って適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です」としています。千葉県も予防方法として「室内ではこまめに換気をする」「適度な湿度の保持」を挙げています。

空気のこと

  • こまめに換気をする(千葉県が挙げている予防方法のひとつです)
  • 湿度は50〜60%を目安に保つ(厚生労働省)
  • 加湿器を使うときは、水を毎日入れ替えて容器を清潔に保つ
  • 暖房で乾燥しやすい部屋は、湿度計を1つ置くと分かりやすくなります

同居のご家族が発症したとき、家の中をどう分けるか

ご家族が「熱が出た」「職場でもらったかもしれない」というとき、まず困るのが家の中の分け方です。厚生労働省は、症状があるときの行動として「人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう」「咳やくしゃみ等の症状のある時は、家族や周りの方へうつさないように、飛沫感染対策としての咳エチケットを徹底しましょう」としています。

発症したご家族が出たときの、最初の3手

  1. 療養されている方と、発症した家族を別の部屋にする。ドアを閉め、行き来を減らします
  2. 発症した家族と、看病する人の両方がマスクをつける。厚生労働省は、咳やくしゃみが出ているときは「できるだけ不織布製マスクを着用すること」としています。とっさの咳でマスクがないときは、ティッシュや腕の内側で口と鼻を覆います
  3. 看病の前と後に手を洗う。厚生労働省は流水・石けんによる手洗いを対策の基本としています

部屋を分けられないとき

ワンルームや、介護用ベッドが居間にある間取りでは、部屋を分けられないことがあります。その場合も、できることは残っています。

場面できることよりどころ
同じ部屋で過ごすベッドの間を離す。間にカーテンや家具で仕切りを作る。顔の向きを互いにそらす厚生労働省「咳やくしゃみを他の人に向けて発しないこと」
食事食器を一緒に洗うのは差し支えありませんが、食べる時間と場所をずらします厚生労働省は飛沫・接触・エアロゾルを主な経路としています
トイレ・洗面所使った後に手を洗う。ドアノブや水栓など手がよく触れる場所を拭く同上(接触感染への対策)
洗濯ふだんどおり洗濯できます。洗う前の衣類を抱えた後は手を洗います同上
ごみ鼻をかんだティッシュは袋の口を閉じて捨て、その後に手を洗う同上

消毒液を部屋にまく、空間に噴霧するといった方法は、公式に推奨されている対策には入っていません。厚生労働省が挙げているのは、手洗い・うがい・マスク着用・換気です。

高齢の方・在宅療養の方は、早めに連絡してください

厚生労働省は「特に基礎疾患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています」としています。千葉県も、気管支炎や肺炎などを合併して重症化することがあるため高齢者は特に注意が必要だとしています。ご家族が「ふだんと違う」と感じた時点が、連絡してよいタイミングです。

早めにご連絡いただきたい様子

  • 熱が出た。ふだんより体が熱い
  • 食事や水分の量が、はっきり減った
  • 眠っている時間が長く、起きていても受け答えがはっきりしない
  • 咳が続く、息をするのが苦しそう、呼吸が速い
  • 同居のご家族や、よく会う方にインフルエンザの方が出た
  • お子さんの学校・園で学級閉鎖があり、同じ家で過ごしている

連絡する順番

  1. 訪問看護ステーション、またはケアマネジャーに連絡します。訪問の予定が入っている日なら、先に伝えておくほど調整しやすくなります
  2. かかりつけの医師(主治医)に相談します。受診するか、薬を使うかは医師の判断になります
  3. 判断に迷うとき、夜間や休日は、千葉県の救急安心電話相談(#7119・24時間365日・原則として看護師が対応)や、船橋市民専用の「ふなばし健康ダイヤル24」(0120-2784-37・年中無休24時間)が使えます
  4. 息ができない、意識がはっきりしないなど緊急のときは、迷わず119番です(千葉県も「緊急の場合は、迷わず『119番』をご利用ください」としています)

お薬のこと

抗インフルエンザ薬について、厚生労働省は「適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され」るが、「2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません」としています。また「全ての患者に対して必須ではないため、医師の判断に基づき使用してください」とも書かれています。ご家庭で判断するものではないので、早めに主治医へ相談してください。

「伝えたら来てくれなくなる」と黙ってしまう前に

ご家族の側から、こういう声があります。発症を伝えたら訪問が止まってしまった、伝えなければよかった、と。気持ちとしてはよく分かります。ただ、黙っていることで困るのは、療養されているご本人です。

訪問に入る側は、感染症があることを知っていれば手の打ちようがあります。その日の訪問順をうしろに回す、滞在を短くする、使う防護具を変える、その回のケア内容を絞る、といった調整ができるためです。逆に、知らずに入って次のお宅へ向かうことが、いちばん避けたい形になります。

ご連絡をいただいたとき、ステーション側で検討できること

実際にどう動くかは、療養されている方の状態や、その日の体制によって変わります。下記は「ご連絡をいただければ検討できること」で、毎回すべてができるとお約束するものではありません。

  • 訪問の順番や時間の調整。他のお宅へ持ち出さないよう、その日の最後に回すなど
  • 防護具を変える。マスク・手袋・エプロンなどを、その訪問に合わせて用意します
  • ケアの内容を絞る。その日に欠かせない処置を優先し、滞在を短くします
  • 主治医・ケアマネジャーへの共有。受診や薬の相談、サービスの組み替えにつなげます
  • 訪問を見合わせる場合の代わりの手だて。電話での確認、ご家族への手順の説明、再開の目安のご相談

訪問看護は主治医の指示にもとづいて行うサービスです。感染症があるときに訪問するかどうかも、ご本人の状態をふまえた個別の判断になります。判断するために必要なのが、ご家族からの情報です。「こんなことで連絡していいのか」と迷われるくらいの段階で、ご連絡ください。

介護しているご家族が倒れないための備え

介護されているご家族ご自身が寝込むと、家のことと介護が同時に止まります。「自分が倒れたら回らない」という不安は、備えを書き出しておくことで少し軽くできます。

動けない数日間のために、今日書いておくこと

  • かかりつけ医・訪問看護ステーション・ケアマネジャーの電話番号を1枚の紙にまとめ、電話のそばに貼る
  • いま飲んでいる薬の名前と飲む時間(お薬手帳のコピーでも構いません)
  • 食事・水分・トイレ・入浴の、ふだんの流れと時間
  • ベッドの操作、吸引や注入など機器の使い方のメモ(写真を貼ると伝わりやすくなります)
  • 介護を代わってもらえる人の連絡先(ご親族、近くに住む方)
  • いざというときに相談する先(地域包括支援センター、ケアマネジャー)

数日間どうしても手が足りないときは、短期入所(ショートステイ)や訪問の回数を一時的に増やすといった方法が取れることもあります。こうした組み替えはケアマネジャーが窓口になりますので、見通しが立たなくなる前に相談してください。

よくあるご質問

Q. 面会に行っていいですか。病院や施設から中止と言われました

病院や施設が面会を制限するかどうかは、その施設の判断になります。流行期は制限がかかることがあるので、行く前に施設へ確認してください。窓越しや短時間での面会ができる場合もあります。

Q. 熱が下がれば、もう人にうつしませんか

厚生労働省は「排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています」としていて、排出期間の長さには個人差があるとしています。学校については、学校保健安全法施行規則で「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」がインフルエンザによる出席停止期間と定められています。熱が下がった直後は、まだマスクなどの配慮が要る時期だとお考えください。

Q. 検査はすぐ受けたほうがいいですか

検査をいつ受けるか、必要かどうかは、症状や経過をみた医師の判断になります。ご家庭で時期を決めるものではないので、まず主治医か相談窓口にご相談ください。

Q. ワクチンは打ったほうがいいですか

厚生労働省は、インフルエンザワクチンについて、感染を完全に抑える働きはないとしたうえで、「発病」を抑える効果が一定程度認められ、「重症化」を予防する効果も期待されているとしています。打つかどうかはご本人・ご家族と主治医で決めることですので、この記事では勧めも止めもしません。船橋市の助成の対象・期間・自己負担や、通院が難しい方が自宅で受ける方法は、高齢者のインフル・コロナ予防接種|船橋市の助成と自宅で受ける方法にまとめています。

ご相談先

船橋市のあおい訪問看護ステーションでは、在宅で療養されている方のご家庭から、体調の変化やご家族の感染についてのご相談を受けています。ご利用中の方は、ふだんの連絡先へご連絡ください。まだご利用でない方で、訪問看護を使えるか知りたい場合は、担当のケアマネジャーか当ステーションへお問い合わせください。

参考リンク(公式ページ)

いまの流行状況

予防と、かかったときの対応

予防接種

夜間・休日の相談と受診

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

目次