2027年度介護報酬改定の論点|居宅介護支援と訪問看護はどうなる

2027年度介護報酬改定の論点|居宅介護支援と訪問看護はどうなる|あおい訪問看護ステーション

2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向けて、厚生労働省は2026年9月30日の介護給付費分科会で「基本的な視点(案)」を示しました。現時点で決まっているのは改定の方向性を示す5つの視点だけで、居宅介護支援や訪問看護の単位数・要件は何も決まっていません。この記事では、厚労省の資料に書かれていることだけを根拠に、①決まったこと・議論中のこと・未定のことの切り分け、②5つの視点が居宅介護支援と訪問看護の実務にどう関わりそうか、③今年度中にケアマネジャーが準備できることを整理します。

※2026年10月時点の情報です。制度は改定されることがあります。最新は各公式ページでご確認ください。

目次

結論:2027年度介護報酬改定で「決まったこと・議論中・未定」の3分割

結論を先に表にします。2026年10月9日時点で、厚労省の公式資料から確認できる範囲です。

2027年度介護報酬改定について、法律や現行告示で決まっていること、分科会で議論中の案、まだ何も決まっていないことを3段に分けた比較表。改定率と単位数は未定。
区分内容根拠
決まっていること(法律・現行告示)・ケアマネジャーの更新制(研修受講を要件とした更新)を廃止する法律が成立(施行日は政令で別途)
・人口減少地域向けの「特定地域サービス」、身寄りのない高齢者等の支援事業、有料老人ホームの登録制が同じ法律に入った
・2026年6月から居宅介護支援に処遇改善加算(2.1%)、訪問看護に同加算(1.8%)が新設済み
社会福祉法等の一部を改正する法律(2026年6月成立)/令和8年度介護報酬改定の概要
議論中のこと(分科会に提示された「案」)・改定の「基本的な視点(案)」5点
・居宅介護支援の論点:担い手不足の中で提供体制をどう確保するか、算定率が低い加算をどう考えるか
・訪問看護の論点:医療ニーズの高い在宅療養者が増える中で、質の高い事業所をどう評価するか
第268回(9/30)資料1/第259回(6/29)資料3・資料6
まだ何も決まっていないこと・改定率
・居宅介護支援費・訪問看護費の単位数、逓減制や加算の具体的な見直し内容
・施行日の詳細
2026年10月9日時点で分科会資料に記載なし

「改定でこうなる」と断定している情報があれば、それは予測です。この記事では、厚労省の資料に書かれている範囲だけを扱います。

「基本的な視点(案)」とは何か|9月30日の分科会資料の位置づけ

「基本的な視点(案)」は、介護報酬改定の議論を束ねる方向性の整理案です。厚労省が分科会に提示する資料で、個別サービスの単位数を決める文書ではありません。

2026年4月から9回の議論と3回の意見交換を経た「案」

第268回介護給付費分科会(2026年9月30日)の資料1は、冒頭で次のように経緯を書いています。「令和9年度介護報酬改定に向けて、本年4月以降、計9回にわたり社会保障審議会介護給付費分科会において、各サービスや横断的課題について議論を行うとともに、関係団体等と3回の意見交換会を行った」。そのうえで「今回の介護報酬改定に向けた基本的な視点は、次のように整理できると考える」として5点を挙げています。

表題に「(案)」が付いているとおり、この日の資料は厚労省の整理案です。委員の意見を受けて文言が変わる可能性があります。

例年の流れでは、年内に「審議報告」、年末に改定率、年明けに告示

今後のスケジュールは、2026年10月9日時点で公式に示されていません。参考までに、前々回の令和6年度改定では、介護給付費分科会の開催一覧によると、2023年12月19日に「審議報告」が取りまとめられ、12月27日の第237回で改定率が報告され、2024年1月15日の第238回で運営基準等の諮問、1月22日の第239回で改定案が示されました。令和8年度改定でも「審議報告」が厚労省のページに掲載されています。

「基本的な視点」が審議報告の骨格になるのが例年の流れですが、今回も同じ日程で進むとは限りません。この記事では「例年の流れ」として触れるにとどめます。

> 現場の一言(複数の事業所でのやり取りを再構成しています)> ケアマネジャーから「9月30日に何か決まったんですよね?」と聞かれることがありました。決まったのは「視点」であって、単位数も要件もこれからです。ニュースの見出しだけで「決定」と受け取らないことが、いちばんの備えになります。

5つの視点をケアマネジャーの実務に翻訳する

資料1の5つの視点を、見出し語は原文のまま、実務への関わりは「可能性」として整理します。右2列は資料1の文言から読み取れる範囲の推測で、決定事項ではありません。

厚労省が示した介護報酬改定の基本的な視点5つと、それぞれが居宅介護支援と訪問看護にどう関わりうるかを並べた表。右列は可能性であり決定ではない。
視点(原文の見出し)資料1に書かれていること居宅介護支援に効きそうな点(可能性)訪問看護を組むときに効きそうな点(可能性)
(1)物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善公定価格ゆえにコスト増を転嫁しにくい。令和7年度介護事業経営概況調査で赤字事業者の割合は約4割2026年6月に入った処遇改善加算(居宅2.1%)の扱いが引き続き論点になる可能性訪問看護の処遇改善加算(1.8%)も同様。看護師の確保状況が依頼の受けやすさに影響しうる
(2)人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築特定地域サービスを確実に機能させる。居宅系も含めAI等のテクノロジー活用、介護助手等へのタスクシフト/シェアICT活用を前提にした要件設計が進む可能性。ケアプランデータ連携システムの導入状況が問われうる事業所間の協働や多職種のタスクシフトが話題になる可能性
(3)地域包括ケアシステムの深化「医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含めた医療と介護の連携」「生活期における自立支援に向けたリハビリテーション」を一層推進医療機関や訪問看護との連携を評価する加算の方向性が維持される可能性医療ニーズ・看取り・リハの3点が訪問看護の役割として明示されている
(4)職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保職員の負担を軽減し、直接的なケアに注力できる環境文書量の削減・記録のデジタル化が引き続き求められる可能性訪問看護側の記録・連携のICT化が進めば、情報共有の形が変わる可能性
(5)制度の安定性・持続可能性の確保「報酬の評価の適正化・重点化や体系の整理・簡素化」。現役世代を中心に保険料負担の増加への懸念算定率が低い加算の整理・統合が検討対象になりうる加算体系が簡素化されれば、ケアプランでの単位数の見立てが変わる可能性

視点(3)と(5)は、ケアマネジャーにとって方向が逆に見える

視点(3)は医療連携・看取り・リハの推進で、加算や評価が「増える」方向に読めます。一方で視点(5)は適正化・重点化・簡素化で、「減る・まとまる」方向です。資料1はこの2つを両立させる前提で書かれています。「必要なサービスを適切に確保するとともに、報酬の評価の適正化・重点化や体系の整理・簡素化を進めていくことが必要である」という一文がそれです。どの加算が重点化され、どれが整理されるかは、これからの各サービスの議論で決まります。

「赤字約4割」は何の数字か

資料1が引いているのは、令和7年度介護事業経営概況調査の結果です。「全サービスにおける赤字事業者の割合は約4割となっている」と書かれています。この調査は2025年11月26日の介護事業経営調査委員会で結果が報告されたものです。サービス別の数字は調査結果の本体で確認してください。居宅介護支援だけの数字を、この「約4割」から読み取ることはできません。

居宅介護支援の論点整理|現行制度(2024年4月〜)と6月29日の論点

ここでは、告示・厚労省資料で確認できる現行制度と、2026年6月29日の第259回分科会で示された論点を分けて書きます。改定の方向は断定しません。

現行制度(令和6年度改定後)で押さえておく数字

居宅介護支援の現行制度の数字。逓減制は45件未満と50件未満、介護予防支援は3分の1換算、主任ケアマネの管理者要件の猶予は2027年3月31日まで、データ連携システム導入率は10.2%から45.1%に上昇。
項目現行の内容(2024年4月〜)出典
居宅介護支援費(Ⅰ)の逓減制介護支援専門員1人あたり取扱件数「45未満」令和6年度介護報酬改定の主な事項
居宅介護支援費(Ⅱ)の逓減制ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している場合に「50未満」同上
介護予防支援の件数換算指定介護予防支援の利用者数は3分の1を乗じて件数に加える同上
同一建物の利用者へのケアマネジメント所定単位数の95%を算定(2024年度新設)同上
ターミナルケアマネジメント加算対象を末期の悪性腫瘍に限定しない見直し(2024年度)同上
管理者要件(主任介護支援専門員)2021年3月31日時点で主任ケアマネでない管理者の事業所は、その管理者である限り2027年3月31日まで猶予第172回分科会資料2/第259回資料6

管理者要件の猶予期限は2027年3月31日です。これは2027年度改定とは別の、すでに決まっている期限です。該当する事業所は、改定の議論とは切り離して準備が要ります。

6月29日・第259回で示された居宅介護支援の論点

第259回分科会の資料6(居宅介護支援・介護予防支援)は、現状として次の点を挙げています。

  • 居宅介護支援事業所数は平成30年度をピークに減少傾向。ケアマネジャーの従事者数は横ばい傾向
  • 介護予防支援の指定を受けている居宅介護支援事業所は2割程度
  • ケアプランデータ連携システムの導入率は、2026年6月改定で処遇改善加算の算定要件としたこと等により、2025年12月時点の10.2%から2026年5月末時点で45.1%へ上昇(移行の手順はケアプランデータ連携移行|登録前に見る3点にまとめています)
  • ケアマネジャーの研修受講は求めつつ、更新の仕組みは廃止することとされた(改正法)
  • 算定率が低い加算として、緊急時等居宅カンファレンス加算、特定事業所加算、退院・退所加算、ターミナルケアマネジメント加算などがある

そのうえで論点は2つです。「担い手不足が見込まれる中、一層の生産性向上を図りつつ、ケアマネジャーがその専門性を十分に発揮し、それぞれの地域の実情に応じて必要なケアマネジメントの提供体制を確保していくため、どのような方策が考えられるか」。そして「利用者のわかりやすさという観点や介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算についてどのように考えるか」です。

退院・退所加算やターミナルケアマネジメント加算は「算定率が低い加算」の例に挙がっています。整理・統合されるのか、要件を見直して算定しやすくするのかは書かれていません。どちらの方向もあり得ます。

更新制の廃止は「いつから」か

2026年6月に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律の概要では、「介護支援専門員(ケアマネジャー)に係る研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止するなど、法定研修に係る見直しを行う」とされています。施行期日は、法律全体の原則が2027年4月1日ですが、この項目は「公布後1年6月以内に政令で定める日」です。2026年10月9日時点で政令は確認できていません。

> 現場の一言(複数のやり取りを再構成しています)> 「更新制がなくなるなら、今年度の更新研修は受けなくていいですか」という質問を受けます。施行日が政令で決まるまでは現行の更新制が続きます。有効期限が近い方は、都道府県の案内どおり手続きを進めるのが安全です。

訪問看護の論点と、連携のために今から準備できること

訪問看護は、視点(3)の「医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含めた医療と介護の連携」と「生活期における自立支援に向けたリハビリテーション」の両方に関わります。ケアマネジャーが訪問看護を組むときに、資料から読み取れることを整理します。

6月29日・第259回で示された訪問看護の論点

第259回分科会の資料3(訪問看護)は、現状として次を挙げています。

  • 訪問看護事業所数や受給者数は増加している一方で、廃止・休止のステーションも増加
  • 医療処置の実施件数は「じょく瘡の予防」「緊急時の対応」「じょく瘡以外の創傷部の処置」等の増加が顕著
  • ターミナルケア加算、24時間対応体制加算、緊急時訪問看護加算の届出も増加
  • 医療処置を含めた24時間の看護サービスの提供ではなく、リハビリテーションの提供が主体の事業所も一定数あると推察される

論点は「医療ニーズの高い在宅療養者が増加している中、緊急時対応体制や関係機関との連携の一層の充実が求められるが、より質の高い訪問看護サービスを効果的・効率的に提供する事業所を適切に評価するためには、どのような方策が考えられるか」です。居宅介護支援と同じく、算定率が低い加算の扱いも論点に入っています。

また、9月16日の第267回分科会(関係団体等意見交換会③)では、日本訪問看護財団と全国訪問看護事業協会が意見を提出しています。なお、9月10日・14日・16日の3回の意見交換会の参加団体名簿に、介護支援専門員の職能団体は含まれていませんでした。

訪問看護を組むときのチェックリスト(2026年10月時点)

改定の中身が決まる前でも、次の確認は今の制度のままで役に立ちます。

  • □ 医療ニーズが高い方は、医療保険と介護保険のどちらで訪問看護が入るかを主治医・訪問看護側と確認したか(厚生労働大臣が定める疾病等=別表7・別表8の該当有無。別表7・別表8 早見表で確認できます)
  • □ 看取りが見込まれる方は、24時間対応体制加算の届出がある事業所か、ターミナルケア加算の算定実績を聞いたか(ターミナル期のケアプランの組み方)
  • □ 退院直後で状態が不安定な方は、特別訪問看護指示書(特指示)の活用を主治医と相談したか
  • □ リハビリ目的の訪問看護は、理学療法士等による訪問の回数・時間の現行ルール(2026年6月改定で、訪問看護の「時間」と「回数」はこう変わりました)を確認したか
  • □ 依頼時に「可否と開始時期の返事がいつもらえるか」を事業所に確認したか

> 現場の一言(複数のやり取りを再構成しています)> 退院前カンファレンスの前日に「訪問看護はどこに頼めばいいか」と相談を受けることがあります。人工呼吸器や中心静脈栄養など、受けられる医療処置は事業所ごとに違います。依頼前に「対応可能な処置の一覧」を公開している事業所を見ておくと、当日の調整が短くなります。

2027年度改定までのスケジュールと、ケアマネジャーが追うべき公式ページ

直近の分科会の予定

介護給付費分科会は、2026年10月9日に第269回を開催します(議題は定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護)。居宅介護支援・訪問看護を扱う回がもう一度あるかは、2026年10月9日時点で公表されていません。

例年の流れ(今回も同じとは限りません)

介護報酬改定までの例年の流れを矢印で示したフロー。2026年10月9日時点は基本的な視点(案)が示された直後で、審議報告・改定率・告示はこれから。
時期(例年)内容2027年度改定での状況(2026年10月9日時点)
春〜夏各サービスの現状と論点を議論4月以降9回実施、6/29に居宅介護支援・訪問看護
9月関係団体との意見交換会9/10・9/14・9/16に3回実施
9〜10月基本的な視点(案)9/30に提示
10〜12月各サービスの具体的な論点を再度議論10/9に第269回。以後は未公表
12月審議報告の取りまとめ、改定率の決定未定
1〜3月諮問・答申、告示・通知・Q&A未定
4月施行未定

追うべき公式ページは3つ

  1. 介護給付費分科会の開催一覧(厚労省):回ごとの資料・議事録が載ります
  2. 令和8年度介護報酬改定について(厚労省):処遇改善加算のQ&A・様式の更新先です
  3. 介護保険最新情報(厚労省が自治体へ発出する事務連絡):Q&Aの追加はここから出ます

よくある質問

Q1. 2027年度の介護報酬改定で、居宅介護支援費は上がりますか?A. 2026年10月9日時点で、改定率も単位数も決まっていません。分科会に示されたのは「基本的な視点(案)」と、居宅介護支援の論点(提供体制の確保、算定率が低い加算の扱い)までです。

Q2. ケアマネジャーの更新研修はもう受けなくてよいですか?A. いいえ。更新制を廃止する法律は成立しましたが、この部分の施行日は「公布後1年6月以内に政令で定める日」で、2026年10月9日時点で政令は確認できていません。施行までは現行の更新制が続きます。

Q3. 主任ケアマネの管理者要件の猶予はいつまでですか?A. 2021年3月31日時点で主任ケアマネでない管理者がいる事業所は、その管理者が続く限り2027年3月31日まで猶予されます。2027年度改定とは別の、すでに決まっている期限です。

Q4. 居宅介護支援の処遇改善加算は、2027年度も続きますか?A. 2026年6月に新設された加算(2.1%)の今後は、視点(1)「物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善」の中で議論される見込みですが、具体的な扱いは決まっていません。

Q5. 訪問看護の加算は整理・統合されるのですか?A. 第259回の資料で「算定率が低い加算についてどのように考えるか」が論点に挙がっています。整理されるのか、要件を見直すのかは書かれていません。

Q6. 「基本的な視点(案)」はどこで読めますか?A. 厚労省の第268回介護給付費分科会のページに、資料1(本文)と資料2(概要)がPDFで掲載されています。本記事末の参考リンクから開けます。

医療ニーズが高い方・看取りの訪問看護のご相談

改定の中身が決まるのはこれからですが、「医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含めた医療と介護の連携」は視点(3)に明記されています。あおい訪問看護ステーション(船橋市・白井市)では、人工呼吸器管理、CVポート、経管栄養、膀胱留置カテーテル交換、ストマ管理、精神科訪問看護、小児などの医療処置に対応し、退院前カンファレンスにも参加しています。お電話をいただいた当日中に、対応可否とおおよその開始時期をお返しします。対応エリアは船橋市・市川市・鎌ケ谷市・白井市が中心です。

依頼方法・対応可能な処置の一覧は、医療・介護関係者の方へのページをご覧ください。電話 050-5536-3136(24時間受付)。

参考リンク(公式ページ)

本文で参照した公式ページの一覧です(2026年10月9日時点)。

※2026年10月時点の情報です。制度は改定されることがあります。最新は各公式ページでご確認ください。

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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