職員を一人にしない相談体制|LINE WORKSラジャーを導入しました

職員を一人にしない相談体制|LINE WORKSラジャーを導入しました(あおい訪問看護ステーション)

訪問看護は、多くの場面で職員が一人で利用者さんのお宅を訪ねます。訪問先で強い口調で責められたり、帰ろうとしても引き止められたりしたとき、「その場で一人で判断しなければ」と抱え込んでしまうのが、いちばん避けたい状況です。

あおい訪問看護ステーション(株式会社True Colors)では、スマートフォンで使えるトランシーバーアプリ「LINE WORKSラジャー」を導入しています。この記事では、訪問先で困った言動があったときに職員を一人にしないための相談の流れと、ラジャーで何が変わるのかをご紹介します。※2026年11月時点の情報です。

目次

訪問先で困った言動があったとき、職員を一人にしない相談体制

当社の考え方はシンプルです。訪問は一人でも、判断は一人で抱えない。困った言動があったら、まず自分の安全を確保し、すぐ事業所へ伝え、そのあとの対応はチームで決めます。

困った言動があったときの相談の流れ。1 安全を確保、2 ラジャーや電話ですぐ事業所へ伝える、3 記録を残し次回の訪問方法をチームで決める
  1. 安全を確保する:危険を感じたら、説明や説得を続けずに距離を取り、必要なら訪問先を離れます。
  2. すぐ事業所へ伝える:安全な場所から、ラジャーや電話で「いつ・どこで・何があり、今どこにいるか」を短く伝えます。
  3. チームで次を決める:記録を残し、担当の変更や複数名での訪問など、次回の訪問方法を管理者と一緒に考えます。

厚生労働省のカスタマーハラスメント対策の新ルールの解説でも、被害に遭ったと思ったときは一人で抱え込まず、速やかに上司や相談窓口に報告・相談することが大切だとされています。「これはカスハラなのか」と迷う段階でも、相談して構いません。判断するのは職員一人ではなく、事業所です。

2026年10月1日の施行にあわせて、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策の義務化に関するリーフレット(PDF)でも、あらかじめ定めて職員に周知する対処の例として「管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐ」「可能な限り労働者を一人で対応させない」が挙げられています。2026年11月時点では、訪問系の現場や事業者の発信でも「訪問は一人でも、抱え込ませない」体制づくりへの関心が高まっています。

LINE WORKSラジャーとは?スマホで使えるトランシーバー

LINE WORKSラジャーは、LINE WORKS株式会社が提供するスマートフォン用のトランシーバー(インカム)アプリです。LINE WORKSラジャーの公式ページでは、主に次の特長が紹介されています。

LINE WORKSラジャーの3つの特長。スマホで使える、声だけで話せる、自動で文字起こし
特長内容
スマホで使える専用の無線機がいらず、インターネット経由のため会話できる距離に制限がない
声だけで話せるあらかじめ決めた言葉を声に出すと話し始められる「スマート発話」で、ハンズフリーの連絡ができる
自動で文字起こし会話が発話者名・時刻つきで文字になり、聞き逃しても後から読み返せる

会話の履歴は、ラジャー単体では7日間、LINE WORKSと併用すると最大3年間保存されると公式ページに記載されています。介護の現場で使われている例は、LINE WORKSのサービス開始1年のお知らせでも紹介されています。

ラジャーで変わること:危険の通報と相談がスムーズに

電話は、相手が出るまで待つ必要があり、誰に掛けるかも自分で選ばなければなりません。緊張した場面では、その数十秒が大きな負担になります。ラジャーなら、事業所のメンバーへ一度に声が届くため、危険を感じたときの通報や「少し相談したい」という連絡を、迷わずすぐに伝えられます。

  • すぐ届く:電話をかけ直したり、出る人を探したりする手間が減ります。
  • 言葉が残る:文字起こしで、いつ何を伝えたかが記録に残り、あとで事実を確認するときの助けになります。
  • 手がふさがっていても話せる:ハンズフリーの機能で、荷物を持ったままでも連絡できます。

ただし、アプリはあくまで連絡の道具です。身の危険が差し迫っているときは、アプリより先に、その場を離れることと警察への110番通報を優先します。厚生労働省の医療現場及び訪問看護における暴力・ハラスメント対策のページでも、訪問看護の安全対策が紹介されています。

ラジャーを使うときに守っていること

便利な道具ほど、使い方のルールが大切です。当社では、次の点を大切にしています。

ラジャーを使うときに守ること。安全の判断が先、個人情報に配慮する、伝えた人を責めない。身の危険が差し迫っているときは110番を優先
  • 安全の判断が先:アプリを開くより、その場から離れることを優先します。
  • 個人情報に配慮する:会話は文字として残るため、利用者さんの情報は必要な範囲だけ伝え、事業所の決めた記録の方法を使います。
  • 伝えた人を責めない:相談・報告したことを理由に、職員が不利益を受けることはありません。

困った言動の背景には、病気や障害、説明の行き違いがあることもあります。職員の安全を守ることと、利用者さんへのケアを続けることの両方を、ケアマネジャーや主治医と相談しながら考えていきます。

2026年10月からのカスハラ対策と、当社の取り組み

2026年10月1日から、労働施策総合推進法の第33条により、事業主には利用者・ご家族などからの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)から働く人を守るための措置が義務づけられました。その柱の一つが「相談体制の整備」です。制度の概要は厚生労働省の職場におけるハラスメントの防止のためにのページにまとめられています。

介護・看護の現場向けには、厚生労働省の介護現場におけるハラスメント対策のページで、介護現場におけるハラスメント対策マニュアル(PDF)やハラスメント事例集(PDF)が公開されています。

事業所の外にも相談先があります。千葉県には訪問看護ステーションの職員も相談できる千葉県在宅医療・訪問介護職員カスハラ相談センターがあり、職場の労働問題全般は千葉労働局の総合労働相談コーナーでも相談できます。受付時間などは、利用前に各ページでご確認ください。

訪問看護の仕事で困った言動に出会ったときの初動や、入職前に確かめたいことは「訪問看護で困った言動があったら?初動4ステップと相談先、入職前に聞く5つ」でまとめています。

一人訪問中の具体的な対応の手順は、「訪問看護のカスハラ対応|一人訪問の4手順」で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 「カスハラかどうか分からない」程度でも連絡していいですか?

はい。迷う段階で伝えてもらうことが、早めの対応につながります。カスハラかどうかを判断するのは、職員一人ではなく事業所です。

Q. ラジャーがあれば、電話は使わないのですか?

いいえ。ラジャーは連絡手段の一つで、電話や対面での相談も使えます。その場で一番伝えやすい方法を選んでください。身の危険があるときは110番を優先します。

Q. 会話の内容は誰が見られますか?

会話は事業所の業務用のトークルームでやり取りし、文字起こしは業務の範囲で扱います。利用者さんの情報は必要な範囲だけ伝えるようにしています。

訪問看護の働き方については「訪問看護師の働き方」、当社の職場についてはあおい訪問看護ステーションの採用情報のページでもご紹介しています。

参考リンク(公式ページ)

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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