「電気のリハビリを訪問でも」と言われたら|ケアマネの3つの動き

「電気のリハビリを訪問でも」と言われたら|ケアマネの3つの動き|あおい訪問看護ステーション

利用者やご家族から「整形外科でやっていた電気のリハビリを、訪問でもやってほしい」と言われることがあります。訪問看護の事業所から「リハビリで電気刺激を使いたい」と相談が来ることもあります。このときケアマネジャーがする動きは3つです。①主治医への相談を訪問看護に頼む、②費用は変わらないと伝える、③サービス担当者会議で5点を確認する。この記事では、3つの動きの順に根拠を示し、担当者会議でそのまま使える確認表をまとめました。

※2026年10月時点の情報です(介護保険は2024年度改定、医療保険は2026年度改定)。制度の運用には保険者による差があります。最新の内容は公式情報と保険者にご確認ください。

目次

結論:電気のリハビリはケアプランも費用も変わらない。ケアマネジャーの動きは3つ

電気刺激(=弱い電気で筋肉や神経を刺激すること)は、訪問看護のリハビリの中の一手段です。使っても別のサービスにはなりません。ケアプランは訪問看護のままで、利用料も変わりません。ケアマネジャーが新しく覚える手続きはなく、確認する相手と順番を押さえれば足ります。

サービス担当者会議の机に置かれたクリップボードと書類、湯のみと出席者の手元

ケアマネジャーの3つの動き(一覧)

動き誰に何をするか
1訪問看護機器を使う前に、主治医へ相談して了解を得てもらう
2利用者・家族費用は変わらないと伝える
3担当者会議の出席者確認表の5点を議題にする

電気刺激は「理学療法」の一部

理学療法士の仕事を定めた法律では、理学療法に「電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段」が含まれています。同じ法律で、理学療法士は医師の指示の下で理学療法を行う職種とされています。日本理学療法士協会の「理学療法とは」でも、理学療法は「運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法」と説明されています。

つまり、理学療法士が電気を使うこと自体は特別なことではありません。前提は「医師の指示の下で」です。ここが動き1につながります。

電気刺激の種類や家庭用機器との違いは、在宅リハビリで電気刺激は使える?訪問看護のPTが答える5つの疑問で基礎から説明しています。

訪問看護のリハビリは「看護の仕事の一部」

訪問看護の理学療法士・作業療法士の訪問は、看護とは別のサービスではありません。千葉市が事業所向けに公開している訪問看護におけるリハビリテーションについて(PDF)にあるとおり、「看護業務の一環としてのリハビリテーション」として、看護職員の代わりに訪問する位置づけです。

日本訪問看護財団の「訪問看護とは」にも、訪問看護にはリハビリの専門職が伺うことがあると書かれています。この位置づけから、電気だけを目的にした訪問は想定されていません。運動や日常生活動作の練習と組み合わせた計画の中で使うものです。

訪問リハビリとの違いは、訪問リハビリと訪問看護のリハビリの違いにまとめています。

動き1:機器を使う前に、主治医への相談を訪問看護に頼む

最初の動きは、訪問看護に「主治医に相談してから始めてほしい」と伝えることです。ケアマネジャーが自分で主治医に電気の可否を聞く必要はありません。

封筒から取り出した書類とバインダー、ペンが置かれた事務机

相談する相手は、訪問看護指示書を書いている主治医です。整形外科で電気を受けていた方でも、指示書を内科の先生が書いているなら、相談先はその先生になります。

訪問看護は主治医の文書の指示で動く

訪問看護は、主治医の訪問看護指示書に基づいて行われます。介護保険の訪問看護のルールを定めた省令では、訪問看護の開始時に主治医の指示を文書で受けることになっています。訪問看護計画書と報告書(=訪問の内容を主治医に報告する書類)は主治医に提出します。計画書の主な内容は、利用者と家族に説明して同意を得ます。

医療保険の訪問看護のルールを定めた省令も同じ枠組みです。2026年6月1日施行の改正後も、この構造は変わっていません。機器を使うことも、この枠の中で行われます。

介護サービス情報公表システムの訪問看護の説明にも、訪問看護は主治医の指示に基づくサービスだと書かれています。

指示書に「電気」と書く決まりは確認できていない。だから事前相談

「指示書にはリハビリテーションとしか書かれていないが、電気を使ってよいのか」。ケアマネジャーからよく出る質問です。

確認できた範囲では、指示書に電気刺激や物理療法(=電気や温熱などの刺激を使う治療)の明記を求める決まりは見つかりませんでした(2026年10月9日時点)。一方で、訪問看護が主治医の指示に基づくこと、計画書を主治医に出すことは明文で定められています。

そこで安全な進め方は、次の2つです。

  • 使い始める前に、訪問看護から主治医へ相談し、了解を得る(指示書の留意事項欄に書き足してもらえればなおよい)
  • 訪問看護計画書に機器を使うことを書き、主治医に提出する

指示書のリハビリの指示だけで足りるかは、保険者(介護保険は市、医療保険は厚生局)に確認するのが確実です。千葉県の訪問看護に関する相談窓口には、医療保険は厚生局千葉事務所、介護保険は千葉市・船橋市・柏市の事業所なら各市役所、と窓口の分かれ方が載っています。

ケアマネジャーは「相談済みか」を聞けば足りる

指示書の文言をどう読むかは、訪問看護と主治医の間で決めることです。ケアマネジャーは「主治医に相談して了解を得たか」を聞き、その答えを担当者会議の記録に残せば十分です。

主治医が指示書を書いてくれないなど、指示書そのものに悩むときは、訪問看護指示書を書いてくれないときの相談の進め方を参考にしてください。

動き2:費用は変わらないと、利用者・家族に伝える

2つ目の動きは費用の説明です。「電気を使うと料金が上がるのか」は、ご家族からもケアマネジャーからもよく出る質問です。答えは「変わりません」です。

加算はなく、機器の使用料も取れない(表)

加算(=条件を満たすと料金が上乗せされる仕組み)は、電気刺激の機器にはありません。機器の使用料を別にもらうこともできません。

項目介護保険医療保険
電気刺激の機器に対する加算なしなし
機器の使用料を別にもらうことできないできない
利用料のほかに受け取れるもの利用者の希望で通常の実施地域の外へ訪問するときの交通費のみ時間外などの差額と、交通費・おむつ代など訪問看護以外の実費
自己負担通常の訪問看護費(理学療法士等の訪問の区分)のまま通常の訪問看護療養費のまま

介護保険の訪問看護の加算は、令和6年度介護保険制度改正について(船橋市)に掲載された厚生労働省の資料で確認できます。緊急時訪問看護加算・特別管理加算などはありますが、電気刺激や物理療法の項目はありません。利用料のほかに受け取れるものは、介護保険の省令で実施地域外の交通費に限られています。

医療保険も同じです。令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)から訪問看護療養費の告示・通知をたどれますが、電気刺激の機器に関する項目はありません。基本利用料のほかに受け取れるのは、時間外などの差額と、交通費・おむつ代などの実費に限られます。

ケアプランは「訪問看護」のまま

ケアプラン上、電気刺激は訪問看護(リハビリ)の内容の一部です。独立したサービスとして位置づける必要はありません。サービス内容の欄に書き足すかどうかは、訪問看護と相談して決めて構いません。具体的な書き方は保険者の指導に従ってください。

医療保険の訪問看護をケアプランにどう位置づけるかは、医療保険の訪問看護とケアプラン|給付管理・位置づけの実務にまとめています。

別料金の説明があったら、重要事項説明書を見る

万一、事業所から「機器使用料」「電極パッド代」などの別料金の説明があったら、上の表を根拠に確認してください。重要事項説明書の料金欄に、保険の利用料以外で書かれているのは交通費などに限られるはずです。

動き3:サービス担当者会議で、5点を確認する

3つ目の動きは、担当者会議で下の5点を確認することです。確認するのは「訪問看護が済ませたか」であって、ケアマネジャーが医学的な判断をする場面ではありません。

血圧計や手帳と並んで手のひら大の機器ケースが収まった訪問用バッグ

担当者会議でそのまま使える確認表(5点)

#確認すること確認先✓
1主治医に相談し、了解を得たか訪問看護☐
2訪問看護計画書に機器を使うことが書かれ、本人・家族が説明を受けて同意したか訪問看護☐
3使えない方・使えない部位に当たらないことを、事業所が確認したか訪問看護・主治医☐
4料金が変わらないことを、本人・家族に伝えたかケアマネジャー・訪問看護☐
5困ったとき(やめたい・痛い)に誰へ言うかが決まり、本人・家族に伝わっているか訪問看護☐

介護保険の利用の流れや相談先は、船橋市の在宅で介護保険サービスを利用するにまとまっています。医療保険の訪問看護についての照会先は、関東信越厚生局 千葉事務所です。

③「使えない方・使えない部位」の代表例

低周波治療器(=弱い電気を流す機器)には、添付文書(=機器ごとの公式の注意書き)があります。そこに、使えない方・使えない部位が定められています。小型の低周波治療器の添付文書(2020年5月改訂)の記載を要約すると、代表例は次のとおりです。

  • ペースメーカーなど、体に植え込んだ電子機器を使っている方
  • 心臓に病気のある方
  • 悪性腫瘍(がん)のある方
  • 妊娠中の方
  • 感覚が鈍く、刺激の強さを感じ取れない部位
  • 皮膚に傷や炎症がある部位

このほか、認知症などで「ピリピリする」「強い」を伝えられない方は、刺激の強さを決めるのが難しいため、慎重に判断するよう書かれています。訪問看護の利用者には認知症の方も少なくなく、この注意はそのまま当てはまります。

機器により記載は異なります。事業所が使う機器の添付文書は、医療機器 添付文書等情報検索(PMDA)で販売名から調べられます。ケアマネジャーは、アセスメントや主治医からの情報にこれらの項目があれば、「事業所が確認したか」を議題にすれば足ります。

②と⑤:計画書と連絡先は訪問看護が決める

計画書を作るのは看護師です。医療保険では、訪問看護療養費の留意事項を定めた通知(PDF)で、理学療法士等の訪問内容も計画書・報告書に一体で含め、看護職員と連携して作ることとされています。介護保険でも、看護師が計画書の作成に関わる流れは同じです。ケアマネジャーは「計画書に機器を使うことが書かれ、看護師がその内容を知っているか」を確認すれば十分です。

看護師が訪問の日に体調や皮膚の状態を確かめ、その日に使うかを理学療法士が決める、という分担をとる事業所もあります。「使わない日の判断基準を決めているか」を聞いておくと、運用の丁寧さが分かります。事業所側の連携の手引きは、全国訪問看護事業協会のガイドライン一覧に掲載されています。

⑤の連絡先は、訪問中なら担当の理学療法士・作業療法士、訪問の後なら事業所の電話です。本人・家族の手元に残る形(計画書や重要事項説明書)で確認しておきます。訪問看護に頼めること・頼めないことの整理は、訪問看護に頼めないこと|計画書と指示書の範囲で扱っています。

利用者・家族にどう説明するか

ケアマネジャーが利用者・家族に伝えることは3つです。医学的な効果の説明は、訪問看護と主治医に任せて構いません。

伝えることは3つ

  • 電気は運動の代わりではなく、運動と組み合わせて使うものです。学会の理学療法ガイドライン第2版でも、電気刺激は理学療法と組み合わせて行うものとして扱われています
  • 料金は変わりません。使う日も使わない日も、自己負担は同じです
  • 強いと感じたら、いつでもやめてよいです。言う相手は決まっています

「電気は痛いのでは」と心配されたら

効果の説明よりも、手順の説明が安心につながります。初回は弱い設定で感触を確かめてもらい、本人が納得してから計画に入れる事業所もあります。「最初に弱い強さで試させてもらえるか」を事業所に聞いてみてください。

よくある質問

Q1. 指示書に「リハビリテーション」とだけ書かれています。電気を使ってもよいですか?

A. 指示書に電気刺激の明記を求める決まりは、確認できた範囲では見つかっていません。ただし訪問看護は主治医の指示に基づくものです。使う前に訪問看護から主治医へ相談し、計画書に書いて提出してもらうのが安全です。保険者の見解も確認してください。

Q2. 電気を使う日は利用料が上がりますか?

A. 上がりません。介護保険・医療保険とも電気刺激の機器に対する加算は無く、機器の使用料を別にもらうこともできません。利用料のほかに受け取れるのは、介護保険では実施地域外への交通費、医療保険では時間外の差額や交通費などの実費に限られます。

Q3. ケアプランにはどう書けばよいですか?

A. 訪問看護(リハビリ)のサービス内容の一部として扱い、独立したサービスとして位置づけない形が制度の枠組みに沿います。サービス内容の欄に書き足すかは訪問看護と相談し、具体的な書き方は保険者の指導に従ってください。

Q4. ペースメーカーを入れている方には使えますか?

A. 小型の低周波治療器の添付文書では、ペースメーカーなど体に植え込んだ電子機器を使っている方は使えないとされています。主治医と訪問看護に情報を共有し、別の手段を検討してもらってください。

Q5. ご本人が家庭用の低周波治療器を持っています。訪問看護の職員に操作してもらえますか?

A. 家庭用の機器は、ご本人が取扱説明書に沿って使うものです。訪問看護で使う機器は、事業所が管理し、主治医の指示のもとで使うものに限られるのが一般的です。個別の対応は、事業所と主治医にご相談ください。

担当利用者の訪問看護で電気のリハビリの話が出て、進め方に迷ったときは、あおい訪問看護ステーションにご相談ください。船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市・習志野市で訪問しています。ケアマネジャーの方からのご相談は相談窓口、またはお電話(050-5536-3136)で受け付けています。

参考リンク(公式ページ)

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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