訪問看護の時間、子どもと何をしているの?|手を使う遊びが持つ意味

「遊んでるだけ?」訪問看護でやる手作業。一緒に作るのは4つ。あおい訪問看護ステーション|船橋市の小児訪問看護

訪問看護の時間に、看護師やリハビリ職がお子さんと遊んだり、工作をしたりすることがあります。外から見ると「ただ遊んでいるだけ」に見える時間です。

この記事では、その時間の中で何を見て、何をねらっているのかをご説明します。あおい訪問看護ステーションが小児の訪問で実際に使っている道具を写真つきで紹介し、年齢ごとの選び方、小さい部品や針の安全、ご家庭で試すときのコツまでまとめました。

「遊んでるだけに見えるけれど、意味があるのだろうか」と感じたことのあるご家族に、判断の材料をお渡しする記事です。

この記事に出てくるお子さんの様子は、複数の事例を組み合わせて再構成したものです。個人が特定される情報は含んでいません。

目次

「遊んでるだけ」に見える時間の中身

遊んでいる時間に看護師が見ている6つのこと(体の調子・手と体の使い方・目と手の連携・気持ちのやりとり・生活とのつながり・ご家族の状態)を示した図

訪問の時間に行う遊びは、時間を埋めるためのものではありません。ただ、そのねらいはご家族から見えにくいところにあります。まずはそこからお話しします。

「遊んでるだけに見える」と感じるのは、めずらしいことではありません

お子さんの支援では、「遊んでいるだけに見えて、意図が伝わりにくい」という声がよく聞かれます。これは支援する側からも、ご家族の側からも語られる悩みです。

一方で、「遊びの中で発達も見てもらえるのが、うちには合っていた」と受け止めているご家族もいます。「家族以外の誰かとやりとりすること自体が練習になる」と気づいた、という声もあります。

同時に、「それぞれが好きなことをしているだけに見えて、続ける意味があるのか分からない」という気持ちも、確かに存在します。どちらの受け止め方も自然なものです。だからこそ、支援する側が「何をねらっているのか」を言葉にする責任があると考えています。

遊びの中で、同時にいくつものことを見ています

遊びや工作をしている間、看護師やリハビリ職は次のようなところを見ています。ひとつの活動で、複数のことを同時に確認できるのが、遊びを使う理由のひとつです。

見ていること遊びの中での具体例ご家庭でも気づけるサイン
体の調子呼吸の様子、姿勢の崩れ方、疲れの出るタイミング途中で寝転ぶ、声が小さくなる
手と体の使い方どちらの手で取るか、もう一方の手が支えに使えているか、力の加減物をよく落とす、片手だけで作業する
目と手の連携小さい物をねらってつまめるか、線に沿って進められるかはみ出しが多い、ねらった所に置けない
気持ちのやりとり目線、「やって」の伝え方、待てる長さ、失敗したときの反応思い通りにならないと中断する
生活とのつながりボタン・はし・鉛筆など、毎日の動作と共通する動き着替えや食事で時間がかかる
ご家族の状態保護者の疲れ、きょうだいの様子、家の中の安全家族が休めていない

この観察は、体調の確認や医療的ケアと切り離して行っているわけではありません。同じ時間の中に重ねています。

「訓練させる」のではなく、遊びの中にねらいを混ぜます

お子さんに「訓練だからやりなさい」と伝えても、続きにくいことがあります。そこで訪問では、楽しめる活動を先に用意し、その中にねらいを混ぜる形をとっています。

たとえば、小さなビーズを1個ずつつまむ活動は、指先の使い方を見るための場面にもなります。けれどお子さんにとっては「好きな色を選んで、かわいい物を作る時間」です。この二重構造が、遊びを使う関わりの基本になります。

ある訪問の終わりに、保護者の方から「今日も遊んでただけですか」と聞かれたことがあります。担当した看護師は、その日に見ていたことをこう説明しました。「今日は右手で押さえて左手で動かす場面が増えていました。前回は片手だけでしたので、そこは変化として記録に残しています」。ねらいを言葉にすると、同じ時間の見え方が変わります。

お子さんの特性ごとの関わり方については、自閉スペクトラム症のお子さんに訪問看護でできることでも詳しくご説明しています。

制度の上では、どう位置づけられているのか

訪問看護は、健康保険法第88条で「療養上の世話又は必要な診療の補助」と定められています。実際の訪問は、主治医が交付する訪問看護指示書と、それに基づいて作成する訪問看護計画書に沿って行います。

厚生労働省の告示や通知を確認しても、「遊び」「工作」という独立した項目は設けられていません。つまり、遊ぶこと自体が保険の対象になるわけではありません。遊びや手作業を用いるのは、あくまで個別の療養上の課題に対応するための方法のひとつです。計画に位置づけ、その日に何を見て何を行ったかを記録に残しています。

同じ理由から、診断名がついていることや、学校に行きづらい状態であることだけで、自動的に訪問看護を使えるわけでもありません。利用できるかどうかは、主治医の判断を含めた個別の検討になります。まずはご相談ください。

なぜ“手先を使う遊び”なのか

数ある遊びの中で、手を使う工作や手芸を選ぶことが多いのには理由があります。ねらいは、手先の動きだけに向けているわけではありません。

「つまむ」動作が、座った姿勢を保つ・肩とひじで手の位置を決める・目でねらいを定める・指先でつまむ の4つの積み重ねであることを示した図

手を使うとき、体はいろいろな場所を同時に使っています

小さな物をつまむ動きは、指先だけで成り立ってはいません。座った姿勢を保ち、肩とひじで手の位置を決め、目でねらいを定めて、はじめて指先が働きます。

つまり、手を使う活動を見ていると、姿勢・目の使い方・両手の役割分担・力の加減までが、まとめて見えてきます。訪問の限られた時間で情報を得やすいことが、手作業を選ぶ理由のひとつです。

「手芸・工作」は、法律に書かれた作業療法の手段です

手を使う活動を用いることには、制度上の裏づけがあります。理学療法士及び作業療法士法 第2条第2項は、作業療法を「身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせること」と定めています。手芸と工作は、条文にそのまま書かれている言葉です。

日本作業療法士協会の定義(2018年5月26日承認)でも、対象となる「作業」に、日常生活の活動や仕事とならんで遊びが挙げられています。

ただし、ここは正直にお伝えしておきます。ビーズや刺し子といった個々の活動について、「これをすれば手先が器用になる」と言い切れるだけの研究結果は、確認できていません。当ステーションが行っているのは、お子さんが手を使う機会をつくり、その様子から状態を読み取り、生活の動作につなげていくことです。効果をお約束するものではありません。

「終わりが見える」ことが、続かない子の助けになります

「一つの遊びが続かない」というご相談は、とても多く聞きます。このとき役立つのが、区切りのはっきりした作業です。

刺し子は一目、ビーズは1個、紙バンドは一列。どこまで進んだかが目で見て分かり、途中でやめても続きから再開できます。「あと3つ入れたら今日は終わり」という区切り方ができるため、集中が短いお子さんでも達成感まで届きやすくなります。

反対に、完成までの道のりが見えない活動は、途中で気持ちが切れやすくなります。同じ工作でも、区切り方の設計で続きやすさが変わります。

できあがった物が、家族との会話をつくります

手作業には、形が残るという特徴があります。残った物は、その日のうちに家族へ見せることができます。

「これ、自分で編んだの」と見せられる物があると、会話のきっかけになります。学校に行きづらい時期のお子さんにとって、「今日やったこと」を説明できる材料になることもあります。ご家族が褒めやすい形になる、という点も見落とせません。

実際に訪問で使っている道具

ここからは、あおい訪問看護の小児訪問で実際に使っている道具を写真でご紹介します。特定の商品をおすすめする目的ではないため、同じねらいで使える一般的なタイプも併記します。

① ミニチュアのマスコット――見る・選ぶ・話すところから

ティーカップ型のミニチュアマスコット5個(クロミ、シナモロール、マイメロディ、ハローキティ、ポムポムプリン)が机の上に並んでいる写真

手のひらに乗るミニチュアのマスコットです。写真は、ティーカップに入ったスノードーム風の5個(クロミ、シナモロール、マイメロディ、ハローキティ、ポムポムプリン)です。

これは作る道具ではありません。会話のきっかけとして使っています。「どれが好き?」から始めると、言葉が出にくいお子さんでも、指さしや視線で答えられます。並べ替える、色の順に並べる、今日の分を選ぶ、といった使い方もできます。

作業を最後までやりきったときの「ごほうび」として使うこともあります。同じ役割は、お子さんが好きなキャラクターの小さな人形やカードでも果たせます。

② 裁縫セットと刺し子のふきん――一目ずつ進める

糸とはさみが入った裁縫セット、刺し子ふきんのキット3種(茜とんぼ・水辺の桜・青海波)、刺し子針、スクラッチカードが並べられた写真

学童の後半から中高生のお子さん向けに使っているのが、裁縫セットと刺し子のキットです。写真には「茜とんぼ」「水辺の桜」「青海波」の3柄と、刺し子針が写っています。

刺し子は、布に印刷された線をなぞって縫い進めます。次にどこへ針を出すかが決まっているので、迷いにくいのが特徴です。一目ずつ進むため、5分でも10分でも成果が残ります。

針を使う活動なので、扱いには手順を決めています。詳しくは後半の「安全のこと」でご説明します。裁縫キットは小学校低学年には難しいことがあり、その場合は途中の工程だけを担当してもらう形に切り替えます。

同じ写真には、削って絵を出すスクラッチアートも写っています。針を使わずに「削る」動きだけで進められるため、縫い物に進む前の段階でよく使います。

③ パウチャームとポンポン、ビーズ――つまむ・選ぶ・固める

小分けケースに入った色とりどりのポンポンとクリアビーズ、チャームのパーツ、パウチャームのリフィルセット2種が机の上に並んでいる写真

水でくっつくビーズを型に入れて固めるタイプのキットです。当ステーションで使っているキットには、パッケージに「対象年齢6才以上」と表示されています。あわせて、色とりどりのポンポン、クリアビーズ、チャームのパーツを小分けケースに入れて持ち運んでいます。

この活動では、次のような場面が生まれます。

  • 小さなパーツを指先でつまんで、決めた場所に置く
  • たくさんの色の中から、自分で選ぶ
  • 「むにむに」した感触や、透明なビーズの見た目を楽しむ
  • 水で固まるまで待つ(待つ練習にもなります)

小さい部品を扱うため、下のごきょうだいがいるご家庭では扱いに注意が必要です。この点は後述します。似た活動は、アイロンを使わないタイプのビーズや、シールを貼るキットでも代用できます。

④ 紙バンドのバスケット――両手を同時に使う

紙バンドで作るバスケットの手芸本と、紺・青緑・水色・茶などのクラフトテープが並べられた写真

紙のバンド(クラフトテープ)を編んで、小物入れを作ります。写真は『すみっコぐらし 紙バンドで作るかわいいバスケット』(山本めぐみ著)と、紺・青緑・水色・茶などのテープです。

編む作業は、片手で押さえて、もう一方の手で動かすという左右の役割分担が必要になります。前の章でふれた「両手の使い方」を見るのに適した活動です。

工程が長いことも利点です。1回で完成させず、「今日は3段まで」と区切って数回に分けます。次回の訪問で続きから始められるため、「次も楽しみ」という気持ちが残りやすくなります。紙バンドは100円ショップなどでも手に入るため、ご家庭でも試しやすい素材です。

年齢・発達段階での選び方

道具を選ぶときは、年齢よりも「今の手の使い方」と「物を口に入れる癖があるかどうか」を先に見ます。目安として、段階ごとの選び方を整理します。

段階別の選び方の目安

段階の目安活動の例主なねらい気をつけること
物を口に入れる時期・自分で持つのが難しい素材にふれる、音を聞く、光を見る、手を添えて容器に入れる感覚を味わう、やりとりの往復をつくる小さい部品は使わない。手を添える範囲を決める
未就学(つまむ・貼る)ポンポンを容器に入れる、大きめのシール貼り、シールを選ぶつまむ、はなす、選ぶ誤飲に配慮。大きめの部品から始める
学童の前半(塗る・削る・並べる)スクラッチアート、ビーズ並べ、水で固めるキット力の加減、最後まで続ける、色を決める対象年齢の表示を確認する
学童の後半〜中高生(縫う・編む)刺し子、紙バンド、簡単な裁縫両手の分担、手順を追う、完成まで計画する針・はさみの管理を先に決める
手の動きが限られるお子さん見る・触る・音を聞く・選ぶ「自分で決めた」経験を積むできる子と比べない。参加の形を分ける

※年齢は目安です。実際は、お子さんの手の使い方と興味に合わせて調整します。

「自分でできる子」だけの活動にしません

工作の紹介は、どうしても「自分で座って、自分で貼れる子」を前提に書かれがちです。実際には、「シールなんてつかめません」というお子さんもいます。

その場合、活動そのものを変えます。たとえば、看護師が手を添えてポンポンを容器に入れる、2つのうちどちらの色にするかを視線で選んでもらう、できあがる音や見た目を一緒に味わう。「見る」「触る」「聞く」「選ぶ」も、立派な参加です。

重い障害のあるお子さんの訪問では、素材の温度や手ざわり、音の出る素材を中心に選ぶこともあります。医療的ケアが必要なお子さんへの支援全体については、医療的ケアが必要なお子さんの在宅支援でできることをご覧ください。

感触が苦手なときは、素材のほうを変えます

「のりが触れない」「べたべたが嫌い」「粘土が触れない」というご相談もよくあります。この場合、慣れさせようとするより、素材を替えるほうが早いことがあります。

のりの代わりに両面テープを使う、粘土の代わりに紙バンドを使う、手が汚れる工程は道具を介して行う。こうした置き換えで参加できる活動は増えます。感覚の特性への向き合い方は、子どもの感覚過敏への対応(偏食・服・音・歯みがきの工夫)でも取り上げています。

不器用さが目立つ場合には、その背景を整理して考える必要があります。発達性協調運動症(DCD)とは?関わり方と支援もあわせてご覧ください。

安全のこと(小さい部品・針・誤飲)

手作業には、小さい部品と刃物・針がつきものです。ここは「気をつける」だけでは足りないため、仕組みで管理します。

小さい部品について知っておきたい3つのこと(31.7mmの筒に入る部品・3歳を過ぎても起きる誤飲・水で膨らむタイプ)を出典つきで示した図

小さい部品は「散らからない形」で扱います

小さいビーズやポンポンは、床に落ちると回収が難しくなります。とくに下のごきょうだいがいるご家庭では、「上の子の遊び自体をあきらめた」という声も聞きます。

当ステーションが訪問で行っているのは、次のような形です。ご家庭でもそのまま使える方法です。

タイミング確認すること
始める前ふた付きの小分けケースに入れる/トレーや浅い箱の中で作業する
始める前床ではなくテーブルで行う。下のお子さんが寝ている時間や別室で行う
始める前パッケージの対象年齢の表示を確認する(例:当ステーションで使っているキットは「対象年齢6才以上」)
作業中1回分だけ出す。残りはふたを閉めておく
作業中口に入れる癖のあるお子さんからは目を離さない
終わったあと使った分を数えて戻す。落ちた分を探してから片づける
終わったあと完成品も小さい部品を含むため、保管場所を決める

どのくらいの大きさが危ないのか

ひとつの目安があります。日本玩具協会の玩具安全基準(ST基準)では、3歳未満向けの玩具について「小部品」の検査を行い、内径31.7mm、深さ25.4〜57.1mmの円筒に丸ごと収まってしまう部品は認められません。ビーズやポンポン、チャームの金具は、この筒にすっぽり入る大きさです。

ただし、これは「これより大きければ安全」という意味ではありません。消費者庁が公表している事故情報には、5歳児がビー玉を、6歳児がおはじきを、4歳児が磁石を誤飲した例が挙げられています。年齢が上がれば心配がなくなる、とは考えないでください。

とくに気をつけていただきたいのが、水を吸って膨らむタイプのビーズです。国民生活センターは2021年12月23日に、水で膨らむボール状の樹脂製玩具(高吸水性樹脂)を誤飲して腸閉塞を起こし、開腹手術に至った事故を公表しています。飲み込んだあとに体の中で大きくなるため、のどを通ってしまっても安心できない点が、ほかの誤飲と違うところです。誤飲やその疑いがあるときは、すぐに受診してください。

「対象年齢」は、難しさの目安ではありません

パッケージの対象年齢は、その年齢の子どもに必要な安全対策が施されていることを示す表示です。日本玩具協会は、これは子どもの賢さや単なる目安を示すものではない、と説明しています。

つまり、「うちの子は器用だから」「大人がそばで見ているから」は、対象年齢より下のお子さんに使わせてよい理由にはなりません。手元のキットが「対象年齢6才以上」であれば、6歳未満のお子さんには使わない、という読み方をします。

なお2025年12月25日からは、3歳未満向けのおもちゃに「子供PSCマーク」の表示制度が始まりました。国の技術基準に適合していることに加え、対象年齢や警告表示が義務づけられています(消費者庁)。ただし、手芸材料のすべてがこうした玩具の制度の対象になるわけではありません。製品ごとに表示を確かめてください。

針とはさみは、数えて始めて、数えて終わります

刺し子や裁縫では針を使います。訪問では、始める前に本数を数え、終わりにも数えて確認する手順をとっています。

  • 針は針山かケースに戻す場所を1か所に決める
  • 使う本数はその日の分だけ出す
  • 糸通しを使い、無理に押し込まない
  • はさみは刃を閉じて、刃先を人に向けずに渡す
  • 作業中は、下のお子さんが近づかない配置にする

年齢だけで「何歳から針を使ってよい」と決めることはしていません。手の力の加減、指示の伝わり方、口に入れる癖の有無を見て、お子さんごとに判断しています。

針について、「何歳から使ってよい」という全国共通の基準は、調べた範囲では定められていません

参考になるのは学校での扱いです。小学校学習指導要領(家庭科)では、手縫いと用具の安全な取扱いを第5・6学年で学ぶ構成になっています(文部科学省)。ただしこれは学校教育の中での配置であって、「10歳になれば針が安全」という安全基準ではありません。

基準が無いからこそ、年齢で線を引かず、お子さんごとに判断しています。

万一のときにどうするか

備えとして、対応の順番だけは決めておくと落ち着いて動けます。

飲み込んだ可能性があるときは、まず呼吸と声、顔色を確認します。呼吸が苦しそう、声が出ない、反応がないといった様子があるときは、すぐに119番へ連絡します。判断に迷う段階では、小児救急電話相談(#8000)へ相談する方法もあります。

医療的ケアのあるお子さんは、主治医から個別の指示が出ていることがあります。その場合は主治医の指示を優先してください。訪問時に、緊急時の連絡手順を一緒に確認することもできます。

具体的な応急手当の手順は、この記事には書きません。やり方を文章だけで覚えると、いざというときに不確かなまま手を出すことになるためです。消費者庁が「子どもが窒息?! そのとき、あなたの応急手当が必要です!」という解説を公開していますので、落ち着いているうちに一度ご覧ください。お住まいの消防署などの救命講習を受けておくと、より確実です。訪問時にご希望があれば、一緒に確認します。

#8000は、正式には「子ども医療電話相談事業」といいます(厚生労働省)。全国共通の短縮番号で、かけるとお住まいの都道府県の相談窓口につながります。

実施時間は都道府県ごとに異なります。千葉県の場合は 043-242-9939、平日・休日(土曜を含む)とも 19時〜翌朝8時 です(厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」2026年5月22日現在)。時間帯は変わることがありますので、ご利用前に最新の情報をご確認ください。

ご家庭でやるときのコツ

「家で何をさせたらいいですか」というご質問もよくいただきます。道具をそろえることより、進め方の設計のほうが続きやすさに影響します。

1回で完成させないと決めておく

工作キットは「今日中に完成させる」前提で始めると、途中でうまくいかなかったときに気持ちが折れやすくなります。

最初から「3回に分ける」と決めておくと、途中でやめることが失敗になりません。紙バンドのように工程が長い物ほど、この方法が向いています。

材料は全部出さず、1回分だけにする

すべての材料を目の前に広げると、何から手をつけるか決められなくなることがあります。小分けケースから今日使う分だけ出すと、片づけも短くなります。

これは安全面でも効果があります。出ている部品が少ないほど、床に落ちる数も減ります。

お子さんに選んでもらう場面を作る

色、キャラクター、進める順番。どれか1つでも「自分が決めた」場面があると、取り組み方が変わることがあります。

選択肢は2つか3つに絞ると答えやすくなります。言葉で答えにくいお子さんには、実物を2つ並べて見せる方法があります。

5分で終わっても、失敗ではありません

「1つの遊びが続かない」ことを気にされるご家族は多いのですが、短時間で切り上げる判断も大切です。

嫌になる前にやめると、次に「またやろう」と思いやすくなります。ある小学生のお子さんは、1枚のスクラッチを3回に分ける進め方に変えてから、最後まで取り組めた日が増えました。ある中学生のお子さんは、学校に行きづらい時期に刺し子を一目ずつ進め、その間に近況を話せるようになりました。

保護者が手伝う量は「あと一歩」だけにとどめると、お子さんの手が動く時間が残ります。ごきょうだいへの関わりに悩まれている場合は、きょうだいのお子さんへの支援もご覧ください。

よくある質問

Q1. 遊んでいるだけに見えます。訪問看護の時間の使い方として、これでよいのでしょうか。

A. 遊びは、体調・手や体の使い方・気持ちのやりとりをまとめて確認できる場面です。訪問では、その日に見ていた点を記録に残しています。気になるときは「今日は何を見ていましたか」と担当者にお尋ねください。ねらいをその場でご説明します。

Q2. 家に道具がありません。買いそろえたほうがよいですか。

A. 買いそろえる必要はありません。訪問の際に道具を持参して一緒に使うことができます。ご家庭で試す場合も、紙バンドや大きめのシールなど、身近な材料から始められます。

Q3. うちの子は手をあまり動かせません。こうした活動はできませんか。

A. 参加の形を変えれば取り組めることがあります。手を添えて一緒に動かす、2つの中から視線で選んでもらう、素材の感触や音を味わうなど、「見る・触る・聞く・選ぶ」も参加です。お子さんの状態に合わせて内容を組み立てます。

Q4. 下の子がいるので、小さい部品の誤飲が心配です。

A. 部品を小分けにして1回分だけ出す、トレーの中で作業する、終わりに数を数えて戻す、といった手順で管理します。下のお子さんが寝ている時間や別室で行う方法もあります。訪問時に、ご家庭に合った置き場所を一緒に決めることもできます。

Q5. 訪問で工作をすると、追加の費用がかかりますか。

A. お子さんの訪問看護は、医療保険で行うのが原則です。介護保険は原則として65歳以上の方などが対象の制度で、お子さんには適用されません。自己負担の割合は、年齢や所得によって異なります。

これに加えて、お住まいの自治体の子ども医療費助成小児慢性特定疾病医療費助成自立支援医療などの公費で、負担が軽くなる場合があります。制度の内容や自己負担額は自治体によって差がありますので、お子さんの状況とお住まいの市に合わせて確認が必要です。費用については、契約前に書面でご説明します。

ご相談先

「訪問看護でどんなことをしてもらえるのか」「うちの子に合うのか」は、状況を伺わないと分からない部分があります。まずはお電話でご相談ください。

あおい訪問看護ステーション(株式会社True Colors)

電話:050-5536-3136

対応エリア:船橋市・鎌ケ谷市・市川市・白井市

診断がついていない段階でも、ご相談は可能です。発達が気になる段階での相談先もあわせてご覧ください。訪問には看護師と、リハビリ職(作業療法士・理学療法士)が関わります。お子さんの状態やご希望に応じて、関わり方を組み立てます。

※この記事の内容は2026年9月時点のものです。制度の内容や商品の仕様は変わることがあります。写真の商品は当ステーションが実際に使用しているもので、特定の商品をおすすめする目的で掲載しているものではありません。

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この記事を書いた人

金子誠 看護師

株式会社True Colors 代表・看護師。千葉県船橋市で「あおい訪問看護ステーション」を運営しています。

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