認定調査で親がいつもより元気に見えても、家族が普段の様子を事実のまま調査員に伝えれば、判定に必要な情報は届けられます。大切なのは、重く見せることではなく、できる日とできない日の差、介助の手間、夜間や体調の波、危なかった場面を正確に伝えることです。この記事では、認定調査の流れと特記事項・主治医意見書の役割、家族の同席のしかた、そのまま使える「伝えたいことメモ」の項目、結果に納得できないときの相談先を、船橋市の公式情報をもとに整理します。
※2026年10月時点の情報です。最新の制度は公式情報をご確認ください。
認定調査で「いつもより元気」になるのはよくあること

調査員の前でしっかりしてしまう理由
知らない人が家に来ると、背筋が伸びて受け答えがはっきりする。認定調査では、こうした場面がよく起こります。
「歩けますか」と聞かれて、普段は手すりにつかまる廊下をすっと歩いてみせる。「お風呂は一人で入れますか」に、「入れますよ」と答える。本人にとっては、見栄やプライドというより、相手に迷惑をかけたくない、まだ大丈夫と思っていたいという自然な気持ちです。
この現象は自治体の案内でも想定されている
調査当日の様子が普段と違うことは、自治体の案内でも想定されています。北海道更別村の認定・調査についてのQ&Aは、「調査員が来ると本人がんばってしまう」という質問に対し、家族や普段付き添っている人の立会いをお願いし、普段と異なる場合は普段の状況を調査員に話すよう案内しています。
つまり、家族が普段の様子を補うことは、調査の仕組みの中で求められている役割です。本人の頑張りを否定する必要はありません。
目的は「重く見せる」ではなく「正しく伝える」
ここで線を引いておきます。家族の役割は、介護度を上げるために様子を大きく言うことでも、本人にできないふりをさせることでもありません。
茨城県日立市の認定調査に関するよくある質問は、調査で聞いたことが認定審査会の判断のもとになるので、本人の生活の状況を正確に伝えてほしいと案内しています。正確さがいちばんの準備です。
要介護認定と認定調査の流れを知っておく

申請から結果通知までの5ステップ
まず全体の流れを押さえます。船橋市の要介護認定の申請から結果通知までの流れでは、次の順で進みます。
| 順番 | 内容 | 家族が関わるところ |
|---|---|---|
| 1 申請 | 市の窓口などで申請する | 申請書に主治医と連絡先を書く |
| 2 認定調査 | 調査員が自宅などを訪問し、本人や家族から聞き取る | 日時の調整・同席・普段の様子を補う |
| 3 主治医意見書 | 市が主治医に作成を依頼し、意見書は直接市へ返送される | 受診時に普段の様子を医師に伝えておく |
| 4 介護認定審査会 | 保健・医療・福祉の学識経験者が審査・判定する | ― |
| 5 結果通知 | 原則として申請から30日以内。効力は原則として申請日まで遡る | 結果を確認し、ケアマネジャーと相談する |
調査の日時は、申請書に書いた電話番号に調査担当から連絡が入り、相談して決めます。申請の手順そのものは、要介護認定の申請方法の記事で窓口ごとにまとめています。
調査項目は74項目。「介護の手間」を見る調査
認定調査では、心身の状態や日常生活、介護の手間に関する74項目を調べます。本人から直接聞き取れない項目は、日常生活をよく知る家族などに聞きます。
厚生労働省の要介護認定はどのように行われるかには、要介護認定は介護サービスの必要度を判断するものだと書かれています。病気の重さと要介護度は、一致するとは限りません。だからこそ「どの場面で、どれくらい手がかかっているか」が伝わることが大切です。
一次判定と二次判定、特記事項の役割
判定は2段階です。介護サービス情報公表システムのサービス利用までの流れによると、調査結果と主治医意見書の一部の項目をコンピューターに入力し、全国一律の方法で判定します(一次判定)。その後、介護認定審査会が判定します(二次判定)。
習志野市の介護サービスを利用するまでの流れでは、二次判定は一次判定の結果と訪問調査の特記事項、主治医意見書をもとに行うと説明しています。特記事項(=調査員が選択肢だけでは表せない具体的な様子を書き残す欄のこと)に、普段の具体的な場面が書かれているかどうかが、審査会に実情を届ける鍵になります。
家族の同席で普段の様子を補う
同席は必須ではないが、在宅ならできるだけ
東京都立川市の認定調査の家族の立会いに関するよくある質問では、立会いは必須ではないものの、在宅の場合はなるべくお願いしていると答えています。入院中や施設入所中は、職員や看護師から本人の状況を聞き取るので、家族の立会いがなくても調査できる扱いです。
同じページでは、調査は平日の日中に行うこと、申請書に書いた人以外でも立ち会えることも案内しています。普段いちばん介護している人が同席できる日を、日程調整の電話で相談しましょう。
本人の言葉を否定せず、あとから補う
同席したときに気をつけたいのは、本人の答えをその場で打ち消さないことです。「できないでしょ」と言われると、本人は傷つき、調査の場の空気も固くなります。
おすすめは、本人の答えをいったん受け止め、あとで事実を補う形です。たとえば次のように伝えます。
- 「今日は調子が良いほうです。先週は3日ほど、着替えに手を貸しました」
- 「お風呂は一人で入りますが、浴槽をまたぐときは私が腕を支えています」
- 「夜中に2回ほどトイレに起き、そのたびに付き添っています」
回数や時間帯など、見たままの事実を添えるのがコツです。
本人の前で言いにくいことは調査員に相談する
失禁や物忘れ、家族への強い言葉など、本人の前では言いにくいこともあります。そうした内容は、調査の日程調整の電話や当日の最初に「本人のいない場所で補足したいことがある」と調査員に相談してみてください。言葉で話しにくければ、次の章のメモを手渡す方法もあります。
「伝えたいことメモ」のひな形

メモは事実をそのまま書く
メモは、調査員に普段の様子を正確に届けるための道具です。重く見せるための記録ではありません。良い日のことも、悪い日のことも、そのまま書きます。
書くときのポイントは3つです。
- いつ・どこで・何が起きたかを書く(「最近ひどい」ではなく「9月中旬の夜、トイレの前で転んだ」)
- 回数と頻度を書く(「週に何回」「夜に何回」)
- 家族が何をしたか(介助の中身と時間)を書く
撮影などの記録を考える場合も、本人の尊厳と同意を優先し、まず担当ケアマネジャーに相談してください。
そのまま使える項目例
以下をメモ用紙やスマートフォンに写して、2週間ほど気づいたことを書きためておくと、当日あわてずに済みます。
【伝えたいことメモ】(記入日: 記入者: )
- 体調の波:調子の良い日と悪い日の差/悪い日はどんな様子か/月に何日くらいか
- 移動・歩行:家の中で手すりや壁を使う場面/ふらつき・転倒・転びそうになった日時と場所
- 食事:用意・配膳・食べる・片付けのうち、手を貸している部分/むせることがあるか
- 排せつ:トイレの回数(昼・夜)/付き添いや後始末の手間/失敗があった頻度
- 入浴・着替え・身だしなみ:手を貸している動作/声かけが要る場面
- 夜間の様子:起きる回数/そのとき家族がしていること
- 物忘れ・認知面:薬の飲み忘れ/同じことを何度も聞く/火の消し忘れなど危なかった場面
- 服薬・通院:薬の管理を誰がしているか/通院の付き添い
- 危なかった場面:日付・場所・何が起きて、どう対応したか
- 介護する家族の状況:同居か別居か/介護に使っている時間帯/仕事との両立で困っていること
渡し方と、同席して補う流れ
メモは調査の最初か最後に、「普段の様子をまとめました」と調査員に手渡します。そのうえで同席し、口頭で補います。メモと口頭がそろうと、調査員は特記事項に具体的な場面を書き残しやすくなります。
ご家族の気持ちも、整理の一つの材料になります。親の介護が始まったばかりで、何から手をつければよいか迷っている方は、親の介護が始まったら最初にやること5つも参考にしてください。
主治医意見書とケアマネジャーにも普段の様子を届ける
主治医にも同じ事実を伝えておく
二次判定では、特記事項と並んで主治医意見書も使われます。主治医意見書は市区町村が主治医に依頼し、主治医がいない場合は市区町村の指定医の診察が必要です。意見書の作成料に申請者の自己負担はありません。
診察室では本人がしっかり答えて、普段の困りごとが話題にのぼらないこともあります。申請前後の受診では、メモの写しを持参し、普段の様子を医師に伝えておくと、医師が生活の実情を知る助けになります。
ケアマネジャーと情報を共有する
すでにケアマネジャー(=介護サービスの計画を立て、事業所との調整を担う専門職のこと)が担当している場合は、更新や区分変更の前に、メモの内容を共有しておきましょう。日々の訪問で見えている様子と、家族が見ている夜間や休日の様子を合わせることで、伝える内容に抜けが減ります。ケアマネジャーの役割はケアマネジャーとはの記事で詳しく紹介しています。
ケアマネジャー側から見ても、家族のメモは更新申請の準備や、サービス担当者会議での状況共有に役立つ材料になります。
申請の代行も頼める
本人や家族が窓口に行けないときは、申請の代行を頼めます。船橋市の要介護・要支援認定の申請では、地域包括支援センターや指定居宅介護支援事業所、介護保険施設などに代行してもらえると案内しています。
窓口は市役所本庁舎3階の介護保険課のほか、船橋駅前総合窓口センターや市内の出張所でも受け付けています。場所は船橋市の介護保険に関する申請窓口で確認できます。マイナポータルのぴったりサービスによるオンライン申請では、新規・更新・区分変更の申請に対応しています。
結果に納得できないとき・状態が変わったときの相談先

まずは市の介護保険課に相談する
結果が実情と合わないと感じたら、まず市に相談します。船橋市の要介護認定の認定結果に納得できないときでは、介護保険課認定審査係が審査判定に使った資料を確認して説明すると案内しています。
区分変更申請と審査請求
手段は大きく2つあります。
| 手段 | どんなとき | 内容 |
|---|---|---|
| 区分変更申請 | 認定された区分と本人の状態に差があるとき | 認定調査をもう一度行い、主治医意見書も再度依頼して、市の介護認定審査会で判定する |
| 審査請求 | 認定の処分そのものに不服があるとき | 千葉県に設置された介護保険審査会で審査する |
鎌ケ谷市の要介護認定の手続では、区分変更は状態の改善または悪化がみられる場合に申請でき、結果が希望と異なる場合もあると案内しています。審査を担う千葉県介護保険審査会は、要介護認定に関する処分への審査請求を審理する機関です。千葉県の要介護認定結果の苦情に関するよくある質問も、疑問があればまず市町村の窓口へ相談するよう案内しています。審査請求には期限があるため、通知を受け取ったら早めに相談しましょう。
要支援・非該当になったときの相談先
「要介護から外れたら相談先がなくなるのでは」という不安もよく聞かれます。船橋市地域包括支援センターは市内14か所にあり、要支援1・2に関する相談や、介護予防・生活支援サービスの対象となる方のケアマネジメントを担っています。
厚生労働省の地域包括ケアシステムのページでは、地域包括支援センターを高齢者の総合相談や介護予防の援助を行う、市町村が設置する機関と説明しています。市川市では市川市高齢者サポートセンターという名称です。
近隣市(市川市・鎌ケ谷市・白井市・習志野市)の窓口
調査票は全国共通、窓口は市ごと
認定調査の調査票は全国共通です。一方で、申請窓口や様式、問い合わせ先は市ごとに違います。お住まいの市の公式ページで確認してください。
| 市 | 公式ページ |
|---|---|
| 船橋市 | 上記の各ページ |
| 市川市 | 市川市の要介護・要支援認定の申請/市川市の介護保険申請からの流れ |
| 鎌ケ谷市 | 上記の鎌ケ谷市の要介護認定の手続 |
| 白井市 | 白井市の介護保険に関する申請書・様式一覧 |
| 習志野市 | 上記の習志野市の介護サービスを利用するまでの流れ |
市川市では、調査の日時は申請後に介護保険課または委託事業所から電話で連絡が入ります。白井市では、新規・更新・区分変更のいずれも、申請書とあわせて主治医意見書のための質問票の提出を求めています。
当日までのチェックリスト
- □ 調査日の連絡が来たら、普段いちばん介護している家族が同席できる日を相談した
- □ 2週間ほど「伝えたいことメモ」を書きためた
- □ 本人の前で言いにくいことがあれば、伝え方を調査員に相談すると決めた
- □ 主治医にも普段の様子を伝えた(受診時にメモの写しを持参)
- □ 担当のケアマネジャーがいれば、メモを共有した
- □ 介護保険被保険者証など、市の案内にある書類を手元にそろえた
制度全体を確認したい方は、厚生労働省の要介護認定のページもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1. 認定調査に家族は同席しないといけませんか。A. 必須ではありません。ただし在宅の場合は、普段の様子を補うためにできるだけ同席をお願いしている自治体があります。入院中や施設入所中は、職員や看護師から聞き取りが行われます。
Q2. 親が調査員の前で元気にふるまったら、どうすればよいですか。A. 本人の答えを否定せず、あとから「今日は調子が良いほうです」と事実を補ってください。回数・時間帯・介助の中身を添えると伝わりやすくなります。
Q3. 「伝えたいことメモ」は調査員に渡してもよいですか。A. 渡して構いません。良い日も悪い日も事実のまま書き、手渡したうえで同席して口頭で補うと、普段の様子が伝わりやすくなります。
Q4. 認定結果が実際の状態と合わないときは、どうすればよいですか。A. まず市の介護保険課に相談してください。状態と区分に差があるときは区分変更申請、処分そのものに不服があるときは千葉県介護保険審査会への審査請求という手段があります。
Q5. 要支援や非該当になったら、相談先はなくなりますか。A. なくなりません。地域包括支援センター(市川市では高齢者サポートセンター)が、要支援の方や介護予防の相談窓口になります。
認定調査の準備や介護のことは、あおい訪問看護ステーションへご相談ください
あおい訪問看護ステーションは、船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市・習志野市で訪問看護を行っています。運営する株式会社True Colorsは、居宅介護支援事業所「あおいケアプランセンター」「あやめケアプランセンター」も運営しています。
「認定調査で何を伝えればよいか分からない」「介護保険の申請から相談したい」という段階でも構いません。お気軽にお問い合わせください。
(CTAボタン:お問い合わせフォームへ → サイトの問い合わせページ/電話番号はサイト共通設定を使用)
参考リンク(公式ページ)
- 要介護認定の申請から結果通知までの流れ|船橋市
- 要介護認定の認定結果に納得できないとき|船橋市
- 要介護・要支援認定の申請|船橋市
- 介護保険に関する申請窓口|船橋市
- 介護保険関係手続きで「ぴったりサービス」によるオンライン申請ができます|船橋市
- 船橋市地域包括支援センター|船橋市
- 要介護認定|厚生労働省
- 要介護認定はどのように行われるか|厚生労働省
- 地域包括ケアシステム|厚生労働省
- サービス利用までの流れ|介護サービス情報公表システム(厚生労働省)
- 千葉県介護保険審査会|千葉県
- 要介護認定結果や介護保険サービスについての苦情はどうしたらよいですか|千葉県
- 要介護・要支援認定には申請が必要です|市川市
- 介護保険申請からの流れ|市川市
- 市川市高齢者サポートセンター(地域包括支援センター)|市川市
- 〔要介護認定〕認定を受ける(又は更新する、変更する)際の手続について|鎌ケ谷市
- 介護保険に関する申請書・様式一覧|白井市
- 介護サービスを利用するまでの流れ|習志野市
- 認定調査ではどんなことを調べますか。また、認定調査に家族や関係者の立会いはできますか|日立市
- 介護保険の認定調査の際の家族の立会いはどうしても必要ですか|立川市
- 認定・調査(介護保険Q&A)|更別村

